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あなたは足元を大切にしているだろうか? (商圏の話) 連載39
(第3回)連載39 6月号 [店長が知っていると得する立地の応用]
あなたは足元を大切にしているだろうか? (商圏の話)
ほとんどの店は足元に顧客がいるかどうか 10~20サンプルで決めてはだめ
お店の売上が落ちてきた。何とか対策をしたい。そうだクーポンを配ろう。チラシの折り込みをしよう。そう考えたとき、予め知っておくべきことは、そのお店の商圏です。
商圏でもないところで、販売促進活動を行っても何の成果も挙がりません。だから、店長は自分の商圏を知っておくと得をするのです。
あなたの店のお客様はどこから来てくれていますか?
この質問に即答できたあなたは優秀です。よくお客様とコミュニケーションをとっているか、イベントなど何かの機会にお客様の住所を得て覚えているかのどちらかでしょう。
では、そのあなたの考えているお客様の来店範囲は、“商圏”と言って良いのでしょうか?
例えば、東京のある店長Aがこう言いました。「うちのお客さんは、北海道からも来てくれるのです」
つまり、店長Aは、この店への来店範囲は「北海道」まで広がっているから商圏が広いと言いたいのです。確かに、この店長はウソはついていないでしょう。
しかし、「お客様がやってきてくれる来店範囲」と「商圏」は別物です。まず、この点を知ってください。単に、「商圏=お客様の来店範囲」と思ってしまうと、その商圏は、とっても広くなってしまう傾向にあります。
それは、たまたま遠くから来てくれた人を、来店頻度の高い人を同じに扱ってしまうところから起きるマチガイなのです。
商圏は、お客様の住所だけを知っていればわかるというのではなく、ある特定の地域に住む人のうち、5%以上の人が来店しているかどうかまで知らなければわかりません。
例えば、○○町○○丁目という地域Bがあり、2000人住んでいるとしましょう。その地域Bからお客さんが月に160人来たとします。
そうすると160÷2000=8%ですから、この地域Bは商圏内であると言っても良いのです。
では、店長Aさんの発言はどうなるでしょう。北海道の人口は、547万人ですので、北海道からお客さんが1万人来店されたとしても0.2%にも満たないので、北海道は商圏内ではありません。
図4 メッシュの人口に対する顧客の比率(住民浸透度係数)を元に色分けしたものです。ここで5%以上のメッシュが商圏内ということになります。
一般的に、商圏はまだら模様になることが知られています(図4)。つまり、お客様の割合の高い地域と、反対に低い地域があちこちにできます。
ですから商圏への働きかけには、お客様の割合が高い地域と低い地域のどちらにするかによって、大きく分けて2通りあります。
とても高い地域なら、お店への好感度も高いと考えても良いでしょうから、新メニューや新サービス登場や○○周年記念イベントのようなものを告知して、よりお店を好きになってもらう企画や、二人で来店したら○○円お得のような客単価アップ企画が良いでしょう。
反対に、お客様の割合の低い地域はどうでしょう。
もちろん、新規顧客の開拓が主なテーマになるはずです。お客様が一人でも多く来店してくれるように、初めての人向けのクーポンを配りましょう。「おっ、安いな。行ってみるか」と思わせることが肝心です。お店に一度でも行ったことがあれば、次も来店する確率はぐんと上がります。
さて、同じように割合が低い地域でも、それが同業他社の店がオープンしていることが原因と考えられる場合があります。この時は、当然ながら、その店、ライバル店を意識した販売促進活動をする必要があります。
