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比較法で計算する売上予測の基本(後編) 連載33
前回は「比較法」での売上予測、そのStep3までを説明しました。後編は残りStep4から7までを説明します。
Step4.それぞれの立地要因に、ウェイトを与える。
ウェイトは、「係数」または「重み」のことで、文字通り、それぞれの立地要因の重みを表します。
この値は、最初はすべて「1」にします。そして、それぞれの立地要因の数値の大きさに応じて、数値が大きければ、小さめの値に、その数値が小さければ大きめの値にしておくことがコツです。
たとえば、図1で、マーケットの中で「小売業年間販売額」は、数値が133~615といずれも3ケタと大きいので、ウェイトは「1」ですが、「商圏の質」では、1~3の値なので、ウェイトは10にしてあります。他の立地要因でも1ケタの数値に対してはウェイトが10にしています。
図1
Step5.既存店の店舗別に、立地得点を付ける。
この立地得点は、店舗別に計算します。これは、それぞれの店の立地要因とウェイトを掛け合わせ、その合計を出すことです。
図2
たとえば、図2では、A店の立地得点は1059になっていますが、これは、A店の「商圏人口(百人)」80にウェイトの1を掛けて算出した数字に、「小売業年間販売額」615にそのウェイト1を掛けて加える。これに、さらに「商圏の質」3にウェイトの10を加える。これを、同様に続けることで、立地得点を求めます。
この表では、他にはB店700、C店532、D店383 というように求められています。
さて、手計算でやるとたいへんな計算でも、表計算シートを用いるとたいへん簡単になります。エクセルで行う場合は、SUMPRODUCT関数を使います。即ち、立地得点を算出するセルに=SUMPRODUCT(A店の列範囲、ウェイトの列範囲)を記入します。この時、ウェイトの列範囲の列は$で固定しておきましょう(その理由は、エクセルのマニュアルを参照してください)。
Step6.立地得点と売上との関係式(係数)を求める。
比較表で、高い精度の関係式を作るには、コツが要ります。それは、適正なウェイト値を使うことです。
では、どうやってそうしたウェイト値を求めたら良いでしょう。
これには、立地得点と売上との「相関係数」を求めることでできます。
図3
図3にあるように、これにはCORREL関数を用いてください。この関数を使うと、-1から1までの値が算出されます。1に近いほど、立地得点と売上がひじょうに相関していることを示します。ここでは、その相関係数は0.948ですが、ウェイト値を変化させることでこの値は変わります。
つまり、相関係数が高くなるように、ウェイト値を変化させてみるのです。そして、これ以上、大きくならないところで止めます。
ウェイト値が決まったら、立地得点と売上との関係式を求めます。
関係式は、売上=A×立地得点+B という形式になります。この式のAとBを求めます。
図4
求め方は、図4の通りです。AはSLOPE関数、BはINTERCEPT関数を用います。注意点は、売上の行と立地得点の行を入れ間違えないことです。
図4では、A=2.836、B=380.1 と算出されました。
Step7.予測対象物件の立地得点を出し、売上予測する。
最後に、予測物件の立地得点と出来上がった関係式を用いて、売上予測を行います。
図2で、予測物件の立地得点は、702と出ていますので、関係式に代入すると次のようになります。
売上(予測値)=2.836×702+380.1
=2370.972≒2370(万円/月)
以上の7つのステップで、売上予測ができます。ちょっとしたコツさえつかめば、誰でも簡単にできます。
比較法の長所と短所
比較法の長所の第一は何と言っても、「多くの立地要因」を取り入れて予測ができることです。数値化して計算しますので、説得力もあります。慣れてくれば、少ないサンプルでもじゅうぶんな精度で売上予測することもできます。
ただし、反面、間違った立地要因であったとしても計算ができてしまいますので、重要な要因を見逃したりして、とんでもない低い、あるいは高い予測値が出てしまったりもします。
こういう長所・短所を心得ておきながら、売上予測を練習していきましょう。
(プロフィール)
林原安徳はやしはら やすのり 売上予測のプロ。経営コンサルタント。東大(農)卒後、日本マクドナルド(株)出店調査部にて、「立地と売上予測」を基礎研究。退社独立後、理論を独自に深耕させSORBICS(ソルビクス)と命名。これに基づき、チェーン展開する多くの企業や個人を指導。主な著作「実践・売上予測と立地判定」(商業界)「最新版 これが繁盛立地だ!」(同文舘出版)。無料メルマガを配信中。http://www.sorb.co.jp
東京都港区南青山2-2-15 ウィン青山942 有限会社ソルブ 電話 03-3538-6603 メール問合せは、こちら ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
