駐車場は使いやすいか 連載46

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駐車場は使いやすいか 連載46

店長の立地,店舗営業,飲食店経営

2020/12/02 駐車場は使いやすいか 連載46

連載46 1月号 [店長が知っていると得する立地の応用] 10回目

駐車場は使いやすいか

 

日本には、この狭い国土に、約6000万台の乗用車が走っています(注1)。ほぼ、人口2人に1台の割合です。一部の都市部を除いて乗用車なくては暮らしが成り立ちません。

 

のぼり旗

写真1

 

ですから、お店に“駐車場”があることは商売の前提と言えます。

ところが、この当然の駐車場について、とても当然とは考えられないことも起きているので、その役割の条件を挙げることによって、重要性を再確認しましょう。

駐車場が満たしていなければならない条件

条件1 駐車場は、お店の建物と同一の敷地内にあること。

 

つまり、お店と離れたところに、駐車場を作っても人々は来店してくれません、ということです。もちろん、多少の例外はありますが、車道を挟んで反対側に設けたり、店から歩いて5分かかる場所にあっても、駐車場があることにはなりません。 また、店前やし側道に、停車も駐車もできるから、「車ドライバーもお客様になります」と思っている人もいるようですが、公道は、原則的に「停車も駐車もしてはいけない」と考えるべきです。

同一の敷地ではないが、間に、通行車両のほとんどない狭い道を挟んでいるような場合は、この条件を満たしていると考えて良いでしょう(図1参照)。

駐車場

 

 

条件2 駐車場は、店前道路から進入できること。

 

これは、あえて言う必要がないくらい重要なことです。しかし、現実はそうなっていないことがしばしば見受けられます。例えば、駐車場へ入るための進入間口が5mしかないなどです。これでは、店前道路から自動車の進入はきわめて困難になります。進入間口は最低限6mは必要です。

また、よく見かける事例に、数店~10店前後の店が同一敷地を共有しているような場合、店からひじょうに離れたところに進入間口が設置される場合があります。つまり、自店舗の周囲には、間口がない。 これでは、そうした状況を初めから知っている客しか来店できません。衝動来店客は期待できなくなります。

 

駐車場

 

条件3 駐車場からは、元来た道へ出られること。

 

もし、店前道路の交通量が断続的にひじょうに多かったり、中央分離帯などがあると、元来た道に帰れないという事態が発生します。

これでは、「自宅・所用先->店->別の場所」という順で行動する人はお客様になっても、「自宅・所用先->店->元の場所」という順で行動する人はお客様になってくれません。つまり、目的来店できないからです。

しかし、よく駐車場まわりを見ると、裏道をいくつか経由して、元来た道に帰ることができる場合があるものです。こういう迂回路のようなものが見つかったなら、きちんと駐車場に案内板を設置しておくことがお客様の身になった店というものです。

 

駐車場

 

条件4 駐車場の車1台分の幅は2.5m以上なければならない。

この幅を短くすると、同じ敷地でもより多くの台数を「確保」できますね。しかし、2.3mにしたら、途端にその幅内に入れない車が続出します。すると、駐車する車が少しづつズレて、結局、思惑通りにはならないのです。それより、多くのお客様を不快にさせることでしょう。

また、最近では、Uの字タイプの白線を使っていることが多いですが、この場合はその中心から中心までの距離と考えてください。

 

条件4 駐車場の車1台分の幅は2.5m以上なければならない。

 

条件5 駐車場は、その入口も出口も見えなければいけない。

 

これは、条件2と同じようですが、少し異なります。物理的には容易に進入も退出もできるにもかかわらず、入口が見えないので入れない。出口からよく見えないので出られない。そういった現象のことです。

例えば、この原因となるものに、“のぼり旗”があります。これは、お店の営業感、「営業中です」という雰囲気を出すために、有効です。しかし、その扱い方には注意を要します。車の出入りに支障が出てしまうような置き方にしては本末転倒です。

「のぼり旗が邪魔で、入口がわからない」。「のぼり旗が邪魔で見通しがきかなくて出るのがたいへんだった」とお客様に思わせてはいけません(写真1参照)。

 

 

条件6 駐車場内に、樹木や大きな構造物を設置しない。

 

多少、敷地が広いとデザイン的な良さを求めてなのか、樹木などを駐車場内に設置している店を見かけます(写真2)。これでは、せっかくの面積が無駄になるばかりか、駐車場の見通しも悪くします。

 

駐車場

写真2

 

 

それは駐車場の使い勝手が悪くなることです。また、照明塔などの構造物が何の囲いもなく立っていたりすると、車がバックしたりするときに死角ができたり、車同士の接触事故など、思わぬ危険をもたらします。

 

条件7 夜間照明が全体に行き渡るようにすること。

 

駐車場が広ければ広いほど求められることです。また、ローカルな地域でも同様です。夜間照明は防犯上欠くべからざる存在です。駐車場にここそこに暗がりができてしまうような店には、人々は行きたがらないものです。自店舗の駐車場の明るさを他の店と比較して検証してみることをお勧めします。

また、できるならば駐車場全体を常に監視できる防犯カメラの設置もお勧めします。

 

駐車場

 

条件8 じゅうぶんな駐車台数があること。

 

何台がじゅうぶんと言えるのか、これについての明確な基準はありません。それぞれの業種業態あるいは企業で決めておくべきことです。チェーンレストランではおおむね30台以上としているようです。とりわけ、駐車場台数は、お客様の滞在時間が長いほど多く必要になることがわかっています(図5)。

また、(客席数+店内で待たせることができる人数)÷同伴人数で計算することもできます。一つの目安としてください。

 

 

5

 

余談ですが、駐車場に車が最も止めやすいのは、斜めにスペースが取ってあることです。敷地に余裕があるアメリカではよく見かけます(図6)。

 

駐車場

 

本文2295字

 

 

注 一般社団法人日本自動車工業会JAMAホームページによると59,421,009台(2012年末)。

 

はやしはら やすのり

売上予測コンサルタント。有限会社ソルブ代表。東京大学卒。日本マクドナルドで売上予測調査を担当。退社独立後、独自に深耕させた「立地判定/高精度売上予測」理論をもとに多くのチェーン企業、個人起業家をコンサルティングしている。著書に『実践 売上予測と立地判定』(商業界)、『最新版 これが「繁盛立地」だ!』(同文館出版)など。

 

 

 

(今回不要です)

「統計てきめん」の地図使用承認(C)昭文社第51G083

 

 

 


 

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