048-711-7195
〒338-0002 埼玉県さいたま市中央区下落合四丁目17番18号
東京メトロ半蔵門線に乗り入れする東急田園都市線の駅 桜新町 月刊コンビニ連載2012年12月号
桜新町駅は、東京メトロ半蔵門線に乗り入れする東急田園都市線の駅で、その乗降数は63,632人(※注)とやや多いものの、500m圏人口は13,366と少なめです。既知の地図では9店舗(激戦度40位)でしたが、実査では13店舗、近隣を含めると16店舗が競争する超激戦地(同3位に相当)でした。
1.都道427号線沿い(駅前の通り)
店のほとんどは桜新町駅のある都道427号線上にあり、ここだけで11店舗がしのぎを削ります。
この駅の地上出入口は3カ所あり、これらに近く動線上にあるのは、店1と店8です。
店1(ファミリーマート)は加えて、サザエさん通りと交差する交差点TGにも面しており立地としてはベストです。
この店と同じ側の歩道沿いに店2(ローソン100)と店3(サンクス)がほぼ100m間隔で並び、都道を挟んで反対側には、店4(ファミリーマート)、店5(まいばすけっと)、店6(セブンイレブン)、店7(ローソン)、店8(セブンイレブン)が同様に並んで出店しており、互いの商圏はかなり重複しており、たいへんな激戦状態にあることがうかがえます。
TGに接しているのは店4(交差点に接する)、店7(同)、そして店8(駅出入口に接する)であって、これらは他よりやや優位な立地にあるといえます。
また、店1と同じ側にありながら、近い駅出入口が店1とは異なる東側には、交差点TGに近い場所に、店9(サンクス)が出店しており、商圏は上記とあまり重複することなく形成されています。その先、230mほど行った地点に、店10(KIMURAYA)があり、さらに100mで店11(ファミリーマート)と出会います。いずれも南北に抜ける側道に接しており、小さいながらそれぞれ独自の商圏を確保していることが推察されます。
駅から国道246号線に向かうサザエさん通りのほぼ中間点に店12(ローソン100)が出店していますが、立地上とりわけ優位な点は見られません。
その国道に出る直前に店13(セブンイレブン)があり、その国道との交差点TGからの視界性はきわめて良好です。
この交差点は、1km圏内で国道を横断できる数少ない場所の一つであるため、人々はここに自然に集まってくる状態になっています。これは立地上特に重要な長所です。
ちょうど反対側には、店14(ナチュラルローソン)が出店しており、このTGの効果が期待できる位置にあります。
こうした集中する交差点TGがない立地では、商圏をほとんど形成することができず来店する人はきわめて限られてしまい、商売は成立し難いのです。
3.弦巻通り沿い
北側のほぼ500mで東西に走る自動車道路、弦巻通りがあります。
東側に店15(セブンイレブン)と店16(ナチュラルローソン)があり、いずれも交差点TGにありますが、店16には3台分の駐車場があり自動車来店を期待できます。
この交差点とは、西側に対照的な位置にも交差点がありますが、店17(セブンイレブン)はクローズしております
店13のここを学べ 図2
歩行者にしぼる
大きな国道がそばにあると、そこを通る車での来店を期待してしまうのが人情ですが、そのためには、国道に面しているばかりか、駐車場も必要です。しかし、本文に書いたように、人々が自然と集まってくるような交差点であるならば、国道に面していなくても、また駐車場がなくても、その交差点TGと別のTG(ここでは駅)を結ぶ動線沿いに立地していれば、歩行者来店をじゅうぶん期待できます。この店の場合、店側にのみ歩道が整備されていることも強みです。
近未来予測
現時点でも、16店舗が競い合う超激戦地になっています。
その理由は何でしょうか。言うまでもなく、「世田谷の桜新町」というイメージからくる商圏の質の良さ、可処分所得の高さが大きいでしょう。加えて、「サザエさん」という町おこしの有効な手段があり、地域外からの購買流入も期待できることです。
しかし、こうしたことに頼るあまり、強いTGに付ける、角地に出していくという立地のセオリーを踏んでいないとその競争力は低いままです。かなりの高い確率で、この店舗数は減らざるを得ないと予測されます。
店1 駅出入口と交差点の2つのTGに近接
店2 動線が弱く、角地にもない
店3 ビルがセットバックしている分視界性に難
店4 T字交差点に面している点が良い
店5 入口の段差も入店に心理的負担を与えます
店6 間口が広く標準的な作り
店7 交差点TGに近い立地
店8 駅出入口TGに隣接しています
店9 交差点からやや離れるものの独自の商圏を持つ
店10 角地にあることが救い
店11 交差点TGに面しています
店12 TGが弱く、人々は通過しやすい
店13 歩道を行く人々のほとんどが店を知覚します
店14 交差点からやや離れ過ぎています
店15 車道に面していても駐車はできません
店16 交差点角地で、駐車場を確保しています
店17 閉店しました。
※注 2008年度、駅別乗降者数総覧‘11(株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所)より
はやしはら やすのり 東京大学卒業後、日本マクドナルドで「立地と売上予測」を基礎研究し実践応用。 現在はチェーン展開する多くの企業や起業家をコンサルティングしている。定期的に開催しているセミナー“立地道場”は個人にも店舗開発プロにも人気がある。昭和31年生55才 http://www.sorb.co.jp
