商圏分析の方法12. ヤオコー川越南古谷店を事例にして 月刊食品商業 2017年3月

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商圏分析の方法12. ヤオコー川越南古谷店を事例にして 月刊食品商業 2017年3月

商圏,食品商業

2017/11/15 商圏分析の方法12. ヤオコー川越南古谷店を事例にして 月刊食品商業 2017年3月

商圏分析の方法 ヤオコー川越南古谷店を事例にして

林原安徳SORB 20170316

 

 

商圏分析の方法1 人口とその分布・推移

ウニクスSC(延べ床面積27,000 m²、駐車場2065台)の中核テナントであるヤオコー川越南古谷店(2613)5km圏を描くと図1のようになる。

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円の中心がその店であるが、近くを南北に貫く国道254号線を境にして東側にはほとんど人口の貼り付きがない。店と南古谷駅の周辺にややある程度だ。

そして、店から西側約3kmの川越駅周辺(以下「川越圏」と呼ぶ)、そして、南側3kmのふじみ野市/上福岡駅周辺(同「ふじみ野圏」)で人口がひじょうに密集しており、これら2地域からの車来店を期待して、この店とウニクスSCが開業したことは疑いようがない。

1km圏

商圏分析の方法2 もちろん、足元の人口(1km)も増加の一途を辿っており(図2)、

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このまま行けば2035年にはオープン当初(2003年)頃の約2倍になると予測される全国でも珍しい人口急増地域である(3)

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商圏分析の方法 3

急増の主な要因は、0才~9才の子供を抱えた30才~44才が両親となる家族世帯の転入であると推測される(図4の人口ピラミッド)。

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商圏分析の方法 4

加えて、埼玉県平均では年収300400万円階級の世帯がピークになり15.1%で、その上の階級は、12.9%、11.38.0%と減っていくのに対して、この地域ではピークになる階級こそ同じであるものの14.3%、その上は、13.8%、12.1%、9.1%と多い。

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これを、イメージ的に表現すれば県の平均が「中の中」クラスであるならば、「中の上」クラスである。子供を抱えて消費意欲が高いことに加え、その所得度合いも高いとなれば絶好の商圏に違いない。800坪クラスで40億円超の売上げを実現するのも頷ける。

 

商圏分析の方法4 川越圏(図6)

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商圏分析の方法 5

JR川越駅を中心とした2km圏は約96,000人、42,000世帯ときわめて人口は密集している。しかし、年齢別人口を見れば若年齢者層が県平均を下回り、反対に高齢者層がそれを上回っている。圏内でも一足早い少子高齢化が進行している(図7)

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とはいえ1995年から2010年までの15年間で人口は8・9%増加している一方、世帯数は28・8%の増加を示している(図8)

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商圏分析の方法 6

これは、世帯の構成人員が減っていることを示しており、子供のいない世帯や特に1人世帯が増えていることが分かる。

商圏分析の方法 7

ただし、川越圏の全域で行動ベクトル(※)は南東を向いており、ウニクスSC・ヤオコーのある地域への購買行動は容易であると考えられる(図9)

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商圏分析の方法8 ふじみ野圏

東武線上福岡駅を中心とした2km圏は川越圏より多い115,000人、48,000世帯になる。加えて、その年齢別の人口構成は35~44才の層が県平均を上回っている(図10)点が特徴的である。

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過去の人口増加率は同15年間で8・9%と川越圏とほぼ同じだが、世帯数の増え方は22・9%と川越圏より低い。それだけ、単身よりも家族での流入が多いことが伺える。

ただし、ふじみ野圏の行動ベクトルも川越圏と同様南東を向いていることから、ウニクスSC・ヤオコーのある地域への購買行動は逆方向を強いられることになり、やや難しいことがわかる。また、普通自動車運転免許の保有率は59.6%であるが、川越市の63.0%に比べると低い(2)。逆に、ふじみ野圏の世帯当たり乗用車保有率は90・4%であるが、川越圏の85・9%より高い。この逆転した数字の意味する所は、川越圏では平日・日祭日変わりなく車を運転する人が多いが、ふじみ野圏では、いわゆる日曜・祝日に偏っているということである。

 

商圏分析の方法 9

他社の状況

また、ヤオコーに先立つ‘01年には南古谷駅の南口に、ベルク南古谷店(1905)がすでに開店していた(09には改装して現在に至る)。また、南1kmにはエコス木野目店(945)が’89年に、北東2kmに、同グリーンパーク店(500)が‘83年には開店していた。

しかし、いずれもウニクスSCが持つ圧倒的な広さ・吸引力の前ではヤオコーの競合として意識する必要もなかったように推測する。

その後、‘13年3月にこの店から北西1.8kmに新たに出店したベルク小仙波店(1912㎡駐車120台)は川越圏内にありほぼ同一道路にあるため、ヤオコーの売上に対しマイナス影響を与えた可能性が高い。

また、先ほどの車保有率・免許保有率の関係から、平日vs休日の客数差が以前より激しくなっていることも考えられる。極端な表現をすれば、平日は閑散、休日は超満員または満員というようなイメージである。

 

商圏分析の方法10 立地

最後に、ウニクスSC・ヤオコーの立地について言及しておく。

この立地の最大の問題点は、国道など広域を行く道路に面していないことである。

店前道路は、国道254号線、国道16号線が交わる辺り(そこにベルク小仙波店がある)から分かれた県道沿いにあり、それら国道からその県道への進入方法が分かりづらい。

また、南下しても直線状に走れるのは5kmほどしかなく、その先は国道254号ほどの快適な運転環境にはない道路である。

このような大型SCを、維持継続して行くには、広域からの来店を可能にする国道・自動車道など延伸性高い道路に直結していることが基本である。この意味では難しい立地である。

 

商圏分析の方法 11

 

2035文字

 

※ 行動ベクトル そこにいる人々が広域(25km)に購買するとしたらどの方向に向かっているかシミュレーションし矢印にして表示したもの

2  警察署別・市町村別運転免許保有状況 201612

 

 

はやしはら やすのり

売上予測コンサルタント。有限会社ソルブ代表。日本マクドナルドで出店調査を担当。独自に深めた立地理論をもとに200社以上のチェーン企業の経営者、多くの起業家をコンサルティングしている。著書に『実践 売上予測と立地判定』(商業界)、『最新版 これが「繁盛立地」だ!』(同文館出版)など。東京大学卒。http://www.sorb.co.jp

 

 

 

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