本格的に売上予測をするには 連載34 

(有)ソルブ 林原安徳

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本格的に売上予測をするには 連載34 

店長の立地,売上予測調査部,飲食店経営

2020/11/20 本格的に売上予測をするには 連載34 

 

これまで、平均予測法から始まって、もっと確かな売上予測の方法として、回転率法、キャッチ率法、市場シェア率法、範囲限定法、そして、比較法までさまざまな方法を説明してきました。

そして、それぞれに長所と短所があることも説明してきました。

 

 

これらの長所に共通していることは、簡潔、簡単な方法であることです。しかし、共通した短所もあり、それは、精度が高くなりにくいという点です。もちろん、経験を踏んでいくうちに精度を上げられる人もいるでしょう。ですが、経験のない人、少ない人には難しいことです。

 

社長の店舗開発

 

そこで、今回から3回にわたって、そうした経験の少ない人でも比較的容易に精度の高い予測ができる“本格的な方法”=“重回帰分析による売上予測モデルの作成”についてお話ししていきましょう。

 

今回は、この方法の中身についてお話しする前段階として、これを行うにあたっての注意点、心構えなどについて述べておきます。

 

というのも、この方法は、あまりにも強力かつ説得力の高い方法であるために、間違った姿勢、間違った順番で行うと、全くの徒労に終わるか、多大な損失を抱えることになりかねないからです。効果が出る薬ほど、その副作用も大きいというのとよく似ています。

また、重回帰分析は売上予測の方法としては、禁断の果実、劇薬と言えるかもしれません。

経験豊富な人の指導の下、一つ一つ慎重に行っていく必要があるということです。その特性、副作用について熟知していなければ、思わぬ火傷を負うことになりかねません

 

単に、統計解析の手法として「数学的」に知っている人が作るというのもいけません。「数学的」に答えを出すということと、実用性のある確かな売上予測の手段を作り上げることは違うからです。

統計用語や統計の仕組みを知っているだけでは、売上予測はできません。売上に関係する立地の要因について様々な経験や深い考えを持っていて初めて豊富で正確なデータを得ることができるようになります。

もちろん、その反対に、立地については人一倍よくわかっているが、数学やパソコンは苦手という人にもこの分析には不向きです。

要するに、立地についてよく考え、経験した上でパソコンを使いこなせることが大事なのです。

 

 チェーン企業内での役割

 

売上予測をする人は、原則として、店舗開発をする人であってはなりません。できれば、社長直轄、あるいは社長・経営者の特命を受けた「売上予測をする人(部署)」であることが望ましいのです。

 

矛盾するミッション図2

 

 

それは、なぜかと言うと、店舗開発にはたいてい異なる二つのミッション(社命)が与えられているからです(図2)。1つは、「数多くの店を出すこと」、もう1つは、「売れる店・利益の出る店にすること」です。

ですから、仮に、店舗開発をする担当者が、店舗の数に重きを置いた場合、それは、賃料を含めどんな条件であっても契約することを優先するようになるでしょう。その結果、立地や売上予測は後回しにされ、結果的に不振店を多く出すことになります。

それとは反対に、売上や利益に重きをおくようになると、売れなかったり、利益が出なかったりした場合を恐れるあまり、出店することに臆病になります。 その結果、チェーン企業としてなかなか出店が進まないという事態が起こります。

売上予測をする人は、店舗開発の担当者に代わって、冷静に売上と利益を予測する人です。

ですから、この人がいて、売上と利益の予測をしてくれるならば、店舗開発の担当者は安心して本来の業務に専念することができるようになります。

また、店舗が開いてからその運営を任される部門の人達がいます。営業部とか運営部と言われる人達です。この人達にとっては、毎月の売上予算を達成していくことが課せられたミッションです。もし、過大な売上予算を作られてしまうとその達成は難しくなります。勢い本当に売れそうな物件以外は開店して欲しくないという思いがあり、中には、店舗開発の担当者が見つけてくる候補物件に対してことごとく異論を唱えるため開発が円滑に進まない。そういう事態も未然に防ぐことが、売上予測をする人がいることで防げます。

