もう一つの神話、「商圏人口が多いと売れる」。 連載14 

(有)ソルブ 林原安徳

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もう一つの神話、「商圏人口が多いと売れる」。 連載14 

店長の立地,商圏,飲食店経営

2020/10/31 もう一つの神話、「商圏人口が多いと売れる」。 連載14 

ほんとうは、神話ではなくて、事実ですと書くべきかもしれない。

 

しかし、あえて、神話と書いたのには理由があります。

 

 

その理由の第一は、多くの人が「商圏」ということにひじょうに無頓着だからです。

 

「うちは、商圏が小さくても売れますからねえ」と豪語する経営者もたくさんいます。

こういうような文脈で使われている「商圏」は、単に、ちょっとした町の一つや二つをそのまま現していることがあります。

要するに、“ドンブリ勘定”です。

 

 

多くの店長、経営者は、このように商圏についての扱いに無頓着です。

 

 

 

ある高名なコンサルタントの先生は、こう言っておられました。

 

「売上げとういうのはだね、店舗前通行量と商圏人口で決まるのだよ。

 

だから、その二つだけわかれば売上げは簡単に予測できる」

 

 

 

こういうことを言われてても誰も疑問を口にしないほど、皆、商圏について、気にも留めません。

 

ただし時には、

「商圏とは、『○○キロメートル圏の人口』って言うだろう。あれです」

と言ってくれる人に出会うことがあります。

 

 

この考え方は、とても客観的です。

「○○圏」というのは、コンパスで円を描けば良いのですから、誰にでも同じように描けるからです。

 

 

そして、その描いた円の中に入った町の人口を合計すれば、「商圏人口」を出すことができます。

 

しかし、この円は、商圏として扱って良いのでしょうか?

 

つまり、その円で描いた「商圏」の人口の多ければ、売上げは高いのでしょうか?

 

 

 

 

最初に結論を言いますと、それはありません。

 

 

人口と売上 散布図 グラフ

図1 散布図(横軸:円商圏の人口、縦軸:売上)

この図を見れば、円商圏の人口が売上とあまり関係がないことがわかります。

 

 

 

だから、私は、「商圏人口が多いと売れる」は神話だと申し上げているのです。

 

 

仮に、1km圏人口が2万人いる店Aと5万人いる店Bがあったとしましょう。

そうすると、BのほうがAよりも2・5倍いるわけですから、売上げも2・5倍あっても良さそうです。

 

 

が、現実はそうなりません。むしろ、逆になることが多いような気がします(これは、単に私の感覚だけではありません)。

 

 

 

 

もう一つ、神話である理由があります。

 

多くの人が、「正しい商圏」の描き方を知らないからです。

 

だから、「円商圏が商圏だ」と言われても反論できないのです。

 

 

最近はもっときわどい「商圏」が出回り始めました。

 

それは、「ドライブタイム商圏」とか呼ばれているものです。

 

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図3 時間圏

これは、弊社のGIS(統計てきめん)で、車で5分で来店可能な範囲を自動計算させたものです。

この図がイコール商圏ではありません(本文参照)。

 

 

これは、今まで一律に○○KMと言っていたものを、

 

「同じ距離でも、地域によって渋滞や信号待ちがあったり、

迂回道路になっていたりで、同じ時間では到達できない」

 

という理由から、

 

実際の道路を走ってみたときに、

同じ時間で到達できる範囲を「商圏」としよう

という考えから生まれたものです。

 

 

この背景には、GIS(地理情報システム)というITシステムの進化があります。

 

いままで人間には計算できなかったルート探しが自動的にできるようになりました。

 

自動車のナビゲーションシステムはその一つですね。

 

 

 

だから、

これも円商圏とおなじように、

誰がやっても、同じ形を描くことができ、

同じ人口を得ることができます。

 

つまり客観性があります。

 

 

では、

これなら円商圏と違って、

「商圏人口が多いと売れる」と言えるでしょうか?

