看板の置き方で変わる立地の良否 連載38

(有)ソルブ 林原安徳

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看板の置き方で変わる立地の良否 連載38

店長の立地,視界性・看板,飲食店経営

2020/11/24 看板の置き方で変わる立地の良否 連載38

連載38 5月号 [店長が知っていると得する立地の応用]

(第2回)看板の置き方で変わる立地の良否

 

お店の看板は何のために作られているか、ご存知ですか。「そんなこと、お店の存在を道を通る人たちに知らせるために決まってるでしょ」と答えたあなたは正解です。

ところが、難しく考えて、「ブランドを浸透させるためしょう」とか、「料理メニューを知ってもらうためです」とか答える人もいるようです。決して間違いではありませんが、これらは第一ではありません。

看板はお店の存在を知らせるもの、これが最も重要なことです。

 

写真1 周りを歩く人々と高さを比べてください。据置看板の方がロゴマークの分だけ高いことがわかります。置き看板

写真1

 

 

いくらお店の料理やサービスが最高レベルでも、その店がどこにあるのか見つけることさえできないのなら、その店は決して繁盛できません。繁盛どころか、お客がほとんど来ないかもしれません。「お店は、人々が見つけることができるから、存在する」と言っても過言ではないでしょう。

十年以上前のひところ、飲食業界でも「看板などなくても、お店がどこにあるかわからなくても、それを探し出す楽しみがあるから、お店は繁盛できる」という噂が流れたことがあります。

しかし、これは、店主の驕りです。よほど特殊な店でもない限り、人々が見つけることのできない、歩いていても気づかない店は、判で押したように閉店を余儀なくされています。

一方で、お店をよく見えるようにした、看板の置き方を変えたという工夫だけで、売上をどんどん上げていくことができている店が少なくないのです。今回は、この原理と改善方法、そしてその効果の実例についてお話ししましょう。

 

 視界性の原理

 

よく知覚と認識をごっちゃにして「視認性」という言葉づかいを立地で使う人もいますが、これは間違いです。「店を知覚すること」と、「そこに店があることを識別すること」は別物だからです。前者は、「視力(例:カメラで撮影すること)」のことであって、後者は「視覚情報を処理すること(例:コンピュータ処理すること)」と言えば、その違いは明確ですね。

そこで、この視力(正確には「視知覚」)に相当するところに焦点をあてて、「視界性」と呼びます。この視界性が実は重要なのです。

人間の知覚は、複雑です。だから、見る対象によって、多くのトリックにひっかかります。

ですから、そうした人間の知覚の特性に応じて、立地では、6つの観点で視界性を考えます。

 

視界性

 

  • 視界障害 人間の視界、視野の中に入って来ないものを知覚することはできません。見ようとする対象との間に何かべつのものがあって視界を遮られると見えません。
  • 視界融合 人間は、バラバラのものを見てもそれらを「まとまったもの」にして見ようとする習性があります。例えば、建物は、窓や壁、ひさし、屋根などの個別としてではなく、「建物」というまとまりで見ようとします。看板も同様で、似たような形状(フォルム)の看板がばかりでは、それらがまとまって見えてしまいます(図2)。

 

視界融合

図2

 

  • 視界退行 人間は、照度や印象、興味など強い刺激があるものを見ると、その周囲にある弱い刺激のものを見ません。ハロー効果とも言います(図3)。また、高速で移動していると、視野は狭くなります。こうした現象を立地では視界退行と呼びます。

 

視界退行

図3

 

  • 視界離脱 視界内にあるものと視界の外にあるものとの色や形での関連性がつかめないとそれぞれを別物と感じてしまいます。
  • 視界縮小 道路が大きくカーブしているところで運転していると、運転者の視界は曲がっていく方向にくぎ付けになり、視界が縮小してしまいます。
  • 視界補助 まっすぐ向いていると、人間が最良の視力で見える視野は、中心からプラスマイナス4度(100m先で、約14m)の範囲内です。その範囲を超えたものは、視界障害がなかったとしても、正確に知覚することができません。これを補う工夫が視界補助です。

 

視界性の改善方法

  • もっとも改善しやすい方法は、店や店の看板を見えなくしている「障害」を取り除くことです。仮に、店の前に、大きな荷物が置いてあるような場合は、その荷物をどかします。また、建物に設置した袖看板が低すぎて見えないなら、高いところに移します。置き看板も同じです。人の影に隠れて見えないなら、見えるように、看板の高さを調節してみましょう(写真1)。

 

 

 

  •  
  • 視界障害を起こす障害の中には、街路樹や電線・電柱などのように勝手に動かすことができないものがありますが、敢えて看板の位置を低くして見えるようにできるなど工夫次第なときもあります。
  • 多くの店でよく行う間違いがあります。例えば、のぼり旗の立て方です。
    のぼり旗は、多くの場合、営業感を強くさせるために設置します。

 

 

のぼり旗 視界障害

  • 写真2 業種こそ違え、同じ誤りをおかしている飲食店を多々見かけます。
  • しかし、この写真(2)のように、のぼり旗を置いてしまうと、肝心の店が見えなくなってしまいます。加えて店自体の色使いなどの印象が弱いと、視界退行も起きてしまいます。のぼり旗を移動させることです。
  • 道路標識は運転者の誰もが注意を払って知覚するものです。ですから、道路標識のすぐそばに、看板を出してもそのハロー効果があるため見えません。道路標識から離れた所に看板を移動させましょう。
  • 「車は急には止まれない」とあるように、自動車を安全に停止させるためには、ある程度の時間的、距離的余裕が必要です。本来ですと、100m以上遠くから知覚できるほどのサインポールを立てることが効果的ですが相当なコストになります。しかし、そんなにコストをかけなくても、店の存在を知らせることができる場合もあります(写真3)。

路石

写真3 自店のロゴを張り付けたブロック。これを、道沿いに並べて置くことによって、視界性は格段とアップします。

看板の改善効果

看板の設置の仕方で、どれだけ売上に影響を与えるでしょうか。例えば、店に付属している看板、据置型の看板などすべてを取り去ったら売上はどのくらい減少するかという実験を行えば、その影響を正確に知ることができるでしょう。

正しい場所に設置することによって、大手ファストフードで売上を2倍にしたという報告もあります。その後、この企業の看板設置に関わる執念は大きいものがあります。

また、野立て看板を正しく設置するだけで10~20%前後の売上増加を記録した実例があります(図4)

 

野立て看板

図4

 

このように、看板の位置を少々変化させただけで売上を大きく変えることができる場合があるので、自店舗の看板を見直してみましょう。

 

キャプション

 

 

 

 

 

 

(プロフィール)

林原安徳はやしはら やすのり
売上予測のプロ。経営コンサルタント。1956年さいたま市生。 東大(農)卒後、日本マクドナルド(株)出店調査部にて、「立地と売上予測」を基礎研究。退社独立後、理論を独自に深耕させSORBICS(ソルビクス)と命名。これに基づき、チェーン展開する多くの企業や個人を指導。主な著作「実践・売上予測と立地判定」(商業界)「最新版 これが繁盛立地だ!」(同文舘出版)。無料メルマガを配信中。http://www.sorb.co.jp

 

 

 

 

 

 


 

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