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店舗立地はチェーン企業経営者の一大事に違いない
日本マクドナルド、ある日の店舗開発会議、その日はいつもより緊張感がみなぎっていた。 約20名の関係者が、定刻の5分前までに会議室に着席し、静かに社長の入室を待っていた。
10時きっかりに、ドアがバンッと開き、社長がずかずかと大股で入ってきた。
と、同時に、会議室内にどなり声が響き渡る。
「おいっ!! 御徒町の解約条件はどうなっているっ!!」
まだ自身のイスに座ってもいないうちに発せられた社長のその大きな声に、一同は、あっけにとられた。
そう、御徒町店(仮称)がオープンしたのは先週の金曜日。 店舗開発部と出店調査部の押し問答の末、店舗開発部が押し切って出したお店だった。
オープンからまだ3日しか経っていない。今朝になって、この3日間の売上が集計され報告されたばかりだ。
まったく売れていなかったた。 御徒町店の売上は、店舗開発部の予想を大きく下回っていた。
もちろん、その情報は、会議室に集まった全員に知らされている。(これは、社長から叱責があるに違いない・・・) それで緊張していたのだ。
しかし、いくら売れてないからといって、たったの3日で「解約」を言い出すとは、まったくの想定外のこと。
店舗開発担当者が慌てふためいて、契約書を広げ、解約条件を調べ、
席に着いた社長の前に差し出し、説明を行う。
「そうかぁ。うーーん。」
会議室の20名が固唾を飲んで見守る中、社長は、腕組みをして、しばらく苦しそうに唸る。
そして、悔しそうに絞り出した次の一言。
これが、一同に鮮烈な印象を残した。
「この物件は、わしが自分で立地を見てなかったからなあ」
すでに、御徒町店の店舗番号は799番。1号店の開店からは18年経っていた。 これだけ店舗数が多くなれば、社長がすべての物件を見ておくことは物理的に不可能なことだった。
この店舗に限らず、社長が契約前に物件を見ていないことはいくつもあった。
だからこそ、社長は、物件を見ることができない自分の分身として、出店立地を調査をする専門部隊「出店調査部」を作ったのだった。 この出店リスクを回避するためのシステムは完成していた。
しかし、それでも
「どんなに店舗が増えても、出店の成功、不成功を決めるのは最終責任者たる社長の仕事である」
という、社長の信念は変わっていなかった。
社長にとって、1号店も799号店も一緒だった。
たとえ「出店調査部」があっても、出店の失敗は、自分の失敗。 開店後3日間の売上が思わしくないのも、それも自分の失敗。
これ以上傷口を広げないためには、一刻の猶予も許されない。 だからこその「解約」だった。
「社長、大丈夫です。この広域マーケットであれば、売上は、今よりは、徐々に上がっていくはずです」 出店調査部がそのように説明して、その場は何とか収まった。
それにしても、この時、この会議に出席した誰もが 「社長の店舗立地にかける執念は恐るべきものだ」と感じたに違いない。
その後も、このチェーンは店舗数をどんどん伸ばし、社長の晩年には、誰もが認める日本随一の企業となっていた。
(社長の退任後、20年もしないうちに、外食産業の日本1の座は、ゼンショーに明け渡すことになる)
このチェーンに限らず、大きなチェーンに育っている企業の社長のほとんどは、 「店舗立地は経営者の一大事」という信念を持っている。
それは、創業期はもとより1000店規模になっても、だ。
むしろ、その信念があったからこそ、大きなチェーンに育った、と言うべきなのだろう。
その反対に、社長・オーナー経営者が、立地を担当者任せ、業者任せにしているチェーン企業は、どこかで行き詰まる。
店舗数も売上も伸ばせず、消え去ってしまう企業も少なくない。
これがチェーン企業の厳然たる事実。
「店舗立地は経営者の一大事」に違いない。
23/06/12
22/05/20
21/12/30
21/08/04
