東京都港区南青山2-2-15
ピカール1号店(青山骨董通り店)
ピカール1号店(青山骨董通り店)の立地 月刊食品商業
立地そのもの
駅近立地の特徴は、「駅–店–後背地域」という順に考えていくことができることです。駅はTG(ティージー:交通発生源)で、人々が集中する場所です。後背地域にいる人々とは、店前を通って駅に向かうことができる人々です。
この考え方を、ピカールの立地に当てはめるならば、表参道駅–ピカール–後背地域になります(図1)が、問題があります。
後背地域の大半が青山学院大学のキャンパスになってしまう点です。その上、人々がいる地点から駅までのルートをシミュレーション(※)すると、地域の大部分が店の前を通らず、その手前で横道に入ってしまうのです(図1の破線)。つまり、厳密には、「駅–店–後背地域」という構造すらできていないとも言えます。
この点、ピカールの立地は「並」もしくは「並以下」と考えられます。
商圏
500m圏の人口は5,364人、昼間人口は44507人で、昼夜間人口比は8・3にも達します。すなわち、店舗周辺は、典型的なオフィス立地であることが伺われます。しかし、平日・休日に周辺を実査するとそれだけではないことが分かります。いわゆる「南青山」という地名に魅かれて、近年ファッション性の高い店舗、グレードの高い店舗が多数出現しています。そのため、平日はもちろん、休日においても多くの若者・家族が流入してきており、さしずめ「大人の原宿」的様相を示しています(図2)。
この流入した人々は店周辺をあちこち散策しているのでその一部がピカールの前を通ることが考えられます。原宿や表参道周辺の住宅街ほどではないにしろ影響は大きいでしょう。
また、周辺に住む人々は、世帯年収1500万円以上の比率が4・9%と東京の平均3・7%を大きく上回っており、極めて異例です。
ピカール業態との相性
ピカールの扱う冷凍商品、フランス料理や高価格帯という側面は、この南青山においては特に問題にならないと思われます。近くにある斬新なデザインのビル、KINOKUNIYAのスーパーマーケット部門で売られる商品の価格帯は通常SMの1.3倍~3倍であり、また、近隣にある数々のカフェメニューの単価と比較してもまったく遜色ないからです。1号店目から成功を狙おうとする意欲にたいへんマッチした商圏であろうと考えられます。
狙いは何か?
流通業全体が、厳しい低価格競争に恒常的に晒され続けているなか、デフレの影響を受けにくい高所得層に高価格・高付加価値の商品/サービスをアピールし、定着させていこうとすることは正しい選択です。
とりわけ、都内は、この骨董通りとよく似た高所得層が多く集まる地域がたくさんある。こうした地域に間違いなく出店してブランドを定着させる戦略が功を奏すことを願っている。
1095字
※ ゼンリン社製「電子地図帳Z18」を使って経路探索(自転車)を行った。
●良い立地とは、突き詰めるとたった6個の条件を満たしている立地のことです。 ●サイゼリアさいたま南中野店が閉店した。 投稿日 : 2014年6月16日 ●自転車屋さんも【立地】は大事だよ! 投稿日 : 2014年8月2日 ●変身した立地に星乃珈琲店オープン 投稿日 : 2015年3月5日 ●勝つための立地戦略5原則 投稿日 : 2016年10月25日 ●「やっぱり、駅だよ」って言う人がいます。 そんなに、駅は好立地なのか? 投稿日 : 2017年2月21日 ●宅配の立地に適した立地はどういう所ですか? ●立地はFC本部が調べてくれるので加盟店は気にしなくてよいか? ●立地が悪いところで繁盛してこそ、本物の商品だと思うが。 ●近隣に立地が悪いのに繁盛している店がある。なぜか。 ●なぜ立地が重要なのか。商品がよければ立地が悪くても繁盛すると思う。 ●立地が良ければ、金融機関はお金を貸してくれるでしょうか? ●ブランド力さえあれば、多少立地は悪くてもうまく行くというのは本当でしょうか? ●そうはいっても、立地はやはり関係ないと思うのですが… ●立地が問題になるのは店を動かせないからで、動かせれば問題ありませんね? ●立地が悪くても高い売上、立地が良くても低い売上ということはありますか? ●立地はどこに出しても大丈夫だと思っています。何か問題がありますか? ●売上予測や立地判定をしないで崩壊したチェーン企業はありますか? ●銀行の人などお金を出してくれる人が立地をどうこう言うことはありますか? ●お店を出すときどうして立地が大事なのですか? ●2号店のための立地判断 43+39のポイント 月刊コンビニ連載2009年12月号 ●コンビニ立地についての知識力チェック 月刊コンビニ連載2012年9月号 ●あなたの店の経営力診断テスト 立地編 月刊コンビニ連載2010年月11号 ●ピカール1号店(青山骨董通り店)の立地 月刊食品商業 2017年1月号
24/09/08
