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初めて店舗を出店・開業するとき、物件探しで注意すべきことは何でしょうか。
家賃でしょうか。広さでしょうか。それとも駅からの距離でしょうか。
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もちろん、どれも大切な条件です。しかし、実はそれ以前に、もっと根本的な落とし穴があります。
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それは、「住居を探すときと同じ感覚で、店舗物件を探してしまうこと」です。
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住居と店舗では、そもそも「良い立地」の判断基準が異なります。
この違いを理解しないまま物件を探していると、どれだけ真剣に比較検討しても、集客に不利な物件を選んでしまうおそれがあるのです。
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<真剣に物件を探しているのになぜ失敗するのか?>
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店舗の開業を考えている人で、立地をまったく気にしない人は、まずいないでしょう。
特に初めて独立開業する人にとって、店舗物件の契約は人生を左右する大きな決断です。
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毎月支払う家賃はもちろん、保証金や内装工事費など、開業には多額の資金が必要になります。一度契約してしまえば、簡単に別の場所へ移転することもできません。
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ですから、ほとんどの開業希望者は真剣に物件を探します。
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不動産情報サイトを何度もチェックし、気になる物件があれば現地を見に行き、周辺の環境や駅からの距離を調べる。場合によっては、何か月もかけて理想の物件を探し続ける人もいるでしょう。
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それでも、物件選びで失敗してしまうことがあります。
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私もこれまで、出店開業を希望する方々から多くの相談を受けてきましたが、その中で気づいたことがあります。
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それは、物件選びで判断を誤る人は、必ずしも立地を軽視しているわけではないということです。
むしろ、本人は一生懸命に立地を考えているのです。
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問題は、その「考え方」自体にあります。
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初めて店舗を開業する人の中には、店舗の立地を評価するときに、無意識のうちに住居探しの判断基準を持ち込んでしまう人がいるのです。
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<住居探しと店舗探しでは物件の「起点」と「終点」が逆になる>
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なぜ、このような間違いが起きるのでしょうか。
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それは、店舗物件を探した経験がなくても、住居を探した経験なら持っている人が多いからだと考えられます。
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賃貸住宅を探すとき、私たちはどのようなことを考えるでしょうか。
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例えば、
- 駅から近く、通勤や通学に便利か
- 複数の路線を利用できるか
- スーパーやコンビニが近くにあるか
- 自宅からさまざまな場所へ移動しやすいか
といったことを重視します。
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これは住居探しとしては、ごく自然な考え方です。
なぜなら、住居は自分が生活する拠点であり、そこから職場や学校、買い物先などへ出かけていく場所だからです。
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つまり、住居探しでは、物件を「起点」にして周辺の利便性を評価するわけです。
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ところが、店舗の場合は事情が異なります。
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店舗を利用するのは、そこに住んでいる人ではなく、外から訪れるお客さんです。
お客さんは、自宅や職場、駅、商業施設など、さまざまな場所から店舗へやってきます。
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したがって、店舗の立地を評価するときには、「この物件からどこへ行きやすいか」ではなく、「お客さんが普段いる場所から、この物件へ来やすいか」を考える必要があります。
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つまり、住居探しでは物件が「起点」ですが、店舗探しでは物件が「終点」になるのです。
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この視点の違いが、店舗の立地選びでは非常に重要になってきます。
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もちろん、店舗にも従業員の通勤や商品の搬入など、物件を起点とした利便性を考える場面はあります。
しかし、集客という観点では、お客さんの側から店舗を見ることが欠かせません。
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この違いを理解していないと、一見魅力的に思える物件条件が、実際には集客上のメリットになっていないことがあるのです。
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<「3駅利用可能」は本当に店舗にとって好条件なのか?>
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以前、ある開業希望者の方が、候補物件について嬉しそうに話してくれたことがありました。
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「この物件、3駅からアクセス可能なんですよ!」
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確かに、不動産情報で「3駅利用可能」と書かれていたら、便利な物件だと感じるかもしれません。
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住居として考えれば、これは魅力的な条件になり得ます。
例えば、A駅・B駅・C駅の3つが利用できれば、目的地によって使う路線を選べます。通勤先が変わっても対応しやすいでしょうし、電車が止まったときの代替手段にもなります。
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しかし、店舗の立地として考えた場合、これは同じ評価になるとは限らないのです。
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仮に、A駅・B駅・C駅のほぼ中間にある物件を想像してみてください。
