商圏は「人口」はもちろんだが、「住民の質」と「流入の質」がより重要です

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商圏は「人口」はもちろんだが、「住民の質」と「流入の質」がより重要です

立地について,商圏

2018/11/06 商圏は「人口」はもちろんだが、「住民の質」と「流入の質」がより重要です

【お店が繁盛する商圏を見極めるには
「住民の質」と「流入の質」を掴むこと!】


お店の立地を見極めたり、売上予測をしたりする際、「商圏」を捉えることがきわめて重要です。

 

この時、 「商圏」は、「規模」と「質」の、2つの側面から見ていきます。

 

 

「商圏の規模」とは、「どれくらいの人がいるか」ということです。
これは、人口や小売販売額などで表されます。

 

一方、「商圏の質」とは、「どんな人がいるか」を表すものです。

 

 

仮に10,000人の人が周りに住んでいても、ターゲットに適さない人たちばかりでは、繁盛を望むことは難しくなるでしょう。

ですから、「どれくらいの人がいるか」だけでなく、しっかり「どんな人がいるか」まで見極めて、立地を選ばなくてはなりません。

 

そして、もっと細かく言えば、「商圏の質」は、「住民の質」「流入の質」に分けられます。

今回は、 その2種類の「商圏の質」について、繁盛立地を見極めるためのポイントを解説します。

 

 

まず、「住民の質」とは文字通り、その地域に「住んでいる人々の質」を指すものです。

 

例えば、年齢別の人口比や男女比、1世帯あたりの人員数などというものです。

 

これらは、調べようと思えば簡単に調べられます。

 

各市区町村の統計課に行けば教えてもらえますし、今では、総務省が運営しているe-Stat(イースタット)というサイトでも、様々なデータが公開されています。

 

勿論、多くがご存知の「統計てきめん2プレミア」をはじめとした、GISソフトでも、集計・分析することができます。


では、こうした「住民の質」を読み解くには、どのような部分に着目したらいいのでしょうか。

例えば、年齢別の人口を見てみましょう。

仮に、商圏内における若年層の20-24才の比率が、全国や都道府県の平均と比べて突出的に多ければ、その年代の人多くが住んでいるということです。

こうした世代はあまり、お金を持っている(裕福である)、とは言い難いので、「購買力は低い」と推測されます。

 

しかし一方で、この世代の若者向けに、特化した商品であれば売れる可能性がある、というようなことも同時に考えることができます。

 

また、学生が多い商圏ではコンビニの売上げが高い、ということは、以前からよく言われています。
(そして多くの場合これは本当にその通りです)

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さらに、「流入の質」は、


「住民の質」以上に立地上きわめて重要なことです。

 

なぜならば、飲食・小売をはじめとした、多くのショップビジネスにおいては、周辺に「住んでいる人」ではなく、


「流入してくる人」がメイン客層になるからです。


「住民の質」が良好であることも、住民をターゲットにした業態であれば重要ですが、そうでなければ、「住民の質」以上に、
「流入の質」に注目するようにしてください。

 

「流入」にも、さらに2つの種類があります。

ひとつは「昼間流入」
もうひとつが「購買流入」です。

 

「昼間流入」とは、
通勤・通学によってその地域に「昼間」に、流入してくる人々のことを指します。

これに、昼間に地域に残っている人々と合計して、「昼間人口」とする概念が一般的で、
オフィス街などで、大きくなる傾向にあります。

 

これについて、
「人口はそこに住んでいる人を数えているに過ぎないから、
昼間の実質的な人口=昼間人口を用いて考えたほうが良い」
と言う人が多くいます。

 

 

しかし、この考え方は、正しくはありません。

なぜなら、通勤とは「働きに来る」ことであって、「お金を使いに来る」のではありません。

 

また、通学も同様です。

「学びに来る」のであり、
「買い物に来る」わけではないのです。

 

ですから、商売が繁盛するかどうかの指標として、昼間人口に過度に頼り過ぎてはいけません。

 

決して、絶対に無理というわけではありませんが、偏り過ぎるがゆえにリスクが大きいのも確かです。

 

 

 

一方で、立地理論における、 繁盛するかどうかのポイントは、「お金を使うことに寄与する」流入がどれだけあるか、
ということに重点が置かれます。

 

 

どれだけ人が流入してきていても、問題は、「その人たちがお金を使ってくれるか」ということ、
すなわち、「購買流入」を見るのです。

 

 

お金を使ってくれる人がいない商圏で、商売繁盛は望めません。


「購買流入」は、統計データでも調べられます。

 

もう聞き慣れていらっしゃるでしょう、商業統計の「小売業年間販売額」というデータが、それを表します。

 

小売業限定にはなりますが、実際にそのエリアで使われているお金の額ですので、

 

この値が大きければ大きいほど、そこには、「お金を使いたがる人が多く流入している」ということになります。


もちろん、統計調査でなくても、こうしたことは、現地を実査することでも、把握できます。

そのエリアをくまなく歩いて回って、どんな人がいるかをよく観察しましょう。

 

 

統計データ上は大きな購買流入があることが示されていても、実際に現地に行くと、物件の周りは全然買い物客がいない、なんていうことはざらにあります。

 

「お店の前を歩いているこの人たちは、ここでお金を使ってくれそうか?」

 

ということを、常に考えながら観察してください。

 

 

 

「商圏の質」は、どんな質が「良い」と言えるのかは、細かくは業種業態によって様々です。

 

しかし、共通することは、「その業態がターゲットにする人がいるかどうか」ということです。

 

 

駅前一等地に出店しようとも、高層オフィスビルの1階にあろうとも、その商圏の人々の質が、 お店の業態とマッチしていないなら、まったく売れるわけがないのです。

 

 

この要因は、繁盛立地を探すためには、1番や2番目に重要視するべきことです。

 

 

ミクロ的な立地の良し悪しよりもよっぽど大切で、「商圏の質」が悪い場所に出店してしまったばかりに、「(ミクロ的には)良い立地のはずなのになぜか売れない」
ということも、頻繁に起きています。

 

 

必ず、
「この商圏ならば業態とマッチするはず」と思える確信を持って出店していってください。

 

 

ところで、 最後に・・・・

 

国勢調査や商業統計などの統計データは、調査から公表まで約3年というタイムラグが必ず生じます。

 

このため、公表された時点で、「古い」という感覚を持つ人が多くいます。

 

今、すなわち2018年時の最新の人口データは、「2015年」の国勢調査ですから、3年前ということになり、古いと仰る方は多くいらっしゃって、
勿論そのお気持ちは分かるのですが・・・・


「地域の特性」を見るという観点から考えると、これくらいのタイムラグは、立地判定にはほとんど影響しません。

 

新興住宅地、新興高層マンションが、よほど建設ラッシュになってるエリアでない限り、あまり神経質にならないほうが良いでしょう。

 

(データの年次は新しいに越したことはありませんが)


5
年や10年程度では、根本的にそのエリアの「質」は、大きくは変わりません。


ですので、今まさに商圏分析をおこなう人は、「商圏の質」を見極める際、安心して「2015年国勢調査」データを用いていただいて結構です。

 

 

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