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22/05/20
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ピカール1号店(青山骨董通り店)の立地 月刊食品商業
立地そのもの
駅近立地の特徴は、「駅–店–後背地域」という順に考えていくことができることです。駅はTG(ティージー:交通発生源)で、人々が集中する場所です。後背地域にいる人々とは、店前を通って駅に向かうことができる人々です。
この考え方を、ピカールの立地に当てはめるならば、表参道駅–ピカール–後背地域になります(図1)が、問題があります。
後背地域の大半が青山学院大学のキャンパスになってしまう点です。その上、人々がいる地点から駅までのルートをシミュレーション(※)すると、地域の大部分が店の前を通らず、その手前で横道に入ってしまうのです(図1の破線)。つまり、厳密には、「駅–店–後背地域」という構造すらできていないとも言えます。
この点、ピカールの立地は「並」もしくは「並以下」と考えられます。
商圏
500m圏の人口は5,364人、昼間人口は44507人で、昼夜間人口比は8・3にも達します。すなわち、店舗周辺は、典型的なオフィス立地であることが伺われます。しかし、平日・休日に周辺を実査するとそれだけではないことが分かります。いわゆる「南青山」という地名に魅かれて、近年ファッション性の高い店舗、グレードの高い店舗が多数出現しています。そのため、平日はもちろん、休日においても多くの若者・家族が流入してきており、さしずめ「大人の原宿」的様相を示しています(図2)。
この流入した人々は店周辺をあちこち散策しているのでその一部がピカールの前を通ることが考えられます。原宿や表参道周辺の住宅街ほどではないにしろ影響は大きいでしょう。
また、周辺に住む人々は、世帯年収1500万円以上の比率が4・9%と東京の平均3・7%を大きく上回っており、極めて異例です。
ピカール業態との相性
ピカールの扱う冷凍商品、フランス料理や高価格帯という側面は、この南青山においては特に問題にならないと思われます。近くにある斬新なデザインのビル、KINOKUNIYAのスーパーマーケット部門で売られる商品の価格帯は通常SMの1.3倍~3倍であり、また、近隣にある数々のカフェメニューの単価と比較してもまったく遜色ないからです。1号店目から成功を狙おうとする意欲にたいへんマッチした商圏であろうと考えられます。
狙いは何か?
流通業全体が、厳しい低価格競争に恒常的に晒され続けているなか、デフレの影響を受けにくい高所得層に高価格・高付加価値の商品/サービスをアピールし、定着させていこうとすることは正しい選択です。
とりわけ、都内は、この骨董通りとよく似た高所得層が多く集まる地域がたくさんある。こうした地域に間違いなく出店してブランドを定着させる戦略が功を奏すことを願っている。
1095字
※ ゼンリン社製「電子地図帳Z18」を使って経路探索(自転車)を行った。
●良い立地とは、突き詰めるとたった6個の条件を満たしている立地のことです。
●サイゼリアさいたま南中野店が閉店した。 投稿日 : 2014年6月16日
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●宅配の立地に適した立地はどういう所ですか?
●立地はFC本部が調べてくれるので加盟店は気にしなくてよいか?
●立地が悪いところで繁盛してこそ、本物の商品だと思うが。
●近隣に立地が悪いのに繁盛している店がある。なぜか。
●なぜ立地が重要なのか。商品がよければ立地が悪くても繁盛すると思う。
●立地が良ければ、金融機関はお金を貸してくれるでしょうか?
●ブランド力さえあれば、多少立地は悪くてもうまく行くというのは本当でしょうか?
●そうはいっても、立地はやはり関係ないと思うのですが…
●立地が問題になるのは店を動かせないからで、動かせれば問題ありませんね?
●立地が悪くても高い売上、立地が良くても低い売上ということはありますか?
●立地はどこに出しても大丈夫だと思っています。何か問題がありますか?
●売上予測や立地判定をしないで崩壊したチェーン企業はありますか?
●銀行の人などお金を出してくれる人が立地をどうこう言うことはありますか?
●お店を出すときどうして立地が大事なのですか?
●2号店のための立地判断 43+39のポイント 月刊コンビニ連載2009年12月号
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●あなたの店の経営力診断テスト 立地編 月刊コンビニ連載2010年月11号
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