 

 

これも、残念ながら、そうとは言えません。

 

これは

「ドライブタイムの時間が同じ」ことイコール「商圏」であることは、

決して証明されていないからです。

 

ですから、

「ドライブタイム商圏」のように「商圏」と入れて書くことはいけないのです。

 

 

正しい商圏の描き方

 

 

では、どうしたら正しく商圏を描くことができるのでしょうか?

 

 

これには、2通りの方法があります。

 

そのうち、誰がやっても同じような結果が描ける方を説明しましょう。

 

これは、オブジェクテリア(対象商圏)と呼びます。

 

これは、実際に来店されているお客様を調査して、その商圏を決定するというものです。

 

メッシュ図

図2

お客様調査をする場合に使う地図

国が決めたメッシュ図を市販の地図に重ねておくと、調査しやすく集計しやすいです。

 

 

 

手順を簡単に説明しますと、

①まず、お客様が来店しているであろう範囲をカバーできる地図を用意します。

 

②次にこの地図を、町丁目などの境目ごとに、区画にして太いペンで囲んでおきます。

 

③この地図をお客様に見せ、

「この地図のどの区画からいらっしゃいましたか?」と質問し、

予め決めておいた区画番号を答えてもらうのです。

 

このときの質問は「どの区画にお住まいですか」とか、

ビジネス街なら「どの区画にお勤めですか」というようにしても構いません。

 

 

こうして、できれば1000人のお客様にお聞きします。

 

 

④さて、こうやって集めた情報をどう加工するかといえば、

例えば「Dという区画から来た」というお客様が10人いたとします。

 

そうすると、10÷1000で、全体の1%の人が来ていることがわかります。

 

 

さて、このD区画、仮に500人の人が住んでいたとします。

 

そうすると、そのうち何人の人が来店していることになるのでしょうか。

 

この数字を出すには、

月間の客数を用います。これが例えば、3000人だとしたら、その1%ですから30人が来ていることがわかります。

 

では、これはD区画の人の何%でしょうか。30÷500で、6%ですね。

 

この数字のことを住民浸透度係数と呼びます。

 

この係数を、最初に決めたすべての区画について計算します。

 

 

 

そして、これが最後の仕上げですが、

 

⑤それらすべての区画のうち、住民浸透度係数が5%以上の区画だけ、

ピンクで色塗りをします。

 

こうやって出来たピンク色の全体、これが「正しい商圏」です。

 

正しい商圏 売上 散布図 グラフ

図5 散布図(横軸:正しい商圏の人口、縦軸:売上)

「正しい商圏」で算出した人口は、売上ときわめて関連していることがわかります。

 

 

お分かりでしょうか?

 

要するに、「正しい商圏」とは、住民浸透度係数が5%以上の地域の合計だということです。

 

こうやって、正しい商圏を描けば、必ず「商圏人口が多いと売れる」ということが証明することができます(図5)。

 

売上を伸ばしたければ、商圏を広げれば良いということがわかります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

商圏 グラフ

図4

住民浸透度係数が5%以上の区画を色塗りしたものです。これが「正しい商圏」です。

 

 

 

 

(プロフィール)

林原安徳はやしはら やすのり
売上予測コンサルタント。昭和31年さいたま市生まれ。 東京大学卒業後、日本マクドナルド(株)に入社。出店調査部にて、1,000店舗単位の成功を決める「立地と売上予測」を基礎研究し実践応用する。
独立後、理論を独自に深耕させSORBICS(ソルビクス)と命名。これに基づき、チェーン展開する多くの企業や個人をコンサルティングしている。主な著作に「実践・売上予測と立地判定」(商業界)「最新版 これが繁盛立地だ!」(同文舘出版)。無料メールマガジン「ソルブ通信」で最新の立地情報を配信中。

 

 

 

 

「統計てきめん」の地図使用承認(C)昭文社第51G083号)

 

 

 

 


 

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