「VUCAの時代」と言われるようになって久しくなりました。
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社会や消費者の行動は変化し続けています。
特に、数年前のコロナ禍ではショップビジネスも大きな影響を受けましたし、SNSやWebマーケティングの存在感も以前とは比較にならないほど大きくなりました。
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こうした変化が続くと、
「もう過去のデータから売上げを予測することなんてできないのではないか」
「これだけ時代が変わるなら、立地分析をしても意味がないのではないか」
という考え方が出てくるのも理解できます。
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しかし、私はそうは考えていません。
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確かに、時代が変われば売上予測のモデルや判断基準は更新する必要があります。
ただ、時代が変わることと、店舗立地の原理原則が変わることは、まったく別の話です。
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<「VUCAだから売上予測はできない」は本当か?>
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コロナ禍は、この問題を考えるうえで非常に分かりやすい例でした。
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例えば、コロナ禍以前に平均月商1,000万円だったチェーンが、その後平均700万円まで落ち込んだとします。
こうなると当然、以前のデータから作った売上予測モデルをそのまま使っても、予測値は当たりません。
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しかし、ではここで、全体的に3割程度下がったからといって、以前の予測値を単純に3割減らせばいいかというと、そういうわけでもないのです。
なぜなら、すべての店舗が一律に3割下がったわけではないはずだからです。
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特に、空港やレジャー施設などへの来訪者に大きく依存していた店舗では、売上げが極端に落ち込んだケースもあったでしょう。
一方で、住宅地の店舗は比較的影響が小さかったのではないでしょうか。
(少なくとも私が担当させていただいたチェーン企業ではそういった傾向はありました)
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このように、同じチェーンであっても、商圏や立地によって社会環境の変化から受ける影響は違います。
ですから、以前と同じシステムを使って予測をしようとしても、精度が高まらないのは当然の話です。
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環境が大きく変化すれば、それまで使っていた売上予測モデルをそのまま使えなくなるのは当然です。
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しかし、ここから、「だから売上予測そのものができなくなった」と考えるのは少し早計です。
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使えなくなったのは、過去の環境を前提として作られた「モデル」です。
立地と売上げの間にある法則性そのものが消滅したわけではありません。
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<変わったのは「原理原則」ではなく「基準値」>
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ショップビジネスには、時代が変わっても簡単には変わらない原理原則があります。
なぜなら、実店舗である以上、お客さんは最終的にその場所まで物理的にアクセスしなければならないからです。
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他の条件が同じなら、行きやすい店と行きにくい店では、行きやすい店の方が選ばれやすい。
人が多く集まる場所と少ない場所では、多く集まる場所の方がビジネスチャンスは大きくなる。
見つけにくい店より、自然に存在を認識できる店の方が来店につながりやすい。
空中階や地下にある店舗より、1階路面店の方が入りやすい。
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こうしたことは、WebやSNSが普及したからといって、または大きな景気変動があったからといって、突然変化するものではありません。
人間が物理的な身体を持って街を移動し、店舗を認識し、入店する以上、その行動原理そのものは残り続けます。
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ただし、「どのくらいなら大丈夫なのか」という基準値は変わります。
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例えば、ある業態で以前は、「駅から100m以内なら十分に集客できる」という傾向があったとします。
しかし消費者の行動が変われば、50m以内でなければ遠いと感じられるようになるかもしれません。
逆に、WebやGoogleマップなどによって目的来店が増え、200m離れていても来てもらえるようになる可能性もあります。
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商圏規模(そもそもの需要)についても同じです。
以前なら周辺人口5,000人程度で成立していた業態が、原価や人件費、家賃などの上昇によって、8,000人程度のマーケットがなければ必要な売上げを確保できなくなるかもしれません。
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こうして整理して考えていくと、変わったのは、
「アクセスしやすい方が有利」
「十分なマーケットがある方が有利」
という原理ではありません。
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その原理が売上げとして現れるために、どの程度の条件が必要なのか。という基準値の部分が変化しているのです。
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<必要なのは「予測を諦めること」ではなく「分析し直すこと」>
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ここを混同すると、「時代の変化が激しいから立地分析は意味がない」という結論になってしまいます。
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しかし本来やるべきことは、その逆です。
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時代が変わったのであれば、今の時代では、どんな立地条件が、どの程度売上げに影響しているのかを改めて分析する。
過去のモデルが当たらなくなったのであれば、現在の店舗データを使って作り直す。
以前重要だった指標の影響が弱くなっているのであれば、その重要度を下げる。
反対に、以前はそれほど重要ではなかった指標が売上げを左右するようになっているのであれば、新しい基準として取り入れる。
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そうやって現在の環境に合わせて立地と売上げの関係を捉え直していけばいいのです。
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実際、コロナ禍以降、売上予測モデルを作り直すケースをいくつも担当させていただきました。
その際、前述のように、以前とまったく同じモデルが使えるわけではありませんが、しかし全然根本から違う仕組みになるわけでもありません。
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それに、「何が売上げを左右しているのかまったく法則性が見つからない」ということになることもありませんでした。
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以前とは違う要因が強くなっていたり、同じ要因でも影響の度合いが変わっていたりはします。
しかし、そうであればその部分を改めて分析すれば、立地と売上げの関係は見えてきます。
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むしろ変化が激しいからこそ、昔の成功体験や感覚だけで判断せず、現在のデータから基準を更新する必要があるとも言えるでしょう。
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<まとめ:変化が激しい時代ほど「原理原則」を見る>
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VUCAとは、未来を予測することを諦めるための言葉ではありません。
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まして、「何が起こるか分からないのだから、立地なんて考えても仕方がない」という意味でもありません。
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社会環境は変わります。
消費者の行動も変わります。
店舗に必要な売上水準も変わりますし、WebやSNSによって店舗の探され方も変化していきます。
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だからこそ、立地分析の基準を分析することも、更新し続けなければなりません。
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しかし、忘れてはならないこととして、そもそも立地分析の根底にあるのは、今も昔も「人間の行動」であるということです。
人は街を移動し、店舗を認識し、その場所までアクセスして、初めてお客さんになります。
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「立地は、お店がお客さんにできる一番最初のサービスである」というのは私たちの大切なコンセプトですが、これはショップビジネスという業態である限り、変わらないものだと考えています。
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ですから、VUCAの時代と言われようと、景気やブームがどれほど激しく動いていようと、「変化するものと変化しないものを分けて考える」ということが重要です。
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変わるのは、具体的な数値や条件です。
変わらないのは、その背後にある人間の行動原理です。
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「VUCAだから売上予測は当たらない」のではありません。
VUCAだからこそ、今の時代に合わせて立地基準を分析し直す。
時代が大きく変化している時ほど、表面的な変化だけを追いかけるのではなく、その下にある原理原則を捉える。
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店舗立地を考える上で、それが非常に重要なスタンスなのです。
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