近未来予測2 東京の激戦地コンビニ

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近未来予測2 東京の激戦地コンビニ

立地について,月刊コンビニ

2017/10/28 近未来予測2 東京の激戦地コンビニ

「立地診断」クリニック 激戦地「近未来予測」第2回  激戦地はどこだ

 

(リード)今回は地図と統計を駆使して、東京都内の激戦地をあぶり出し、今後の立地診断を行っていく筋道をつけていきます。

 

コンビニの歴史は、東京都江東区の豊洲駅近くのセブンから始まりました。その後の拡大においては、どのチェーンも駅に近いことより、人口が密集する住宅地を重視した出店を行ってきました。したがって、激戦地を見つけるなら、本来は町名や丁目ごとに見るべきかもしれませんが、馴染みのない名称ばかりになることを避けるため、今回は、「駅の周囲」ということで順位を付けることにしました(範囲は東京都内です)。

データの出所

日本で最も有名な地図会社、昭文社さんの最新の地図からコンビニ店舗を、各駅を中心に半径500m圏で抽出しました。コンビニの数は、全部で、20チェーン6082店舗ありました(ただし、鉄道駅に出店しているニューデイズなどは含まれません)。また、駅の数は、649駅です。これらのデータは2010年5月時点のものです。

また、統計データは国勢調査(05年)、リンク統計(同)、商業統計(02年)を用いています。

出店数からみた激戦順位

まず、コンビニの出店数からその激戦順位を求めたのが、表(1)です。

1位、3位、5位、10位がいずれも新宿の各駅、2位が渋谷駅、4位が池袋駅です。ここまでは、いわゆる「超広域マーケット」と称される有数の大商業集積地で、コンビニは40店を越す超過密な出店状況です。そして、6位以下の駅は、神田駅、日本橋駅を含め20位の小川町駅まで、そのいずれも有名な大オフィス街ばかりです。

ある意味、こうした地域は、購買ポテンシャル(潜在消費力)が高いのですから、たくさんのコンビニが出店していて当然だと言えます。激戦には違いありませんが、あまり共倒れにはならないほどポテンシャルが大きくこれからも安定して店が増加していくと思われます。

そこで、別の指標を作ってその激戦順位を求めることにしました。

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1店当り支持人口から求めた激戦順位

それが、表(2)です。

まず、各649駅それぞれの500m圏の夜間人口、昼間人口、そして購買人口(注1)の3つの人口を、GISを用いて算出します(注2)。

その中で、最も大きい人口を支持人口としました。

例えば、新宿駅なら、夜間人口が2,651人、昼間人口が121,209人に対して購買人口が735,603人ですから、この購買人口が支持人口になります。

これに対して、虎ノ門駅ならば、それらは1,043人、115,163人、56,591人となりますので、昼間人口が支持人口ということになります。

こうして算出した支持人口を、今度は、コンビニの数で割ります。これが、1店当り支持人口で、この値が低いほど、“激戦”であることになります。つまり、激しい客の奪い合いをしているわけです。

激戦は「お台場」で

表(2)を見ると、激戦は意外な所で起きていることが分かります。

それは、有明駅や国際展示場駅などゆりかもめ(モノレール)やりんかい線の6駅です。いわゆるお台場地域です。確かに、この地域は、人口は数百人程度と少なく、昼間人口も数千人規模です。ここにコンビニが8店も9店も出店していますので、1店当り支持人口は1000人もいない。どうしてこんな激戦状態でやっていけるのでしょう。これは解明したいところです。

都心で激戦地としては、JR山手線の大塚駅(コンビニ数25店)が11位に、中央本線の東中野駅(同14店)が15位に出てきました。

ローカルなところでは、小田急線

の鶴川駅(同6店)が3位に、JR南武線の稲城長沼駅(同5店)が18位に現れました。

ちなみに、前回、実査を行った代々木駅は、462位です(注3)。

掲載した地図は、小川駅周辺の状況を表しています。駅と線路の西に4店、東に2店あり、圏内6,803人のマーケットを取り合っており、かなりの激戦状態であることがうかがわれます。

ここは、駅以外には大型TGらしきものもなく、近日中に勝敗が決まりそうな気配です。

次回からは、ここも含め、この表にある地域を次々と実査して、激戦状況について診断と未来予測をして行きたいと思います。

読者プレゼント

今回の分析に用いたエクセルシートをプレゼント致します。今回の分析の副産物で、じゅうぶんな支持人口があるのに、まだコンビニが0店や1店しか出ていない駅がたくさんあることが分かりました。それらが載っているシートです。

ご希望の方は、件名に「コンビニ分析シート希望」と記入して、次のアドレスへメールしてください。

sorb@sorb.co.jp

 

 

 

注記について

注1)GISとはGeographic Information System(地理情報システム)の略で、地理的な情報を分析したりすることができるソフトウェア。高額で複雑なものが多い。安価操作容易で知られるソルブ社製[統計てきめん2プレミア]を用いて算出しました。

注2)購買人口とは、集計された小売業年間販売額を、国民1人当たりの平均値(106万円)で割ったもので、その地域へ買い物に来る人口(理論値)を示していると考えることができます。

注3)

集計した駅数は本文にあるとおり649駅ですが、この激戦順位を算出するとき、店舗数3店以下の駅を除いた497駅で行っています。

【プロフィール】

はやしはら やすのり 
東京大学卒業後、日本マクドナルドで「立地と売上予測」を基礎研究し実践応用。 現在はチェーン展開する多くの企業や起業家をコンサルティングしている。無料メールマガジン「ソルブ通信」で最新の立地情報を配信中。

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