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電話番号:048-711-7195 住所 〒338-0002 埼玉県さいたま市中央区下落合四丁目17番18号
18/04/22
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東京メトロ半蔵門線に乗り入れする東急田園都市線の駅 桜新町 月刊コンビニ連載2012年12月号
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1.都道427号線沿い(駅前の通り)
店のほとんどは桜新町駅のある都道427号線上にあり、ここだけで11店舗がしのぎを削ります。
この駅の地上出入口は3カ所あり、これらに近く動線上にあるのは、店1と店8です。
店1(ファミリーマート)は加えて、サザエさん通りと交差する交差点TGにも面しており立地としてはベストです。
この店と同じ側の歩道沿いに店2(ローソン100)と店3(サンクス)がほぼ100m間隔で並び、都道を挟んで反対側には、店4(ファミリーマート)、店5(まいばすけっと)、店6(セブンイレブン)、店7(ローソン)、店8(セブンイレブン)が同様に並んで出店しており、互いの商圏はかなり重複しており、たいへんな激戦状態にあることがうかがえます。
TGに接しているのは店4(交差点に接する)、店7(同)、そして店8(駅出入口に接する)であって、これらは他よりやや優位な立地にあるといえます。
また、店1と同じ側にありながら、近い駅出入口が店1とは異なる東側には、交差点TGに近い場所に、店9(サンクス)が出店しており、商圏は上記とあまり重複することなく形成されています。その先、230mほど行った地点に、店10(KIMURAYA)があり、さらに100mで店11(ファミリーマート)と出会います。いずれも南北に抜ける側道に接しており、小さいながらそれぞれ独自の商圏を確保していることが推察されます。
駅から国道246号線に向かうサザエさん通りのほぼ中間点に店12(ローソン100)が出店していますが、立地上とりわけ優位な点は見られません。
その国道に出る直前に店13(セブンイレブン)があり、その国道との交差点TGからの視界性はきわめて良好です。
この交差点は、1km圏内で国道を横断できる数少ない場所の一つであるため、人々はここに自然に集まってくる状態になっています。これは立地上特に重要な長所です。
ちょうど反対側には、店14(ナチュラルローソン)が出店しており、このTGの効果が期待できる位置にあります。
こうした集中する交差点TGがない立地では、商圏をほとんど形成することができず来店する人はきわめて限られてしまい、商売は成立し難いのです。
3.弦巻通り沿い
北側のほぼ500mで東西に走る自動車道路、弦巻通りがあります。
東側に店15(セブンイレブン)と店16(ナチュラルローソン)があり、いずれも交差点TGにありますが、店16には3台分の駐車場があり自動車来店を期待できます。
この交差点とは、西側に対照的な位置にも交差点がありますが、店17(セブンイレブン)はクローズしております
店13のここを学べ 図2
歩行者にしぼる
大きな国道がそばにあると、そこを通る車での来店を期待してしまうのが人情ですが、そのためには、国道に面しているばかりか、駐車場も必要です。しかし、本文に書いたように、人々が自然と集まってくるような交差点であるならば、国道に面していなくても、また駐車場がなくても、その交差点TGと別のTG(ここでは駅)を結ぶ動線沿いに立地していれば、歩行者来店をじゅうぶん期待できます。この店の場合、店側にのみ歩道が整備されていることも強みです。
近未来予測
現時点でも、16店舗が競い合う超激戦地になっています。
その理由は何でしょうか。言うまでもなく、「世田谷の桜新町」というイメージからくる商圏の質の良さ、可処分所得の高さが大きいでしょう。加えて、「サザエさん」という町おこしの有効な手段があり、地域外からの購買流入も期待できることです。
しかし、こうしたことに頼るあまり、強いTGに付ける、角地に出していくという立地のセオリーを踏んでいないとその競争力は低いままです。かなりの高い確率で、この店舗数は減らざるを得ないと予測されます。
店1 駅出入口と交差点の2つのTGに近接
店2 動線が弱く、角地にもない
店3 ビルがセットバックしている分視界性に難
店4 T字交差点に面している点が良い
店5 入口の段差も入店に心理的負担を与えます
店6 間口が広く標準的な作り
店7 交差点TGに近い立地
店8 駅出入口TGに隣接しています
店9 交差点からやや離れるものの独自の商圏を持つ
店10 角地にあることが救い
店11 交差点TGに面しています
店12 TGが弱く、人々は通過しやすい
店13 歩道を行く人々のほとんどが店を知覚します
店14 交差点からやや離れ過ぎています
店15 車道に面していても駐車はできません
店16 交差点角地で、駐車場を確保しています
店17 閉店しました。
※注 2008年度、駅別乗降者数総覧‘11(株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所)より
はやしはら やすのり
東京大学卒業後、日本マクドナルドで「立地と売上予測」を基礎研究し実践応用。 現在はチェーン展開する多くの企業や起業家をコンサルティングしている。定期的に開催しているセミナー“立地道場”は個人にも店舗開発プロにも人気がある。昭和31年生55才 http://www.sorb.co.jp
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