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BLOG 人口減少時代は「そこそこ良い立地」が危ない――都市再生特別措置法改正とこれからの店舗立地

更新日:2026.09.25

2026年、都市再生特別措置法等の改正が行われました。

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この法律の名前だけを見ると、店舗開発をしている人にはあまり関係がないように思えるかもしれません。

しかし、その背景にある国の考え方を見ていくと、これからの出店立地を考えるうえで無視できない変化が見えてきます。

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それが、「コンパクト・プラス・ネットワーク」という考え方です。

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詳しくは国土交通省のこちらの資料をご覧ください。

https://www.mlit.go.jp/toshi/city_plan/content/001890621.pdf

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人口が減少していく中で、住宅も、商業も、医療も、福祉も、街のあちこちに薄く広がった状態をそのまま維持するのは難しいと考えられます。

そこで国は、都市の中心拠点や生活拠点に居住や医療・福祉・商業などの生活サービス機能を誘導し、あわせて公共交通を充実させる「コンパクト・プラス・ネットワーク」を推進しています。

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では、この動きは店舗立地にどんな影響を与えるのでしょうか。

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結論から言えば、私が気になっているのは・・・・これからは「悪い立地」よりも、「そこそこ良い立地」の方が怖いのではないかということです。

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【今のTGがずっとTGであり続けるとは限らない】

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ミクロ的な立地を考える際に重要視すべきポイントのひとつに「TG」があります。

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TGとはTarget Generatorの略で、ターゲットとなる人々が継続的に発生したり、集中したりする場所や施設のことです。

駅、商業施設、学校、病院、大規模な事業所など、さまざまなものがTGになり得ます。

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そして街の中には、非常に強いTGもあれば、それほど強くないTGもあります。

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大きなターミナル駅のように、多少周辺環境が変わったところで簡単にはその力を失わないTGもあります。

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一方で、

「周辺にそれなりの住宅がある」

「スーパーや病院などが集まっている」

「一定の交通量がある」

「地域の人がなんとなくこの辺りに集まってくる」

といった条件が重なり、それほど強力なわけではないものの、地域の小さな中心として成立しているTGもあるのです。

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特に郊外ロードサイドでは、このような場所がたくさんあります。

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今は人がいる。

今は車が通っている。

今は周辺に住宅がある。

今はスーパーやドラッグストア、飲食店などが集まっている。

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だから、現在の立地を分析すれば「ここはそれなりに良い場所ですね」という評価になる可能性が高いと言えます。

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ただ問題は、その場所が10年後、20年後にも同じようにTGであり続けるのかということです。

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<国自身が「都市機能の役割分担」を進めようとしている>

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ここで注目したいのが、国土交通省が示している「コンパクトシティ化」の施策です。

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前述の国交省の資料では、複数の市町村によって生活圏や経済圏が形成されている場合、医療・福祉・子育て支援・商業などの都市機能を、それぞれの自治体がすべて抱えるのではなく、一定の役割分担のもとで連携・整備し、「効率的な施設配置」を図ることが重要だとされています。

また、同資料には、「施設の機能分担・共同利用」という言葉も明記されています。

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さらには、大都市郊外部や地方都市周辺の鉄道沿線では、人口減少や高齢化によって都市サービスや都市経営の持続性が低下することも懸念されています。

そこで、拠点病院、大規模商業施設、文化ホールなどの高次都市機能については沿線の市町村間で分担・連携し、交通結節点となる駅周辺には福祉、子育て支援、買い物などの生活支援機能を誘導する、という考え方まで示しています。

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実際に一部の地域では、具体的にそうした方向性での街作りも始められているようです。

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また、政府の財政制度等審議会では、複数の地方公共団体が連携する際に、「公共施設等の将来的な統廃合も視野に入れつつ役割分担」を行う考え方も示されています。

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ここまでは、国が実際に示している方針です。

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そして、ここから先は立地という視点からの私の考察です。

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こうした政策が進めば、街の中に存在するすべてのTGが同じように維持されるとは考えにくくなります。

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人口が増えている時代であれば、

「ものすごく強いTG」

「そこそこ強いTG」

「小さいけれど地域では機能しているTG」

が同時に成立することもできました。

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もちろん、集中度の高いTGほど売り上げへの影響は大きいものの、そもそもの周辺ポテンシャルが大きければ、その近辺の小さなTGであっても十分に集客できる可能性があったのです。

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小さなTGがいくつもあるということは、それだけ、街が広域にわたって広がっていたということでもあります。

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街そのものが拡大し、新しい住宅地ができ、道路が整備され、その周辺に商業施設が生まれれば、新しいTGも生まれますから、それだけ商売の成立する場所も増えるわけですね。

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しかし人口が減少する局面では、逆のことが起こります。

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限られた人口、限られた都市機能、限られた公共投資を、街のあらゆる場所へ同じように配分し続けることは難しくなります。

