入り易い店・入りにくい店 連載53

(有)ソルブ 林原安徳

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入り易い店・入りにくい店 連載53

店長の立地,飲食店経営

2020/12/09 入り易い店・入りにくい店 連載53

連載53 8月号 [店長が知っていると得する立地の応用] 17回目

 

入り易い店・入りにくい店

 

昔、まだファストフードが珍しかった頃、ハンバーガー店やドーナツ店などの斬新なデザインの店に入るのは、男性にとって一大決心がいるものでした。というと信じられないと思われる読者の方もいらっしゃるでしょうが本当です。それほど、世の男性にとってファストフードは敷居が高かったのです。ところが、女性、とりわけ若い女性ほどさほどの抵抗感がなかったようです。だから、どこの店もお客さんが女性ばかりで、このことが余計に「男性」を入りにくくしていました。今となっては笑い話ですね。

 

この入り易い、入りにくいというのは、店が醸し出す雰囲気が心理的にそうさせるのです。

というと、とても曖昧なもののように思われるかもしれません。

しかし、立地として考えると、確かに、「入り易いか、入りにくいか」を決めている要因がいくつも見つかっています。これを、今回は説明していきましょうので、「入り易い」店づくりを心掛けてくれるよう願っています。

 

 通行人にとっての到達容易性

「入り易さ・近づき易さ」のことを“到達容易性”と立地では呼びます。

主に店前を歩く通行人を対象とした立地の場合、この到達容易性は主に次のような要因で決まってきます。1.間口、2.階数と階段、3.入口を塞ぐもの、4.動線から距離、5.周囲の施設

1.間口:店の入り口の間口は広いに越したことはありません。最低でも3m以上が望まれます。どうしても実際の間口がそれほど広くない場合は、見かけだけでも広く見せる工夫をしておくと良いでしょう。また、店の上に看板を出す場合は、この看板もなるべく広く、家主さんが使っても良いと言ってくれる範囲で目いっぱい使って看板を出すべきです。遠慮しないことです。

一方、せっかく広い間口を有していてもそこが他のテナントとの共同入口になっている場合もあります。そのような場合は、隣接した店の責任者とよく話し合って看板の位置を決めておくことが肝心です。自分だけ広ければ良いと黙って看板をアチコチ出すのはよくありません。

2.階数と階段:店が道路に面しているとは限りません。2、3階や上層階、地下階などさまざまです。物件取得の際に、自店舗だけへ直接入って来られる階段が確保されていれば最良(写真1)なのですが、そうではないと、階段やエレベーターを共用することになります。

 

二階 

写真1

 

これは到達容易性の妨げになりますが、家主さんとの交渉をしっかり行い、お客さんが迷わないように自店舗への誘導サインを確保しなければなりません。「建物の前まで来たけれど、どこに店があるのか、さっぱりわからない」というのが最も困りもの(写真2)です。

 

視界融合

写真2

 

3.入口を塞ぐもの:入口はいつも清潔で、明るく、障害物を何も置かないことが鉄則です。入り口付近に、酒瓶の入った箱やら、配送物、ゴミ袋などが置いてあるなどというのは論外です(写真3)。

看板

写真3

 

また、駅の近くであると、店前に自転車がたくさん放置されている情景が見られます(写真4)。

放置自転車

写真4

 

近隣の商店も困っているはずですので、商店街や役所に協力を呼びかけ、改善を促す努力を怠ってはいけません。ただし、自店の前だけ自転車がなければ良いという考えはいけません。

さらに、店の床面が路面より高かったりする場合、その段差を上手に超えられるようにしておくことです。単なる鉄板の段差だと雨の日に滑りやすくなるのでこの点も考慮して下さい。

入口周辺が暗いような場合は、昼間でも照明を増やすことが不可欠です。

時々、店の営業感を出そうと焦っているためなのか、ノボリ旗をたくさん建て過ぎて店の入り口がどこにあるのか分からなくなっている店を見かけます。これでは本末転倒ですので注意して下さい。

4.動線から距離:人々が通勤や通学、あるいは買い物のために通る日常行動線(略して「動線」)から、少し入り込んだ場所に店がある場合、その動線を往く人々から、店がどこにあるか分かるようにすることです。角に、誘導のための看板を敷設したり、夜間は店前が明るく照らされるなどの工夫が必要です。

5.周囲の施設:お店自体が大丈夫でも、隣接する施設によっては、人々が近寄って来られないということもあります。いわゆる「嫌悪施設」があるような場合です。また、風営法適用の店などがあると、子供やファミリー客、女性も近寄り難くなります(このようなことは、お店の人にはどうにもならないかもしれません)。

 

車来店がメインの店の到達容易性

到達容易性の主なポイントは、駐車場へのIN、駐車場からのOUTです。

店側車線のIN・OUT

駐車場への入り口幅(「切り下げ」と呼びます)は6m以上あるでしょうか?できれば、入り口の見通しをよくするため、切り下げ以外にも4,5mくらいのゆとりがほしいものです(写真5)。

 

広い間口

 

写真5

 

また、ここでもノボリ旗は要注意です(写真6)。ドライバーの視界を遮り、入りにくくしているだけということもしばしばあるからです。

 

 

のぼり旗

写真6

 

 

入る車と出る車が鉢合わせして、事故を起こしやすい環境にある出入口もあります。この場合はカーブミラーを取り付けるなど、安全に配慮した工夫が望まれます。

ドライバーの多くは、なるべく店の出入口に近いスペースに止めようとする傾向がありますが、その出入口が道路沿いに近いと歩行者の動線とぶつかり易くなるばかりか、満車状態と思われがちになります。奥に駐車場が続いているのなら、奥への誘導看板を設置することも一考です。

駐車場からOUTするときは、INするときよりも危険度が高いことが知られています。OUTする時のドライバーの視界を妨げるものがないよう気を配ってください。一度、事故を起こした店にはお客さんはもう来てくれません。

反対側車線のIN・OUT

とりわけ幹線道路に面していると、反対側車線からのIN・OUTは難しくなっているものです。

そういう場合、帰りは、どこでUターンできるか、裏道はどうやって行けば良いかなど、駐車場の分かりやすい所か、店内の目につく所に案内板を設置することをお勧めします。

「どうやって帰ろうか」と困ってしまっているドライバーも少なからずいるものです。

スピードが出やすい道路

スピードが出ているとどうしても店を知覚してから減速して安全に進入することができないため、店を通り過ぎてしまう傾向が起きます。

このような場合は、100m以上手前から店が知覚できるようにしたり、1~2km手前に野立て看板を設置することが効果的です(もちろん、野立て看板のデザインはシンプルで分かりやすく作ります)。これで、店前に来るまでにお客さんが減速してくれるならば到達容易性は高まります。

 

 

 

 

 

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はやしはら やすのり

売上予測コンサルタント。有限会社ソルブ代表。東京大学卒。日本マクドナルドで出店調査を担当。退社独立後、独自に深耕させた「立地判定/高精度売上予測」理論をもとに多くのチェーン企業の経営者、個人起業家をコンサルティングしている。著書に『実践 売上予測と立地判定』(商業界)、『最新版 これが「繁盛立地」だ!』(同文館出版)など。

以下今回は不要です。

「統計てきめん」の地図使用承認(C)昭文社第55G15号

 

 

 

 


 

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