店舗物件を探していると、
「駅から近い」
「人通りが多い」
「周辺人口も十分にいる」
といった分かりやすい条件に目が行きがちです。
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もちろん、どれも重要です。
商圏が大きく、ターゲットとなる人が多く、駅やTGから発生した人々が自店の前を通るとなれば、かなり良い立地に見えるでしょう。
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しかし、それでもまだ「良い物件」とは限りません。
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なぜなら、「良い場所にあること」と「商売のしやすい物件であること」は、別の問題だからです。
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立地分析には、商圏や動線だけではなく、その土地や建物自体が店舗としてどれくらい使いやすいかを見る視点があります。
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それが、六大立地要因でいう、「土地・建物制約」です。
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<土地・建物制約は「小さなマイナスの積み重ね」で効いてくる>
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土地・建物制約には、物件の規模、階層、建物の形状や地形、間口の幅や形状、看板の置き場所、周辺の土地の傾斜、周辺環境など、さまざまなチェックポイントがあります。
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さらに、実際にチェーン店で売上予測モデルを作る際には、これらをもっと細かく分解して、20個、30個というチェック項目になることもあります。
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ここで土地・建物制約を考えるうえで、とても重要なことがあります。
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それは、ひとつひとつのマイナス要因はそれほど致命的ではないことが多いということです。
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例えば、入口に少し段差がある。
建物が少しセットバックしている。
間口がやや狭い。
店内の形が少し使いにくい。
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こうした要因が1つあるだけで、「この物件は絶対に売れない」ということには、普通はなりません。
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そもそも、20個、30個とチェックしていけば、何ひとつマイナスのない完璧な物件など、ほとんどありません。
多少の欠点があることを前提に、店舗物件は評価しなければならないのです。
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しかし、それでも「このくらいなら大丈夫」という小さなマイナスがいくつも重なったらどうでしょうか。
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少しセットバックしている。
間口も少し狭い。
入口にも段差がある。
看板も少し出しにくい。
店内の形状もあまり良くない。
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ひとつひとつなら許容できる問題でも、それらが積み重なることで、店舗としての使いにくさが大きくなっていきます。
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つまり土地・建物制約の問題とは、「一発で売上げを大きく下げる要因」というより、「小さなマイナスが蓄積して効いてくる要因」として考えた方が分かりやすいのです。
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<大切なのは「マイナスがあるか」ではなく「どこまでなら許容できるか」>
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ここが、物件評価の難しいところです。
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仮に30項目のチェックリストがあったとして、
「マイナスが1個でもあったら出店しない」
としてしまったら、ほとんど出店できなくなってしまいます。
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一方で、
「多少のマイナスはどの物件にもあるから気にしなくていい」
としてしまうのも危険です。
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30項目のうち、ほぼすべてに問題があるような物件なら、さすがに店舗として相当厳しいでしょう。
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では、
5個なら大丈夫なのか。
10個ならどうなのか。
20個なら危険なのか・・・・
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当然ながら、単純に個数だけで判断することもできません。
同じ「1個のマイナス」でも、売上げへの影響度は違うからです。
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ある業態ではほとんど問題にならない要素が、別の業態では大きなマイナスになることもあります。
さらに、ひとつひとつの影響は小さくても、特定の要因が組み合わさることで影響が大きくなる場合もあります。
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そうしたことを踏まえると、重要なのは「何個マイナスがあるか」ではなく、「どのマイナスが、どの程度売上げに影響するのか」を知っていることです。
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そして、「この業態、この立地なら、どの程度までなら許容できるのか」を判断できることです。
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売上予測モデルに土地・建物制約のチェック項目が多くなるのも、そのためです。
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なんとなく、「間口が狭いからマイナス」というような判断するだけでは足りません。
そのマイナスが実際にどの程度売上げへ影響するのかを、過去店舗の実績などから検証していく必要があります。
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<土地・建物制約は「軽視しても、気にしすぎても」いけない>
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この考え方ができていないと、物件評価は両極端になりがちです。
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小さな問題だから気にしなくていいと軽視してしまうと、大きな落とし穴にハマってしまいます。
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「ちょっと間口が狭いけれど大丈夫だろう」
「少し奥まっているだけだから問題ないだろう」
「この程度の段差なら影響しないだろう」
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そうしたポイントは1つずつ見れば、確かに大したことではないかもしれません。
しかし、それが5個、10個と積み重なった時にも同じ判断でいいとは限りません。
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一方で、逆の問題もあります。
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そうした物件にまつわる制約を気にするあまり、
「間口が少し狭いからダメ」
「セットバックしているからダメ」
「形が少し悪いからダメ」
と、たった1つのマイナスだけで物件を切ってしまうというのも問題です。
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商圏規模が大きく、商圏の質も業態に合っていて、接近容易性も高く、良い動線上にあり、店舗の存在もしっかり知覚してもらえる・・・・
そういう非常に良い立地なのに、土地・建物制約の小さなマイナスだけを気にして出店を見送ってしまったら、それはそれでもったいない判断です。
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店舗物件に100点満点を求める必要はありません。
(というよりも実質的に不可能です)
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大切なのは、
「この物件には欠点があるか?」ではなく、「この物件の欠点は、立地全体の強さを考えた時に許容できる範囲なのか?」
と考えることです。
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<まとめ:良い物件とは「欠点のない物件」ではない>
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土地・建物制約を見る際、完璧な物件など、ほとんどありません。
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何かしらのマイナス要因があることを前提として考える必要があります。
それぞれがどの程度売上げに影響するのか、いくつかのマイナスが重なった時にどの程度までなら許容できるのか、それらのマイナスを補って余りあるほど、他の立地要因が強いのか・・・・
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そこまで含めて判断しなければなりません。
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6大立地要因の中でも、土地・建物制約は特にチェック項目が多く、小さなマイナスを積み上げながら評価していく「蓄積型」の立地要因と言えるでしょう。
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そのため、
「間口が狭いからダメ」
でもなければ、
「このくらいの間口なら気にしなくていい」
でもありません。
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必要なのは、「この程度なら大丈夫」と言える根拠を持つことです。
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良い物件とは、欠点が1つもない物件ではありません。
多少の欠点を抱えていても、それを含めたうえで十分な売上げが期待できる物件です。
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物件選びで本当に必要なのは、マイナスを見つける能力ではなく、そのマイナスの「重さ」を判断する能力なのです。
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