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しかも国は実際に、都市機能を拠点間で分担し、効率的に配置する方向を示しているわけです。

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そう考えると、これから起こる可能性があるのは、「新しいTGがたくさん生まれる」というより、「TGの強弱がよりはっきりする」という流れではないかと予想されます。

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強いTGには人や施設が集まり、さらに強くなる一方で、これまでギリギリ成立していた弱いTGは、人や施設が別の拠点へ集約されることで、相対的にさらに力を失っていくということです。

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私は、ここが今後の店舗立地を考えるうえで非常に重要だと思っています。

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<特に郊外ロードサイドは「今」の評価だけでは危ない>

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これは特に、郊外ロードサイドの出店で注意したいところです。

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鉄道駅は、それ自体が単体で強力なTGです。

もちろん駅にも利用者の増減はありますが、鉄道ネットワークや交通結節機能を背景として、人が継続的に集まる構造を持っています。

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一方、ロードサイドのTGはもう少し複雑です。

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周辺人口の多さ、道路構造による交通の流れ、商業集積の規模、公共施設・病院・学校の配置など、複数の要因が組み合わさって“かろうじて”成立している場所が少なくありません。

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だからこそ、現在だけを見れば良い立地に見え、売上予測をしても、それなりの数字が出る場所でも、それが10年後にも同じ評価になるとは限らないのです。

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別の地域拠点へ居住が誘導される。

公共施設が統廃合される。

公共交通のネットワークが変わる。

病院や商業施設などの都市機能が別の拠点へ集約される・・・・

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などといった変化が重なれば、現在その場所を支えているTGそのものが徐々に弱くなる可能性があります。

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そして、おそらく本当に厄介なのは、「誰が見ても弱い立地」ではありません。

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そういう場所は、今も未来も弱いので、ある意味でそれ以上悪化することはないからです。

(すでに現時点で危ない)

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しかしながら、むしろ現在は「そこそこ良い」と言える立地は、落とし穴に気を付けなければいけないでしょう。

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「そこそこ良い」から出店候補に上がってしまうものの、その良さを支えている条件が、人口減少と都市機能の再配置によって崩れていく可能性があるのですから。

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基本的に、店舗は一度出店したら数年で終わるものではありません。

10年、20年と営業することもありますし、願わくばそういう期待をこめて出店するはずです。

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だからこそ、「今この場所は良いか」だけではなく、「この場所は10年後も良い場所であり続けるのか」を見る必要があります。

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<これからの立地調査には「街自体の方向性」という視点も必要になる>

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もちろん、立地適正化計画を見れば未来の売上が分かるわけではありません。

それに、行政が計画した通りに街が変わるとも限りません。

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また、都市機能誘導区域に入っているから良い立地、区域外だから悪い立地、と単純に判断できるものでもありません。

巨大なショッピングセンターのように、民間施設そのものが非常に強いTGとなり、人を集め続ける場所もあります。

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そういったことを考えると、結局、立地を見る基本は変わりません。

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商圏規模、商圏の質、接近容易性、知覚突出性、土地・建物制約、競合制約などを通して、現在のその場所が持っている立地ポテンシャルをきちんと分析することが基本です。

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ただし、これからはそこにもうひとつ、「この街はこれからどちらへ向かおうとしているのか」という時間軸の視点も、特に郊外ロードサイド立地においては加えた方がいいかもしれません。

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なお、そのために役立つ資料のひとつが、各自治体の「立地適正化計画」です。

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どこに居住を誘導しようとしているのか。

どこに商業や医療などの都市機能を誘導しようとしているのか。

周辺自治体とは、どのような都市機能を分担しようとしているのか。

公共交通をどこに残し、強化しようとしているのか。

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こうした情報を見ることで、「現在の街」だけではなく、「行政がこれから作ろうとしている街」の姿も見えてきます。

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人口が増え、街が外へ外へと広がっていた時代と、人口が減り、都市機能を拠点へ集約していく時代では、当然、立地の見方も同じではありません。

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これからの出店で本当に注意したいのは、誰が見ても悪い場所ではないのかもしれません。

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現在は商圏もある。

交通量もある。

周辺施設もある。

一応TGもある。

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だから、今ならそれなりに売れる。

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そんな、「そこそこ良い立地」こそ、本当に10年後も同じ評価になりえるのか注意して見る必要があるでしょう。

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出店候補物件を見るときには、その場所だけでなく、その街がこれからどちらへ動こうとしているのかを考えてみてください。

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そして、街の変化の仕方次第では、人口その他ももちろんのこと、何より「そのTGは10年後もTGであり続けるのか」という観点で、物件を選んでいってください。

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そこまで考えて出店を判断する必要性が、少なくとも地方においては、これからますます高まっていくのではないでしょうか。

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