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一挙にたくさんのお客を増やす PC(ポテンシャルクラスター)の話し 連載45
(第9回)連載45 12月号 [店長が知っていると得する立地の応用] 9回目
一挙にたくさんのお客を増やす
PC(ポテンシャルクラスター)の話し
お店の販売促進で一番重要なことは、的確にターゲットを定めることです。
立地の応用でできることがあります。そのターゲットを客層や性別、ライフスタイルではなく、どういう場所に住んでいる(あるいは働いている)人かで決めることです。
その決め方によっては、一挙にたくさんのお客を獲得できるのです。
立地には、PC(ピーシー、Potencial Cluster)という概念があります。これは、「需要集合体」と言う意味です。文字通り、需要が集まっている所を言いますが、きちんとした定義があります。それは、①地域の人々が密集して暮らしている(就業している)、②地域が自然の地形や大きな施設などによって囲まれていること、③地域に出入りできる場所が、1カ所~数カ所に限られている。この3つの条件があてはまるような地域をPCと呼んでいます(図1)。
図1.PCのイメージ図
そして、3条件があることによって、結果的に、この地域の人達の日常的な行動がよく似てくることが知られています。
では、どういう地域がPCと呼べるでしょうか。
例えば、面の広がりを持つPCならば、図2のような地域が一般的です。
図2.水田に囲まれたPC
ここは、住宅地が密集しています。新興住宅地域として開発されたところです。ですから、その周辺は、田んぼや畑、用水路、川に囲まれており住民がどの方向にも行けるというわけではありません。
図の矢印のところしか通ることができません。
そして、もし、近くに駅などがあれば駅に向かう行動線ができます。また、車で来て幹線道路と出会えば、その道路沿いに右左折することでしょう。ちなみに、この時の交差点を「PC由来のTG(交通発生源)」と呼びます。
つまり、PCと呼べる地域にいる人々は、類似した行動をとっているのです。
PCには、この他にも「湾岸型PC(図3)」、「幹線囲み型PC(図4)」、「河川囲み型PC(図5)」、「山麓型PC(図6)」などがあります。
図3.湾岸型PCの事例:東京湾、荒川そして旧江戸川に囲まれている。
図4.幹線囲み型PC:周囲はすべて道幅10mを超える幹線道路に囲まれている。
図5.河川囲み型PC:ちょうど川が蛇行した地帯となって川に囲まれている
図6.山麓型PC:本来は中程度の山(丘)であった所を宅地にしたことでできるPC
さらに、分かりやすいPCの事例として挙げられるものに、「高層マンション」があります。昨今では、30階建て、40階建ても珍しくありません。
このマンションもPCの3条件を完全に満たしています。ですから、PCと呼んで良いのです。
出入口は、文字通り、玄関と裏玄関(ないしは非常口)しかありません。限られた場所からしかできるできませんね。
図7.高層マンション 500戸は普通、時に1棟で1000戸を超えることがある。
さて、販売促進に効果的なのは、こういった「高層マンション」のようなPCなのです。
すなわち、駅前でチラシを配布して、いわゆる「不特定多数」にチラシが渡るよりも、近くのPCの前で配布したほうが良いのです。
なぜなら、不特定多数は、ただの他人同士ですが、同じPCに住んでいる人々は、「行動パターン」がよく似た者同士だからです。
そういう場合、もし、Aさんが店を気に入って来店してくれるようになったならば、Aさんと同じPC(「高層マンション」など)に住むBさんにとっても来店しやすいはずですし、また、Aさんから、Bさんへの情報伝達も比較的容易と考えられるからです。
少なくともこうしたマンションは、区分所有法によって、所有者全員を構成員とする管理組合を作ることが義務付けられていて、住民同士の連絡は否応なく取らなければならないようになっています。
仮に、住民同士でもっと意識の高い組織、自治会のようになっていれば、そのコミュニケーションはさらに濃いものになっているでしょう。
ですから、このPCに働きかけないことは勿体ないことです。
自治会、理事会、管理組合を通して、さまざまに役立つ、便利な情報や割引券などを提供したり、あるいは、出入り口近くに、視界性の良好な看板や店のロゴが入ったオブジェ、長椅子などを置かせてもらうなど、さまざまな販促を行うことができます。
とりわけ、飲食店とのお付き合いは、彼らにとってもたいへんメリットのあることです。例えば、店休みの日に合わせて、業務用の鍋、釜、什器などを貸したり、調理法を紹介したりなど、ふだん住民が経験できないようなイベントを行うというのも良いかもしれません。
こうして高層マンションなどのPCに対する販促に効果があるということが分かりました。他のPCはどうでしょうか?