チラシでメニューの内容と価格を比較しても良いかもしれませんね。また、ライバル店で出しているクーポンが自店舗で使えるというようなチラシも有効です。もちろん商品サービス名称が必ずしも同じではありませんから、この点は細心の注意が必要です。
都心の繁華街や駅前に出店していますと、「自宅」を聞いただけでは、商圏はほとんど設定できないことになります。つまり、自宅がそれぞれ遠くてバラバラだからです。
そういう場合は、自宅の住所を聞くのではなく、「勤務先」の住所を聞くのです。その上で、人口ではなく、昼間人口を元に、その地域の来店比率を算出すると良いでしょう。
「自宅」をあきらめ「勤務先」をターゲットにするわけです。
最後に、必ず覚えておいてほしいことがあります。それは、商圏調査や顧客アンケート調査を大々的にできないお店にこそ覚えてほしいことです。
つまり、お客様は「近いところにこそ」いるという当たり前の事実です。
ですから、少なくとも店から500m圏内は、「つねに」何らかの販売促進の対象にしないといけないというものです。
「うちの店は遠くから来店するお客がいるから、そんな必要はない」などとは決して思ってはいけません。販売促進は、「まず足元を大事にする」ことが鉄則です。500m圏内に住む人は1度は来店してくれたことがある。そういうようにしましょう。
その上で、少し余裕が出てきたら、きちんと商圏調査をして、適切な販売促進をしていくことです。
商圏を軽視して、営業をしないことが肝心です。
図1 お客様の住所を点でプロットしただけの図です。
図1Aは図1を元に最も外側を含めて点をつなげたものですが、
図1Bは外側は除いて描いたものです。同じ顧客分布でありながらまったく違う図ができてしまいます。
図2 地域をそれぞれ4次メッシュという長方形にして区分したものです。
図3 同一の地域で4次メッシュの人口の分布を示しています。200人台から5000人台までさまざまであることがわかります。
「統計てきめん」の地図使用承認(C)昭文社第51G083号
(プロフィール)
林原安徳はやしはら やすのり 売上予測のプロ。経営コンサルタント。1956年さいたま市生。 東大(農)卒後、日本マクドナルド(株)出店調査部にて、「立地と売上予測」を基礎研究。退社独立後、理論を独自に深耕させSORBICS(ソルビクス)と命名。これに基づき、チェーン展開する多くの企業や個人を指導。主な著作「実践・売上予測と立地判定」(商業界)「最新版 これが繁盛立地だ!」(同文舘出版)。無料メルマガを配信中。http://www.sorb.co.jp
東京都港区南青山2-2-15 ウィン青山942 有限会社ソルブ 電話 03-3538-6603 メール問合せは、こちら ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
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(第3回)連載39 6月号 [店長が知っていると得する立地の応用]
あなたは足元を大切にしているだろうか? (商圏の話)
ほとんどの店は足元に顧客がいるかどうか 10~20サンプルで決めてはだめ
お店の売上が落ちてきた。何とか対策をしたい。そうだクーポンを配ろう。チラシの折り込みをしよう。そう考えたとき、予め知っておくべきことは、そのお店の商圏です。
商圏でもないところで、販売促進活動を行っても何の成果も挙がりません。だから、店長は自分の商圏を知っておくと得をするのです。
商圏の定義
あなたの店のお客様はどこから来てくれていますか?
この質問に即答できたあなたは優秀です。よくお客様とコミュニケーションをとっているか、イベントなど何かの機会にお客様の住所を得て覚えているかのどちらかでしょう。
では、そのあなたの考えているお客様の来店範囲は、“商圏”と言って良いのでしょうか?
