商圏調査をやろう その1.目的編 連載51

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商圏調査をやろう その1.目的編 連載51

店長の立地,商圏,飲食店経営

2020/12/07 商圏調査をやろう その1.目的編 連載51

連載51 6月号 [店長が知っていると得する立地の応用] 15回目

 

商圏調査をやろう その1.目的編

 

「商圏調査をやろう」と言われると、「何から手を付けたら良いかわからない」、「商圏調査って何をすることなの?」、「商圏調査して、どんなメリットがあるの」などと店長のあなたは思うかもしれませんね。今回と次回に分けてこうした疑問に答える話しをしましょう。

今回は「目的編」、次回は「実践編」です。

 

商圏調査の目的

商圏調査の目的は、ずばり「効率的に売上を伸ばすこと」です。もちろん、この中には、「客数を増やすこと」、「購入単価を上げること」、「同伴者人数を増やすこと」、「ファンを増やすこと」、「競合店からお客を取り返すこと」などが含まれます。

単に、売上を伸ばすことだけなら、店長ご自身や従業員が時間と労力をかけしゃかりきになってサービス向上を図ればできるでしょう。ここでのポイントは、「効率的」なことです。

売上を上げるための様々な活動を効率的にできるようにすることです。

もちろん、商圏調査をするためには、ある程度の時間と労力が必要です。でも、かけた労力の何倍もの収穫が得られるようになります。だから、重要なのです。

商圏調査は何をすること?

もっともシンプルに言うならば、2つのことをすることです。1つは、お客様へのアンケート調査。もう1つは、商圏地図を作り分析すること(これらの具体的な方法については次回の実践編で書きます)です。

どちらも大事ですが、じゅうぶん意義や内容を理解していないと、1つ目を終えた段階で、もういいやということになりかねませんから、よく理解してください。

 

お客様へのアンケート

お客様の一人一人をよく知っていて、わざわざアンケートしなくてもほとんどのことはわかるというのであれば必要ないかもしれません。

でも、この際、店長のあなたがそういう方であっても、アンケート調査というフォーマル(公式)なことをやってみてください。すると普段は伝えていなかったことが明らかになることがあるものです。例えば、「いつも、駅の方から来るから、帰りがけについでに寄ってくれている」と思っていたお客様でも、正式に住所を聞いたら、それが駅向こうの地域であって、「遠くなる所をわざわざ来てくれている」ことが分かったりして、そのお客様の素晴らしさがわかったりもするのです。

もちろん、忙しくてあまりお客様と日常的な会話なんてできません。そういう店長のあなたでしたら、ぜひともアンケートしてください。

アンケートだからといって、○×や選択肢に答えるばかりではありません。お客様の生の意見もその場でお聞きする絶好のチャンスでもあります。今まで遠慮して言えなかった人でも匿名で答えて誰が答えたかわからないというような状況では、本音を書いてくれます。

もう一つ、このアンケートは商品やサービスに関わる質問はほとんどしないでけっこうです。そういう点のアンケート用紙ならどこの店にでもありますね。でも、商圏調査では、当たり前ですが「商圏に関わる」質問が中心になります。「どちらにお住まいですか?」とか「ご来店前にどちらにいましたか?」、「このお店を出た後、どちらに向かわれますか?」、「そこは、どこですか?」というような質問です。

ですから、お客様から、料理やサービスについての評価はききません。お店のことで聞くとしたら、来店動機のところです。「お客様が本日ご来店になった一番大きな理由は何でしょうか?」の質問に、選択肢として、「店が広いから」、「料理・サービスが良いから」、「雰囲気が良いから」などのように入ってくるくらいです。ですから、安心して、調査をしてください。

ただ、QSC(品質・サービス・清潔さ)があまりひどいと手厳しく言われたり書かれたりするかもしれません。

 

お客さまアンケート 見本はこちら

 

商圏地図を作り、分析

アンケート調査が終わったら、さあ集計です。

集計で、一番まっさきにやるべきことは、お客様がどこから来店したのか、あるいは、どちらにお住まい(お勤め)なのかを集計し、商圏地図を作ることです。

 

最もフォーマルに実施するときは、アンケート調査の段階で「専用地図」を用いることですが、そこまでの準備をしなくても簡易的にできます。お客様の住所が「渋谷区千駄ヶ谷5丁目33番16号シャトレー新宿御苑901号」だとします。

それでも、全部ではなく「渋谷区千駄ヶ谷5丁目」までのところを答えてもらえば良いのです。

名前や電話番号はもちろん質問しませんし、住所も「丁目」までだったら、「個人を特定」することにはなりませんので、「個人情報」にもなりません。

でも、「丁目」まできいておくだけで、立派な商圏地図を作ることができます。

というのも、たいていの市区では、「〇〇町△丁目」毎に、人口や世帯数というデータが集計され、明らかになっている(注)からです。

例えば、人口が500人と分かっているAX丁目から、お店にお客様が50人来ていることが分かれば、その比率は10%だということがわかります。

この10%のことを「住民浸透度係数」と呼びます。この係数が5%以上なら、そこは、立派な商圏「内」ということにする。

これが、正しい商圏の把握の方法です。

つまり、お客様から、「住所、または、直前にいた場所の住所」を「丁目」単位で聞き出すことができれば、商圏地図を作ることができるのです

商圏地図さえ、出来上がれば、すぐ分析ができます。

住民浸透度係数の大きさによって、色分けをすると図3のような図になるからです。

 

商圏地図

図3

 

色分けは、5%以上、10%以上、20%以上で色を濃くしたりすると分かりやすいでしょう。

するとお店が中心に描かれていますが、そのすぐ周辺は、濃い色になります。お店の近くから多くのお客様が来店されているで当然のことですね。そして、お店から離れるにしたがって、色は薄くなっていき、最外周あたりは色塗りされません。

まず、すぐ分かるのは、店に近いのに色塗りされていない地域が必ず見つかるということです。

Aがそうです。Bは店から遠いから良いとしてもAは困りものですね。

そこで、このAを重点的に攻めて行けば、お客様が効率よく増えていくということになりますね。ただし、その区域に、競合店があるのかもしれませんから、実際はその場所に行ってみる必要があります。

 

 

 

注 「〇〇市 丁目 人口」などとインターネットで検索するとたいていは簡単に入手することができます。

 

図1は広島市の「人口・世帯数(町丁目別)」の画面ですが、この中から、年月を指定してクリックすると、図2のようにエクセルの表としてダウンロードすることができます。

データ

図1

 

データ 人口 世帯数

図2

 

 

本文2541字

 

 

 

はやしはら やすのり

売上予測コンサルタント。有限会社ソルブ代表。東京大学卒。日本マクドナルドで出店調査を担当。退社独立後、独自に深耕させた「立地判定/高精度売上予測」理論をもとに多くのチェーン企業の経営者、個人起業家をコンサルティングしている。著書に『実践 売上予測と立地判定』(商業界)、『最新版 これが「繁盛立地」だ!』(同文館出版)など。

 

以下今回は不要です。

「統計てきめん」の地図使用承認(C)昭文社第55G15号

 

 

 

 


 

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