行動ベクトルが郊外ロードサイドの立地良否を決める 連載17

(有)ソルブ 林原安徳

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行動ベクトルが郊外ロードサイドの立地良否を決める 連載17

店長の立地,統計てきめん2プレミア,商圏,飲食店経営

2020/11/03 行動ベクトルが郊外ロードサイドの立地良否を決める 連載17

 

 

外食業にとって最大の売上げ拡大チャンス、夏が始まりました。ただし、今年は例年にない想定外の災害と事故のおかげで、ほとんどの店は苦戦を強いられていますので、ここで大いに踏ん張っていきましょう。

 

さて、「行動ベクトル」つまり、「地域の人々には共通した行動する方向があって、このことが立地に大いに影響する」ということについてご理解いただけたでしょうか?引き続き今回もう少し詳しく説明させてください。

 

まず、この行動ベクトルという概念は、いつどのように発見されたのでしょうか?

これが発見されたのは、郊外ロードサイド店の売上予測をいろいろ試行錯誤していた20年以上前に発見されたものです。

それは商圏をどのように設定するべきかを研究しているときです。売上予測するには、商圏設定は不可欠です。この商圏設定するために、実際にあるさまざまな商圏を調査しなければなりません。

この調査で、不思議な広がり方をする商圏が見つかりました。それは常識的感覚とは異なるものでした。

なぜかというと、郊外ロードサイドでの商圏は、その店舗が面する道路が進んでいく方向に、より大きく広がるのが通例でした。これはほぼ常識でした。もし、道が東西に走っているなら、商圏も東西に広がるようになります(図1)。

行動ベクトル道沿いに広がる商圏(通常はこうなります)

 

 

ところが、この商圏は、意に反して道路の進行方向とは異なった広がり方をしていたのです(図2)。

02道沿いに広がらない商圏(行動ベクトルによって説明がつくようになりました)

 

はじめはこうしたことは例外としていたのですが、調べていくうちに、いくつも見つかってきました。そうなると、例外扱いはできません。

なぜ、道路の進行方向と異なる方向に商圏が広がっているのか?

これを考えているうちに、分かった共通点がありました。どの商圏も広がっている方向がいずれも東京都心へ向かう方向とほぼ一致したのです。

この広がりを説明するために、行動ベクトルという概念が考案されました。

つまり、東京郊外や埼玉県など周辺地域の人々の行動ベクトルは「東京都心方向」へ向かっている。文字通り人々がこの行動ベクトルに沿って行動しているなら、店舗を利用する確率も、その方向に沿った立地にある店舗のほうが、そうでない店舗よりも高くなるのは当然。だから、道路の位置関係に関係なく、行動ベクトルに沿って商圏が広がる。このように解釈できました。

 

もっと具体的に言うならば、東京都心から見て、西方向にある八王子、立川地域は、西から東に行動ベクトルがあるため、商圏は東西に広がります。また、反対に東方向にある千葉県では、東から西へ行動ベクトルができるため商圏はやはり東西方向に広がります。

同様に、都心より北方向にある埼玉県では、北から南へ向けて行動ベクトルができますので、商圏は南北に広がります。

 

重要なことは、通勤・通学で、ミクロ的(微視的)には駅やバス停、スーパー、ショッピングセンターといったいろいろな場所、いろいろな方向に向かって人々は行動していても、マクロ的(巨視的)には、周辺広域にわたって大きな似たような方向性がある行動をしているということです。

 

それまで、郊外ロードサイド店の立地は、店前交通量やショッピングセンターなどの商業施設との位置関係、視界性評価やインアウト評価程度と、頼りにできる指標がひじょうに少なかったものでした。ですから、この行動ベクトルという概念とそれに伴う商圏設定が生まれたことは、立地の考え方を大きく前進させました。

 

行動ベクトルの描き方

ところで、行動ベクトルの意味はわかっても、その描き方が分かっていないと困りますね。もちろん、前回で説明したように、ひじょうに狭い範囲では、例えば、駅や商業施設へ向けた矢印を描けばそれで済みます。しかし、広域の場合ではどうでしょうか?

一番簡単な方法は、東京都新宿区余丁町(東経139438秒、北緯354135秒)へ向けて矢印を描くことです。

東京の西、八王子バイパス周辺で、その行動ベクトルを描くと、図3のようになります。

 

 

 

図(3) 東京、八王子バイパス周辺の行動ベクトル

周辺は一様に西から東へ向かっていることがわかります。このソフトウェアでは行動ベクトルは矢印ではなく、小さい●が起点、そうでない方が終点となる直線で表されています。八王子 行動ベクトル

 

ただこの方法は、東京都とその周辺の3県でしか通用しません。それ以外の場所で行動ベクトルを描くには、それなりの計算方法を用いなければなりません。ここでは詳述できませんが、描画のヒントを言えば、「人々は大きな商業集積に向かって行動する」ということです。ですから、特定地点での行動ベクトルを描くには、ここから大きな半径の地域全体の商業集積分布を抽出し、その重心となる地点を見つけ出すことが必要です。

それには、商業統計という国が発表した統計データと、それらを地図上に表現でき、計算できるソフトウェアの存在が欠かせません。

こうして計算して描いたものは、例えば図4の宇都宮周辺のようになります。

 

行動ベクトル宇都宮周辺の行動ベクトル(弊社ソフトウェアで描画)

宇都宮の北・東・西の地域の行動ベクトルは宇都宮中心部に向かっていますが、南の地域だけ、それとは反対方向に向かっています。

 

この図からわかるように、行動ベクトルは必ずしも都市の中心部に向かっているとは限らないことがわかります。

 

さて、図5のような物件が、南北に伸びる道路沿いに見つかりました。

行動ベクトル

南北に走る道路沿いにある物件の立地良否はいかに?(弊社ソフトウェアで描画)

 

ここの立地は良いと言えるでしょうか?ただし、行動ベクトルは西北から南東に向かっています。そして、その南東に多くの人々が住んでいます。描かれた多角形は、物件から5分で来られる範囲を自動描画させたものです。

結論から言うと、この立地はリスクが大きいのです。なぜなら、行動ベクトルが向かってくる西北地域に人々が少ない。そして、商圏は、行動ベクトルの方向とはやや違うので、南北には広がりません。その代わり東西に広がることが推測されるのですが、南東の人々の行動ベクトルは物件方向に向いておらず、顧客になりにくいと考えられるからです。

 

このように、郊外ロードサイド立地の良否判定には「行動ベクトル」がたいへん役立ちます。むしろ、行動ベクトルという概念を立地に適用しないと的確な判断は到底できないと言うべきでしょう。

 

 

 

 

(プロフィール)

林原安徳はやしはら やすのり
売上予測コンサルタント。昭和31年さいたま市生まれ。 東京大学卒業後、日本マクドナルド(株)に入社。出店調査部にて、1,000店舗単位の成功を決める「立地と売上予測」を基礎研究し実践応用する。
独立後、理論を独自に深耕させSORBICS(ソルビクス)と命名。これに基づき、チェーン展開する多くの企業や個人をコンサルティングしている。主な著作に「実践・売上予測と立地判定」(商業界)「最新版 これが繁盛立地だ!」(同文舘出版)。無料メルマガを配信中。立地道場を東京、大阪、福岡で開催している。

http://www.sorb.co.jp

 

 

 

「統計てきめん」の地図使用承認(C)昭文社第51G083号)

 

 

 

 


 

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