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Step4.それぞれの立地要因に、ウェイトを与える。
ウェイトは、「係数」または「重み」のことで、文字通り、それぞれの立地要因の重みを表します。
この値は、最初はすべて「1」にします。そして、それぞれの立地要因の数値の大きさに応じて、数値が大きければ、小さめの値に、その数値が小さければ大きめの値にしておくことがコツです。
たとえば、図1で、マーケットの中で「小売業年間販売額」は、数値が133~615といずれも3ケタと大きいので、ウェイトは「1」ですが、「商圏の質」では、1~3の値なので、ウェイトは10にしてあります。他の立地要因でも1ケタの数値に対してはウェイトが10にしています。
図1
Step5.既存店の店舗別に、立地得点を付ける。
この立地得点は、店舗別に計算します。これは、それぞれの店の立地要因とウェイトを掛け合わせ、その合計を出すことです。
図2
たとえば、図2では、A店の立地得点は1059になっていますが、これは、A店の「商圏人口(百人)」80にウェイトの1を掛けて算出した数字に、「小売業年間販売額」615にそのウェイト1を掛けて加える。これに、さらに「商圏の質」3にウェイトの10を加える。これを、同様に続けることで、立地得点を求めます。
この表では、他にはB店700、C店532、D店383 というように求められています。
さて、手計算でやるとたいへんな計算でも、表計算シートを用いるとたいへん簡単になります。エクセルで行う場合は、SUMPRODUCT関数を使います。即ち、立地得点を算出するセルに=SUMPRODUCT(A店の列範囲、ウェイトの列範囲)を記入します。この時、ウェイトの列範囲の列は$で固定しておきましょう(その理由は、エクセルのマニュアルを参照してください)。
Step6.立地得点と売上との関係式(係数)を求める。
比較表で、高い精度の関係式を作るには、コツが要ります。それは、適正なウェイト値を使うことです。
では、どうやってそうしたウェイト値を求めたら良いでしょう。
これには、立地得点と売上との「相関係数」を求めることでできます。
図3
図3にあるように、これにはCORREL関数を用いてください。この関数を使うと、-1から1までの値が算出されます。1に近いほど、立地得点と売上がひじょうに相関していることを示します。ここでは、その相関係数は0.948ですが、ウェイト値を変化させることでこの値は変わります。
つまり、相関係数が高くなるように、ウェイト値を変化させてみるのです。そして、これ以上、大きくならないところで止めます。
ウェイト値が決まったら、立地得点と売上との関係式を求めます。
関係式は、売上=A×立地得点+B という形式になります。この式のAとBを求めます。
図4
求め方は、図4の通りです。AはSLOPE関数、BはINTERCEPT関数を用います。注意点は、売上の行と立地得点の行を入れ間違えないことです。
図4では、A=2.836、B=380.1 と算出されました。
Step7.予測対象物件の立地得点を出し、売上予測する。
最後に、予測物件の立地得点と出来上がった関係式を用いて、売上予測を行います。
図2で、予測物件の立地得点は、702と出ていますので、関係式に代入すると次のようになります。
売上(予測値)=2.836×702+380.1
=2370.972≒2370(万円/月)
以上の7つのステップで、売上予測ができます。ちょっとしたコツさえつかめば、誰でも簡単にできます。
比較法の長所と短所
比較法の長所の第一は何と言っても、「多くの立地要因」を取り入れて予測ができることです。数値化して計算しますので、説得力もあります。慣れてくれば、少ないサンプルでもじゅうぶんな精度で売上予測することもできます。
ただし、反面、間違った立地要因であったとしても計算ができてしまいますので、重要な要因を見逃したりして、とんでもない低い、あるいは高い予測値が出てしまったりもします。
こういう長所・短所を心得ておきながら、売上予測を練習していきましょう。
(プロフィール)
林原安徳はやしはら やすのり
売上予測のプロ。経営コンサルタント。東大(農)卒後、日本マクドナルド(株)出店調査部にて、「立地と売上予測」を基礎研究。退社独立後、理論を独自に深耕させSORBICS(ソルビクス)と命名。これに基づき、チェーン展開する多くの企業や個人を指導。主な著作「実践・売上予測と立地判定」(商業界)「最新版 これが繁盛立地だ!」(同文舘出版)。無料メルマガを配信中。http://www.sorb.co.jp
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林原安徳:有)ソルブは、立地と高精度/売上予測で「不振店」を根絶します。
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