客席を増やすと売上はどれだけ増えるのか? 連載50

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客席を増やすと売上はどれだけ増えるのか? 連載50

店長の立地,販売促進,飲食店経営

2020/12/06 客席を増やすと売上はどれだけ増えるのか? 連載50

連載50 5月号 [店長が知っていると得する立地の応用] 14回目

 

客席を増やすと売上はどれだけ増えるのか?

 

①「お昼のピーク時間帯になると、今の客席数だと不足してしまう」、

②「隣のテナントが抜けるので、そこもお店の客席に貸してもいいよと家主に言われた」、

③「来年はお店の改装をするから、適切な客席数を計算しておくように上司に言われた」、

④「お店の前に、道路までの間に、パラソルと椅子を置けるスペースがあるので、それらを購入して、この春から設置してみようと思う」等々。

 

これらは、どれも、そのお店の適正な客席数はどれくらいかを考えなければならないケースです。

 

 

客席

写真1 満席でピークカットを起こし始めている店内

 

 

客席

写真2 ヒマな時間帯であそんでいる客席

 

 

ところで、客席は増やすと、売上は「必ず」増えるでしょうか?

とりわけ、①のような場合は、実際に特定の時間帯に、客席が不足していて、「お店にお客様は来ていただけるけれど、帰られてしまう」という切実な事実があるわけです。この状況を、ピークカットと呼びますが、このようなことが起きているなら、この改善を図る、つまり、客席を増やすと確かに売上は改善します。もちろん、客席数を増やしても、ご注文を聞くのが遅れたり、料理を提供する時間が遅くなるようでしたら、元の木阿弥です。

とはいえ、どんなにお客様増えても、きちんと対応できるというのが商売の原則ですから、ファストフードの事例を挙げるまでもなく、ピークカットさえなくせば「客席増=売上増」の公式が成り立ちます。

つまり、今までピーク時間帯の1時間に30席で3回転して90人のお客だったものを、10席増やせば、30人増え、売上は33%増えるということです。

お店で最も需要が高くなるお昼や夕方のピーク時間帯で、客数増大、売上増大を図ろうとすることは基本中の基本です。飲食需要の低い暇な時間帯にいくら努力してもせいぜい数人のお客様が増えるだけです。

 

さて、こうしたピーク時間帯における客席数と売上の関係は分かりやすいのですが、では一般的にどうでしょうか?

とりわけ、②や③のような場合です。

店舗面積そのものを増やす、あるいは改装をする、いずれも多額の投資が必要となってきます。

ですから、投資に見合うだけの見返りが得られるかどうかは、たいへん重要な判断になります。

出店するかどうかど同じくらい、精度を要求されます。

 

では、答えから先に言いましょう。

客席を増やして、客数や売上を増加させるには、3つの条件があります。

第一は、お店のあるマーケットが大きいほど増加する度合いは大きいのです。つまり、小さなマーケットで、客席を増やしてもあまり効果は期待できないのです。

第二は、お店の現状が、そのマーケットのポテンシャル(潜在需要)を取りきれていないと客席増の効果は大きくなります。これは今話したピークカットが頻繁に見られるような場合ですね。

第三は、客席を増やすときは、大幅に増やすほどその効果は高くなります。逆を言うと、数席、十数席程度増やしたところで、あまり効果はないということです。

 

表は、あるレストランチェーンの改装実績を示したものです。

このチェーンは、どの店も人気で、客席不足が大きな課題でした。

そこで、まず、S駅前店で40席しかなかったので、66席に増やしました。約1.5倍です。すると月商が200万円以上も増えたのです。この場合は、厨房やデッドスペース(使わないで空いている場所)をうまく工夫して何とか増やしただけです。

しかし、それでも、これだけの効果が出ました。

そこで、今度はJ駅前店も、同様の工事を行いました。この時も大幅な増加です。

結果的にここでも240万円以上の売上増加につながりました。

 

 

客席

写真3 ベランダにテーブル・客席を設置

 

 

客席

写真4 外にパラソルとテーブル・椅子を設置

 

 

客席

写真5 まだ客席を増やせる余裕のあるカフェ

 

この2つの成功事例に気を良くした経営者は、次は、ちょうど隣にテナントが空いたので、そこと本来の店をつなげてまるまる客席にしてみたのです。客席は29席から88席増えて110席です。約4倍にしたのです。もちろん売上は4倍とはいきませんが、563万円の増加です。

家賃の増加は60万円程度で済みましたので、改装費用を加えても、じゅうぶんペイするどころか、大きな利益増に繋がりました。

 

経営者はじゅうぶんに自信を付けました。しかし、この自信がやや揺らいだのが、M市にあったX店とY店です。それぞれ72席、46席と大きく増やしたにも拘わらず、思うように売上は伸びなかったからです。

ここでわかったことは、それぞれ共に最初から客席数を大きく確保していたため、それなりに街のポテンシャル(飲食需要)を吸引できていた、ということです。つまり、第二の条件に、逆の意味でひっかかってしまったわけです。

大型店であったためピークカットはあまり起きていなかったというわけです。

 

しかし、それでも、300万円前後の売上増加が得られたのですから、改装は正解だったと言えるでしょう。

客席

このチェーンでは、もう一つ、興味深い事例が発生しました。

新宿にある大型の店で、営業しながら改装するというウルトラCをやりました。つまり、本来あった144席のほぼ9割をクローズして、15席だけで営業を続けながら工事をしたのです。

するとどうでしょう。売上は、月商で3000万円近いダウンです。

想定以上のダウンで、客席のありがたさを身に染みた事例になりました。

狭い店で、持ち帰りばかりでは、ほとんど営業として成り立たない、お客様に迷惑をかけるばかりの状況に陥ってしまったのです。

言うまでもなく、新宿は、巨大なマーケットです。これを数字で示しているのは、表にも書いてある小売販売額の高さです。500m圏内だけで年間に6700億円の販売額というのは、日本でもここだけと言えるでしょう。

 

第一の条件にあるように、マーケットが大きいと客席の多寡による影響もひじょうに大きくなることを如実に示している証拠です。

 

こうやって、たんねんに、改装の都度、客席数の増減を記録し、これと改装前、改装後の売上と客数のデータも揃えておくことで、「客席効果」がどんな理由で起きているかを分析することができます。

 

 

 

本文2390字

 

 

 

はやしはら やすのり

売上予測コンサルタント。有限会社ソルブ代表。東京大学卒。日本マクドナルドで出店調査を担当。退社独立後、独自に深耕させた「立地判定/高精度売上予測」理論をもとに多くのチェーン企業の経営者、個人起業家をコンサルティングしている。著書に『実践 売上予測と立地判定』(商業界)、『最新版 これが「繁盛立地」だ!』(同文館出版)など。

 

図 は、新宿店を中心に500m圏を表示、集計したもの。

「統計てきめん」の地図使用承認(C)昭文社第55G15号

 

 

 

 

 


 

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