例えば、東京のある店長Aがこう言いました。「うちのお客さんは、北海道からも来てくれるのです」
つまり、店長Aは、この店への来店範囲は「北海道」まで広がっているから商圏が広いと言いたいのです。確かに、この店長はウソはついていないでしょう。
しかし、「お客様がやってきてくれる来店範囲」と「商圏」は別物です。まず、この点を知ってください。単に、「商圏=お客様の来店範囲」と思ってしまうと、その商圏は、とっても広くなってしまう傾向にあります。
それは、たまたま遠くから来てくれた人を、来店頻度の高い人を同じに扱ってしまうところから起きるマチガイなのです。
商圏は、お客様の住所だけを知っていればわかるというのではなく、ある特定の地域に住む人のうち、5%以上の人が来店しているかどうかまで知らなければわかりません。
例えば、○○町○○丁目という地域Bがあり、2000人住んでいるとしましょう。その地域Bからお客さんが月に160人来たとします。
そうすると160÷2000=8%ですから、この地域Bは商圏内であると言っても良いのです。
では、店長Aさんの発言はどうなるでしょう。北海道の人口は、547万人ですので、北海道からお客さんが1万人来店されたとしても0.2%にも満たないので、北海道は商圏内ではありません。
図4 メッシュの人口に対する顧客の比率(住民浸透度係数)を元に色分けしたものです。ここで5%以上のメッシュが商圏内ということになります。
商圏への働きかけ
一般的に、商圏はまだら模様になることが知られています(図4)。つまり、お客様の割合の高い地域と、反対に低い地域があちこちにできます。
ですから商圏への働きかけには、お客様の割合が高い地域と低い地域のどちらにするかによって、大きく分けて2通りあります。
とても高い地域なら、お店への好感度も高いと考えても良いでしょうから、新メニューや新サービス登場や○○周年記念イベントのようなものを告知して、よりお店を好きになってもらう企画や、二人で来店したら○○円お得のような客単価アップ企画が良いでしょう。
反対に、お客様の割合の低い地域はどうでしょう。
もちろん、新規顧客の開拓が主なテーマになるはずです。お客様が一人でも多く来店してくれるように、初めての人向けのクーポンを配りましょう。「おっ、安いな。行ってみるか」と思わせることが肝心です。お店に一度でも行ったことがあれば、次も来店する確率はぐんと上がります。
さて、同じように割合が低い地域でも、それが同業他社の店がオープンしていることが原因と考えられる場合があります。この時は、当然ながら、その店、ライバル店を意識した販売促進活動をする必要があります。
チラシでメニューの内容と価格を比較しても良いかもしれませんね。また、ライバル店で出しているクーポンが自店舗で使えるというようなチラシも有効です。もちろん商品サービス名称が必ずしも同じではありませんから、この点は細心の注意が必要です。
商圏が設定しづらい店
都心の繁華街や駅前に出店していますと、「自宅」を聞いただけでは、商圏はほとんど設定できないことになります。つまり、自宅がそれぞれ遠くてバラバラだからです。
そういう場合は、自宅の住所を聞くのではなく、「勤務先」の住所を聞くのです。その上で、人口ではなく、昼間人口を元に、その地域の来店比率を算出すると良いでしょう。
「自宅」をあきらめ「勤務先」をターゲットにするわけです。
足元の商圏
最後に、必ず覚えておいてほしいことがあります。それは、商圏調査や顧客アンケート調査を大々的にできないお店にこそ覚えてほしいことです。
つまり、お客様は「近いところにこそ」いるという当たり前の事実です。
ですから、少なくとも店から500m圏内は、「つねに」何らかの販売促進の対象にしないといけないというものです。
「うちの店は遠くから来店するお客がいるから、そんな必要はない」などとは決して思ってはいけません。販売促進は、「まず足元を大事にする」ことが鉄則です。500m圏内に住む人は1度は来店してくれたことがある。そういうようにしましょう。
その上で、少し余裕が出てきたら、きちんと商圏調査をして、適切な販売促進をしていくことです。
商圏を軽視して、営業をしないことが肝心です。
図1 お客様の住所を点でプロットしただけの図です。
図1Aは図1を元に最も外側を含めて点をつなげたものですが、
図1Bは外側は除いて描いたものです。同じ顧客分布でありながらまったく違う図ができてしまいます。
図2 地域をそれぞれ4次メッシュという長方形にして区分したものです。
図3 同一の地域で4次メッシュの人口の分布を示しています。200人台から5000人台までさまざまであることがわかります。
「統計てきめん」の地図使用承認(C)昭文社第51G083号
(プロフィール)
林原安徳はやしはら やすのり
売上予測のプロ。経営コンサルタント。1956年さいたま市生。 東大(農)卒後、日本マクドナルド(株)出店調査部にて、「立地と売上予測」を基礎研究。退社独立後、理論を独自に深耕させSORBICS(ソルビクス)と命名。これに基づき、チェーン展開する多くの企業や個人を指導。主な著作「実践・売上予測と立地判定」(商業界)「最新版 これが繁盛立地だ!」(同文舘出版)。無料メルマガを配信中。http://www.sorb.co.jp
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