21/08/03
21/08/01
21/07/31
21/07/10
21/07/09
21/07/08
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日本マクドナルド、ある日の店舗開発会議、その日はいつもより緊張感がみなぎっていた。
約20名の関係者が、定刻の5分前までに会議室に着席し、静かに社長の入室を待っていた。
10時きっかりに、ドアがバンッと開き、社長がずかずかと大股で入ってきた。
と、同時に、会議室内にどなり声が響き渡る。
「おいっ!! 御徒町の解約条件はどうなっているっ!!」
まだ自身のイスに座ってもいないうちに発せられた社長のその大きな声に、一同は、あっけにとられた。
そう、御徒町店(仮称)がオープンしたのは先週の金曜日。
店舗開発部と出店調査部の押し問答の末、店舗開発部が押し切って出したお店だった。
オープンからまだ3日しか経っていない。今朝になって、この3日間の売上が集計され報告されたばかりだ。
まったく売れていなかったた。
御徒町店の売上は、店舗開発部の予想を大きく下回っていた。
もちろん、その情報は、会議室に集まった全員に知らされている。(これは、社長から叱責があるに違いない・・・)
それで緊張していたのだ。
しかし、いくら売れてないからといって、たったの3日で「解約」を言い出すとは、まったくの想定外のこと。
店舗開発担当者が慌てふためいて、契約書を広げ、解約条件を調べ、
席に着いた社長の前に差し出し、説明を行う。
「そうかぁ。うーーん。」
会議室の20名が固唾を飲んで見守る中、社長は、腕組みをして、しばらく苦しそうに唸る。
そして、悔しそうに絞り出した次の一言。
これが、一同に鮮烈な印象を残した。
「この物件は、わしが自分で立地を見てなかったからなあ」
すでに、御徒町店の店舗番号は799番。1号店の開店からは18年経っていた。
これだけ店舗数が多くなれば、社長がすべての物件を見ておくことは物理的に不可能なことだった。
この店舗に限らず、社長が契約前に物件を見ていないことはいくつもあった。
だからこそ、社長は、物件を見ることができない自分の分身として、出店立地を調査をする専門部隊「出店調査部」を作ったのだった。
この出店リスクを回避するためのシステムは完成していた。
しかし、それでも
「どんなに店舗が増えても、出店の成功、不成功を決めるのは最終責任者たる社長の仕事である」
という、社長の信念は変わっていなかった。
社長にとって、1号店も799号店も一緒だった。
たとえ「出店調査部」があっても、出店の失敗は、自分の失敗。
開店後3日間の売上が思わしくないのも、それも自分の失敗。
これ以上傷口を広げないためには、一刻の猶予も許されない。
だからこその「解約」だった。
「社長、大丈夫です。この広域マーケットであれば、売上は、今よりは、徐々に上がっていくはずです」
出店調査部がそのように説明して、その場は何とか収まった。
それにしても、この時、この会議に出席した誰もが
「社長の店舗立地にかける執念は恐るべきものだ」と感じたに違いない。
その後も、このチェーンは店舗数をどんどん伸ばし、社長の晩年には、誰もが認める日本随一の企業となっていた。
(社長の退任後、20年もしないうちに、外食産業の日本1の座は、ゼンショーに明け渡すことになる)
このチェーンに限らず、大きなチェーンに育っている企業の社長のほとんどは、
「店舗立地は経営者の一大事」という信念を持っている。
それは、創業期はもとより1000店規模になっても、だ。
むしろ、その信念があったからこそ、大きなチェーンに育った、と言うべきなのだろう。
その反対に、社長・オーナー経営者が、立地を担当者任せ、業者任せにしているチェーン企業は、どこかで行き詰まる。
店舗数も売上も伸ばせず、消え去ってしまう企業も少なくない。
これがチェーン企業の厳然たる事実。
「店舗立地は経営者の一大事」に違いない。