比較法で計算する売上予測の基本(前編) 連載32

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比較法で計算する売上予測の基本(前編) 連載32

店長の立地,売上予測,飲食店経営

2020/11/18 比較法で計算する売上予測の基本(前編) 連載32

さて、今回から、コンピュータを駆使して、新店の「売上予測」を行っていく方法を説明していきましょう。

コンピュータと言えば、難しそうに思えるかもしれませんが、エクセルなどの表計算ソフトを使ったことのある人なら、容易にわかるはずです。もし、扱ったことがなければ、これを機会にして、コンピュータに慣れ親しんでください。

まず、手始めに「比較法」での売上予測をやってみましょう。

 

比較表

 

 

簡単に、概略を言いますと、「既存店の立地を数値化したものを元に、立地得点と係数を求め、新店の立地得点から売上予測するもの」です。

その順番を具体的に書くと次のようになります。

 

Step1.既存店を選ぶ

Step2.立地要因をリストアップする。

 

Step3.既存店それぞれに、立地要因の点数をつける

Step4.それぞれの立地要因に、ウェイトを与える

 

Step5.既存店の店舗別に、立地得点を付ける

Step6.立地得点と売上との関係式(係数)を求める

 

Step7.予測対象物件の立地得点を出し、売上予測する。

 

 

この7つのステップで、予測ができます。ちょっとしたコツさえつかめば、誰でも簡単に、売上予測をすることができるので、初心者向けにはとても良い練習になります。

 

それでは、それぞれのステップについて、詳しく説明していきましょう。

 

Step1.既存店を選ぶ

比較法を行うためには、既存店が4店舗以上あり、それぞれの月間売上が6か月以上あることが必要です。仮に、それより少ないような場合は、同業他社の店であっても構いません。ただし、既存店同様、月間売上がわかっていなければなりません。売上でなく客数でも構いません。

6か月というのは、最初の数か月間は、開店景気で売上が通常より良かったり、あるいは逆に、認知が浸透していないため悪かったりする場合がありますので、この期間を除いて月間売上の平均を求めるたまです。ですから、仮にデータが1か月分しかない場合はでも、この補正ができるようなら、それでも十分です。

また、既存店が多くて、数十店ある場合では、その一部、10店舗程度を用いれば良いでしょう。また、数年分以上の月間売上があっても、最寄りの1年間の平均売上が用意できれば十分です。ただし、その1年間の中で、環境や営業方法などの激変があったような場合は、その月以降の月間売上の平均を使った方が良いでしょう。

既存店の選び方ですが、これは、ランダムにします。そして、選んだ店(サンプル店)の売上の平均と全店のそれがほぼ同じになるようにしてください。つまり、売れている店だけ選ぶ、売れていない店だけ選ぶということはしないようにしてください。

 

Step2.立地要因をリストアップする。

比較法の中で、一番、重要なStepです。

なぜなら、ここで考えうる大事な立地要因を用意できなければ、どんなにやっても高い精度の売上予測はできないからです。精度のカギはこの段階で決まると言っても過言ではありません。

とは言っても、慎重になる必要はありません。必要そうな立地要因は後で加えたり、減らしたりできます。

では、どういう立地要因をリストアップすればいいでしょう。

これには、4つのカテゴリを網羅するようにします。

4つのカテゴリとは、①マーケット、②TGとの位置関係、③建物・土地評価、④競合状況です。

  • マーケットとは、店の周辺にどのような人がどれだけいるかということを意味します。

商圏を設定できるなら、その商圏の規模や、商圏の質(住民の年齢層や教育状態など)のデータを集めると良いでしょう。また、500m圏、1km圏、・・・、或いは、時間圏を設定できるのであれば、車で5分圏、10分圏でのデータ収集もありです。

 

 

時間圏

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これは、物件を中心に車を使って5分でいける時間圏を算出し、その範囲内のデータを表したものです。商圏の規模や商圏の質を表すために使います。

 

データは、国勢調査や商業統計調査、市区町村発行の人口統計があれば良いのです。

ただし、こうしたデータは、必ずしもWEBサイトで収集できるものではありません。この際、弊社が使っている「統計てきめん」など手頃なソフトウェア(一般的にGISと呼ばれています)を予算に応じて揃えることをお勧めします。

  • TGとの位置関係

すでに、TG(ティージー、交通発生源)とは何かについてはお話ししましたが、このTGとTGとの間には、動線が形成されます。店がこの動線上にあるかどうか、動線上を行く人やTGそのものから、店舗の視界性が良いかどうか、といったことを数値で表します。

また、店が周辺の人々の日常行動方向に沿っているか、ポテンシャルクラスター(需要集合体、高層マンションや)が店周辺にあるかどうか、あるなら規模はどうかということも、データ化しておくと良いでしょう。

こうしたデータは、①マーケットから、どれだけ効率良くそのポテンシャル(潜在需要)を引き出すことができるかを表す指標となります。

  • 建物・土地評価

これは、店側の受入れ態勢が十分であるかどうかを表す指標です。

お客が来店しても、店が狭かったり、レイアウトが悪かったりすれば、お客のニーズをじゅうぶん満たすことはできません。車客が多い郊外店舗であれば、駐車場の広さや間口の広さ、車線からのIN、OUTの良好度なども影響してきます。

  • 競合状況

同業店が店の売上に影響することは確かなこととして知られています。ですから、周辺にどのような同業店がいくつどの辺りにあるかなどをデータ化して使います。

ただし、同業店は、自店にマイナスの影響を与えるからと言って、マーケットが縮小するわけではありません。それどころか、マーケットが拡大することが知られています。その上で、同業店と自店が競争することによって互いの売上が決まることは前提として知っておいてください。

 

Step3.既存店それぞれに、立地要因の点数をつける

以上のように、既存店を選び、立地要因をリストアップして、それぞれの点数を付けて一覧表にしたものが、図2になります。

次号では、この表からどのように売上予測に結び付けていくのかについてお話ししましょう。

 

 

(プロフィール)

林原安徳はやしはら やすのり
売上予測のプロ。経営コンサルタント。1956年さいたま市生55才。 東大(農)卒後、日本マクドナルド(株)出店調査部にて、「立地と売上予測」を基礎研究。退社独立後、理論を独自に深耕させSORBICS(ソルビクス)と命名。これに基づき、チェーン展開する多くの企業や個人を指導。主な著作「実践・売上予測と立地判定」(商業界)「最新版 これが繁盛立地だ!」(同文舘出版)。無料メルマガを配信中。http://www.sorb.co.jp

 

 

「統計てきめん」の地図使用承認(C)昭文社第51G083号)

 

 


 

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林原安徳:有)ソルブは、立地と高精度/売上予測で「不振店」を根絶します。

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