要するに、売上予測をする人は、店舗開発における中立公正な部署になるわけです。

 

 売上予測をする人の3つの資格

こういった仲裁的役割、ジャッジするような役割を担うからには、売上予測をする人は誰でもなれるというものではありません。通常の社員に要求されるモラルの高さや人間性は言うに及ばず、次のように3つの重要な資格が必要です。

 

  • 店長以上の経験があること

立地と業種業態は密接な関係があります。Aという業種業態にとって好立地であっても、それに良く似たA‘という業種業態には向いていないということもあります。また、立地上問題がないにも関わらず売上が改善せず不振店になってしまっている、反対に、難しい立地であるにも拘わらず高い売上と利益を確保している、こうした現象もよく起きることです。

これを見極めることができる人は、実際にお店の営業を熟知した人です。

 

  • 年齢40歳以下で考え方に柔軟性があること

立地を考え、売上予測ができるように、数字とパソコンを操るには柔軟な発想ができるひとでなければなりません。常識的考え方ばかりや過去の経験にばかり縛られて新しい発想が生まれてこなければなかなか分析ができるようにはならないでしょう。

 

  • 社長・経営幹部を前にしても臆せず冷静に説明ができること(度胸があること)

せっかく分析し、立地と売上予測について答えが出せたとしても、それだけで終わりではありません。社長、経営幹部、そして店舗開発部や営業部などの関連部署の先輩方に納得してもらわなければなりません。

「こういう結果が出ました」だけでは決して納得しませんからきちんとその理由、背景

を説明し、心から納得してもらわなければなりません。説明しないで、売上予測の数値が独り歩きしてしまうと、その予測売上になった条件(例えば、TGからの視界性が2以上であること、間口が10m以上確保できること等)が無視されることになり、思わぬ失敗を招きます。物件の長所、短所に関する情報を全員が共有している必要があります。

 

これら3つの条件を兼ね備えた人材はなかなかそういるものではありません。では、どうするか、若い社員と年配の上司で分担するようにタッグを組んでもらうことです。

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個人が行う場合

さて、以上はチェーン企業の中の話でしたが、個人が自分の店舗開業のために、売上予測を本格的に行うという場合はどうしたら良いでしょう。

資格は、起業を目指している時点で、すべてクリアーしています。あとは、実際に、売上予測をするための分析を行うかどうかだけです。もし、パソコンを扱えない、お店の営業もしたくないというのでしたら、起業それ自体が危ういので、おやめになることをお勧めします。

集めるべきデータにやや異なる点がありますが、この点は次回以降に説明しましょう。

 

以上で、本格的な売上予測をするにはどうしたら良いか、その前提条件がおわかりいただけたと思います。

最後に。これは、知力勝負だけの事務ワークでは決してありません。野外、街中等をたくさん歩き、車で走り実際の立地を思考しながらたくさん見なければ始まりません。時に朝も昼も夜も深夜も、時に平日も日祭日も、時間を費やして調査する必要もあります。

決して楽な仕事ではないことを肝に銘じておいてください。

 

 

(プロフィール)

林原安徳はやしはら やすのり
売上予測のプロ。経営コンサルタント。1956年さいたま市生56才。 東大(農)卒後、日本マクドナルド(株)出店調査部にて、「立地と売上予測」を基礎研究。退社独立後、理論を独自に深耕させSORBICS(ソルビクス)と命名。これに基づき、チェーン展開する多くの企業や個人を指導。主な著作「実践・売上予測と立地判定」(商業界)「最新版 これが繁盛立地だ!」(同文舘出版)。無料メルマガを配信中。http://www.sorb.co.jp

 

 

 

 

 


 

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