「うちは何十店舗も出店してきたから、立地のことはそれなりに分かっている」
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多店舗展開している企業であれば、そう考えるのは自然なことです。
実際、長年店舗開発をしていれば、「こういう場所は売れやすい」「こういう物件は危ない」といった経験則は蓄積されていきます。
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しかし、店舗数が多いことと、立地を分かっていることは同じではありません。
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むしろ難しいのは、自社が立地を分かっていないことに気づくことです。
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立地についての理解度は、知識の量よりも「普段どのような出店をしているか」に表れます。
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そこで今回は、立地が十分に理解できていない企業に現れやすい7つの傾向を挙げてみます。
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1.出店スピードが極端に遅い
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良さそうな物件が出てきても、なかなか出店を決められない。
社内会議を何度も繰り返しているうちに、他社に物件を取られてしまう。
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こうしたことが頻繁に起きているなら、単に慎重な会社なのではなく、「その物件で売れるかどうかを判断する基準」が不足している可能性があります。
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店舗物件は、住宅のようにじっくり比較して選べるとは限りません。
特に人気物件ほど意思決定にはスピードが求められます。
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だからといって、勘で決めればいいわけでもありません。
様々な立地の要因をちゃんと一定の基準で判断できれば、「何となく良さそうだけれど本当に大丈夫だろうか」という迷いは減ります。
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出店判断の遅さは、立地判断に対する自信のなさの表れかもしれません。
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2.短期間で急激に店舗数を増やしている
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逆に、出店が速すぎる企業にも注意が必要です。
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業績が好調になると、「今のうちにシェアを取ろう」と一気に店舗数を増やすことがあります。
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もちろん、急速な店舗展開そのものが悪いわけではありません。
問題は、出店のスピードに立地の検証が追いついているかです。
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10店舗程度までは、創業者や優秀な店舗開発担当者の感覚でうまくいくことがあります。
しかし、20店、50店、100店と増えていけば、それまでとは異なるマーケットにも出店しなければならなくなります。
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そんな中、「これまで出した店が売れているから次も大丈夫」というような発想で急拡大すると、あるところから急に不振店が増えることがあります。
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出店数の増加とともに、自社の立地条件についての検証も進化しているかということについて、急成長している企業ほど、一度確認しておきたいところです。
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3.出店場所が一等地や駅前に偏っている
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駅前の一等地、大通り沿い、大型商業施設・・・・
こうした場所ばかりに出店している企業を見ると、一見すると立地を重視しているように見えます。
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しかし、必ずしもそうとは限りません。
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「良い場所に出しておけば安心」という発想で出店しているだけなら、それは立地を分析しているというより、立地条件の良さを高い家賃で買っているとも言えます。
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本当に立地を理解している企業なら、
「この業態なら一本裏でも成立する」
「このTGとの関係が取れていれば、駅から多少離れていても問題ない」
など、自社業態にとって必要な条件と不要な条件を切り分けられます。
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結果として、一等地より家賃の安い場所でも十分な売上を確保できる可能性があります。
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一等地に出せることと、一等地に出さなくても売れる場所を見抜けること。
この二つはまったく違います。
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4.紹介された物件の中から出店場所を選んでいる
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店舗物件は、不動産会社やデベロッパー、商業施設などから紹介されることが多いものです。
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もちろん、紹介物件から良い物件が見つかることもあります。
しかし、紹介された物件の中から「一番良さそうなもの」を選ぶことと、自社にとって必要な立地を探すことは別です。
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本来は、
「自社はどのようなマーケットで成立するのか」
「どのようなTGとの関係が必要なのか」
「どのような動線上に出るべきなのか」
といった条件が先にあり、その条件に合う物件を探すべきです。
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ところが実際には、「この物件どうですか?」と提案されてから、その物件に出店する理由を考えているケースが多くあります。
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物件起点ではなく、立地条件起点で出店を考えられているかという点は、企業の立地理解度が非常に表れやすい部分です。
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5.同じブランドなのに店舗ごとの売上差が大きい
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同じ商品を売り、同じ看板を掲げ、ほぼ同じオペレーションをしているのに、A店とB店では売上が大きく違うという状況は、チェーン店では珍しいことではありません。
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もちろん、店長の能力やスタッフ、店舗規模、競合状況など、売上差が生まれる理由はいくつもあります。
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しかし、大きな売上差が継続的に発生しているにもかかわらず、その理由を説明できていないのであれば問題です。
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特に、
「なぜかこの店は売れる」
「昔からここだけ弱い」
といった言葉で済ませているなら要注意です。
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立地分析とは、新規出店候補を評価するためだけのものではありません。
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既存店の売上差を説明し、「自社はどのような立地で強く、どのような立地で弱いのか」を理解するためのものでもあります。
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店舗ごとの売上差そのものより、その差を説明できるかどうかが重要なのです。
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6.物件ごとに出店する理由が変わる
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ある物件では、「駅の乗降客数が多いから」
別の物件では、「周辺人口が多いから」
さらに別の物件では、「競合が少ないから」
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これらのひとつひとつを聞けば、もっともらしい理由に聞こえます。
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しかし、物件によって評価する指標がバラバラになっている場合、注意が必要です。
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良い物件には、探せばいくらでも「良さそうな理由」を見つけることができますが、大切なのは、物件を見るたびに理由を探すことではありません。
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自社の売上に影響する立地要因があらかじめ分かっていて、それを同じ基準で評価できることです。
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出店したい物件が先にあり、その物件を肯定するデータを後から集めてしまえば、立地分析は単なる「出店するための理由づけ」になってしまいます。
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7.店舗開発担当者が変わると出店傾向まで変わる
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「○○さんは物件を見る目がある」
店舗開発の世界では、そんな評価をされる人がいます。
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優れた担当者がいること自体は、もちろん企業にとって大きな財産です。
問題は、その人がいなくなった途端に出店の質まで変わってしまうことです。
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担当者Aは駅前を好む。
担当者Bはロードサイドを好む。
担当者Cは商業施設を好む。
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こうした違いが個人の経験や好みから生まれているのであれば、会社として立地を理解しているとは言いにくいでしょう。
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本来、担当者が変わっても、自社業態に必要な立地条件そのものは大きく変わりません。
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個人の経験を否定する必要はありません。
むしろ、その経験を言語化し、分析し、会社の判断基準として蓄積していくことが重要です。
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「立地が分かる人がいる会社」と「立地が分かっている会社」は違うのです。
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【まとめ】
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今回挙げた7つのうち、どれか1つが当てはまったからといって、「立地が分かっていない企業」と断定できるわけではありません。
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業態や成長段階、出店戦略によって事情は異なりますから、どうしてもこうしたことが発生してしまうことはあります。
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ただし、それでも複数当てはまるのであれば、一度、自社の出店判断が何を根拠に行われているのかを整理してみる価値はあります。
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立地を分かっているかどうかは、「良い物件を見つけたことがあるか」ではありません。
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なぜそこに出すのか。
なぜそこには出さないのか。
そして、その判断を次の物件でも再現できるのか。
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そういったことをしっかり説明できて初めて、企業として「立地が分かっている」と言えるのではないでしょうか。
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