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周辺住民は、それぞれ自宅から利用しやすい駅へ向かいます。
A駅の近くに住んでいる人はA駅へ、B駅に近い人はB駅へ、C駅に近い人はC駅へと移動するため、必ずしもそれらの駅の真ん中にある物件の前を通るわけではありません。
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また、A駅から来るお客さんにとっては、その店舗がB駅やC駅からも利用できることには、基本的に大きな意味がありません。
A駅から店舗までが遠ければ、その人にとっては単に「駅から遠い店」なのです。
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B駅やC駅を利用する人についても同様です。
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つまり、住む人にとっては「3駅を使い分けられる便利な場所」でも、お客さんにとっては「どの駅からも中途半端に遠い場所」になっている可能性があるわけです。
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もちろん、複数駅の中間にあるというだけで、必ず不利になるわけではありません。
それぞれの駅から店舗へ向かう需要が十分にあったり、駅同士を結ぶ主要な動線上にあったりすれば、好条件になる場合もあります。
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大切なのは、「3駅利用可能」という言葉そのものではなく、それぞれの駅を利用する人にとって、実際にその店舗がどのような位置にあるのかを考えることです。
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物件を起点にして「いろいろな駅へ行ける」と考えるのか。
お客さんを起点にして「それぞれの駅から、この店へ来る理由や機会があるのか」と考えるのか。
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同じ物件でも、視点を変えるだけで評価が大きく変わることがあります。
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<「駅徒歩1分」でも集客に有利とは限らない>
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もう一つ、初めて店舗物件を探す人が魅力を感じやすいのが、「駅徒歩1分」という条件です。
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住居探しにおいてhじあ、駅から近いことは一般的に大きなメリットになります。
毎日の通勤や通学で駅を利用するなら、徒歩10分より徒歩1分の方が便利だと感じる人は多いでしょう。
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しかし、店舗では、駅からの距離が短ければ短いほど良いとは限りません。
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例えば、同じ駅の周辺に、次の2つの物件があったとします。
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A物件:駅から徒歩1分
駅には非常に近いものの、人々が普段あまり利用しない出口の近くにあり、主要な買い物動線から外れている。
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B物件:駅から徒歩5分
駅からは少し離れているものの、駅と商業施設や住宅地を結ぶ道沿いにあり、日常的に多くの人が行き来している。
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こうした場合、駅から近いA物件よりも、B物件の方が集客に有利になる可能性があります。
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なぜかというと、店舗の集客にとって重要なのは、駅からの距離そのものではなく、お客さんがその場所を利用する機会がどれだけあるかだからです。
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駅徒歩1分でも、お客さんが普段通らない場所なら、わざわざ回り道をして来店してもらう必要があります。
一方、駅徒歩5分でも、お客さんが日常的に通る道沿いにあれば、買い物や帰宅の途中で店舗に気づき、立ち寄ってもらえる可能性があります。
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もちろん、目的来店が中心の業態などでは、駅からの距離そのものが重要になる場合もあります。
それでも、「駅徒歩1分」という表示だけで好立地だと判断するのは危険です。
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なお、そもそも不動産情報に書かれている徒歩分数は、店舗の集客力を示す数字ではありません。
あくまで駅から物件までの距離の目安です。
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その数字を見て「近いから便利だ」と感じたときには、ぜひ一度考えてみてください。
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それは、物件を利用するお客さんにとって便利なのでしょうか。それとも、その物件から駅へ出かける自分にとって便利なのでしょうか。
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この問いを持つだけでも、物件の見方は変わってくるはずです。
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<まとめ――物件を見る前にお客さんの立場から考える>
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初めての店舗物件探しで注意すべきなのは、立地を真剣に考えられていないことではありません。
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真剣に考えているつもりでも、住居探しの感覚で物件を評価してしまうことです。
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不動産情報でよく見るような「3駅利用可能」「駅徒歩1分」といった条件は、決して無意味ではありません。
しかし、それらが店舗の集客にとって有利に働くかどうかは、お客さんの行動によって変わります。
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店舗立地を考える際には、まず、自店のお客さんとなる人々がどこにいて、普段どのように移動しているのかを考える必要があります。
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そして、その人々が集まる場所(TG)や日常的な動線との関係から、候補物件を評価していくのです。
視界性など他の立地条件も、そうしたお客さんの行動を踏まえて考えることで、初めて意味を持ちます。
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店舗の立地を評価するには、家賃などをはじめとする物件そのものの条件を調べるだけで終わらせないようにしてください。
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「この物件からどこへ行けるか」ではなく、「お客さんはどこから、どのようにこの物件へやってくるのか」。
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住居探しと店舗探しの違いを理解し、この視点を持つことが、初めての出店で立地選びを間違えないための第一歩になるのです。
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