もちろん、無駄ではありません。いろいろと試してみると良いでしょう。
本文1716字
はやしはら やすのり
売上予測コンサルタント。有限会社ソルブ代表。東京大学卒。日本マクドナルドで売上予測調査を担当。退社独立後、独自に深耕させた「立地判定/高精度売上予測」理論をもとに多くのチェーン企業、個人起業家をコンサルティングしている。著書に『実践 売上予測と立地判定』(商業界)、『最新版 これが「繁盛立地」だ!』(同文館出版)など。昭和31年生56才。http://www.sorb.co.jp
(今回不要です)
「統計てきめん」の地図使用承認(C)昭文社第51G083号
東京都港区南青山2-2-15 ウィン青山942 有限会社ソルブ 電話 03-3538-6603 メール問合せは、こちら ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
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(第9回)連載45 12月号 [店長が知っていると得する立地の応用] 9回目
一挙にたくさんのお客を増やす
PC(ポテンシャルクラスター)の話し
お店の販売促進で一番重要なことは、的確にターゲットを定めることです。
立地の応用でできることがあります。そのターゲットを客層や性別、ライフスタイルではなく、どういう場所に住んでいる(あるいは働いている)人かで決めることです。
その決め方によっては、一挙にたくさんのお客を獲得できるのです。
立地には、PC(ピーシー、Potencial Cluster)という概念があります。これは、「需要集合体」と言う意味です。文字通り、需要が集まっている所を言いますが、きちんとした定義があります。それは、①地域の人々が密集して暮らしている(就業している)、②地域が自然の地形や大きな施設などによって囲まれていること、③地域に出入りできる場所が、1カ所~数カ所に限られている。この3つの条件があてはまるような地域をPCと呼んでいます(図1)。
図1.PCのイメージ図
そして、3条件があることによって、結果的に、この地域の人達の日常的な行動がよく似てくることが知られています。
では、どういう地域がPCと呼べるでしょうか。
例えば、面の広がりを持つPCならば、図2のような地域が一般的です。
図2.水田に囲まれたPC
ここは、住宅地が密集しています。新興住宅地域として開発されたところです。ですから、その周辺は、田んぼや畑、用水路、川に囲まれており住民がどの方向にも行けるというわけではありません。
図の矢印のところしか通ることができません。
そして、もし、近くに駅などがあれば駅に向かう行動線ができます。また、車で来て幹線道路と出会えば、その道路沿いに右左折することでしょう。ちなみに、この時の交差点を「PC由来のTG(交通発生源)」と呼びます。
つまり、PCと呼べる地域にいる人々は、類似した行動をとっているのです。
PCには、この他にも「湾岸型PC(図3)」、「幹線囲み型PC(図4)」、「河川囲み型PC(図5)」、「山麓型PC(図6)」などがあります。
図3.湾岸型PCの事例:東京湾、荒川そして旧江戸川に囲まれている。
図4.幹線囲み型PC:周囲はすべて道幅10mを超える幹線道路に囲まれている。
図5.河川囲み型PC:ちょうど川が蛇行した地帯となって川に囲まれている
図6.山麓型PC:本来は中程度の山(丘)であった所を宅地にしたことでできるPC
さらに、分かりやすいPCの事例として挙げられるものに、「高層マンション」があります。昨今では、30階建て、40階建ても珍しくありません。
このマンションもPCの3条件を完全に満たしています。ですから、PCと呼んで良いのです。
出入口は、文字通り、玄関と裏玄関(ないしは非常口)しかありません。限られた場所からしかできるできませんね。
図7.高層マンション 500戸は普通、時に1棟で1000戸を超えることがある。
さて、販売促進に効果的なのは、こういった「高層マンション」のようなPCなのです。
すなわち、駅前でチラシを配布して、いわゆる「不特定多数」にチラシが渡るよりも、近くのPCの前で配布したほうが良いのです。
なぜなら、不特定多数は、ただの他人同士ですが、同じPCに住んでいる人々は、「行動パターン」がよく似た者同士だからです。
そういう場合、もし、Aさんが店を気に入って来店してくれるようになったならば、Aさんと同じPC(「高層マンション」など)に住むBさんにとっても来店しやすいはずですし、また、Aさんから、Bさんへの情報伝達も比較的容易と考えられるからです。
少なくともこうしたマンションは、区分所有法によって、所有者全員を構成員とする管理組合を作ることが義務付けられていて、住民同士の連絡は否応なく取らなければならないようになっています。
仮に、住民同士でもっと意識の高い組織、自治会のようになっていれば、そのコミュニケーションはさらに濃いものになっているでしょう。
ですから、このPCに働きかけないことは勿体ないことです。
自治会、理事会、管理組合を通して、さまざまに役立つ、便利な情報や割引券などを提供したり、あるいは、出入り口近くに、視界性の良好な看板や店のロゴが入ったオブジェ、長椅子などを置かせてもらうなど、さまざまな販促を行うことができます。
とりわけ、飲食店とのお付き合いは、彼らにとってもたいへんメリットのあることです。例えば、店休みの日に合わせて、業務用の鍋、釜、什器などを貸したり、調理法を紹介したりなど、ふだん住民が経験できないようなイベントを行うというのも良いかもしれません。
こうして高層マンションなどのPCに対する販促に効果があるということが分かりました。他のPCはどうでしょうか?
もちろん、無駄ではありません。いろいろと試してみると良いでしょう。
本文1716字
はやしはら やすのり
売上予測コンサルタント。有限会社ソルブ代表。東京大学卒。日本マクドナルドで売上予測調査を担当。退社独立後、独自に深耕させた「立地判定/高精度売上予測」理論をもとに多くのチェーン企業、個人起業家をコンサルティングしている。著書に『実践 売上予測と立地判定』(商業界)、『最新版 これが「繁盛立地」だ!』(同文館出版)など。昭和31年生56才。http://www.sorb.co.jp
(今回不要です)
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