「うちの店のターゲットは30〜40代の会社員男性だから、会社員が多いオフィス街に出店しよう」
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例えばこうした方向性は、一見して理にかなった出店戦略に思えます。
しかし実際には、こうした考え方で出店して、失敗してしまう店舗も少なくないのです。
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それは、なぜかといいますと・・・・
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ターゲット客層が多い場所と、その人たちが商品を買いたくなる場所は、必ずしも同じではないからです。
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商圏の質を見極めるには、年齢や性別、職業などの属性だけでなく、「その人たちが、何のためにその街にいるのか」を考える必要があります。
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<会社員が多いオフィス街なら会社員向けの店は繁盛する?>
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例えば、30代後半から40代の会社員男性をターゲットとする商品を販売するとしましょう。
ターゲットが多い場所を探すなら、新橋や神田、新宿西口などのオフィス街が候補に挙がるかもしれません。
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確かに、こうした街には会社員が大勢います。
しかし、考えてみてほしいのです。
そこにそれだけ会社員が多いのは、なぜでしょうか。
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そこにいる会社員の多くは、仕事をするためにその場所に来ています。
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日中は多かれ少なかれ仕事に追われ、自由に買い物を楽しめる時間は限られています。
昼休みや仕事帰りなど、購買の機会が生まれる時間帯も限定されがちです。
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一方、同じ会社員が休日に新宿や池袋などの繁華街を訪れた場合はどうでしょうか。
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買い物や飲食、娯楽を目的に出かけているのであれば、商品を見たり、店に立ち寄ったりする余裕があるかもしれません。
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つまり、同じ人でも、仕事をするためにいるときと、買い物を楽しむためにいるときでは、購買行動が変わるのです。
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私自身、ターゲット客層が多いという理由でオフィス街に出店し、早々に撤退してしまった店舗をいくつも見てきました。
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もちろん、オフィス街での出店が悪いわけではありません。
限られた昼休みの需要を捉える飲食店や、仕事帰りの需要に合った店舗など、十分に商売が成立する業態もあります。
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問題は、会社員が多いという事実だけで、会社員向けの店なら売れると判断してしまうことなのです。
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<ターゲットを細かく絞りすぎると商圏の質を判断できなくなる>
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もうひとつ注意したいのが、ターゲット客層の絞り込み方です。
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例えば、次のような人物像を設定したとします。
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「住宅ローンの負担が減り、可処分所得に余裕が出てきた40〜50代の人」
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商品開発や広告宣伝では、こうした具体的なターゲット設定が役立つこともあります。
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しかし、立地選びとなると話は別です。
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この条件に当てはまる人がどの商圏に何人いるのか、あるいは通行人のうち何割を占めるのかを、正確に把握するのは簡単ではありません。
年齢や世帯構成などは統計データから調べられますが、住宅ローンの返済状況や、お金の使い方に対する考え方までは分かりません。
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街頭アンケートなどで調べる方法もありますが、十分な調査を行うには費用も手間もかかります。
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ターゲットを細かく設定するほど、その人物像にぴったり合う商圏を見つけることも、適合度を客観的に評価することも難しくなるのです。
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さらに、特定の客層に極端に偏った商圏には、別のリスクもあります。
狙った需要を捉えられれば大きな成果につながる一方、その需要を見誤ると、ほかの客層によって売上げを補うことが難しくなる場合があるということです。
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例えば分かりやすい例が、大学近くの学生街に出店するようなケースです。
そうしたエリアは、確かに学生の好みに商品がハマれば繁盛する可能性はありますが・・・・一方で、もしも学生たちに気に入られなければ、「他の客層を取り込もう」とできる余地はありません。
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また、学生街は夏休みや年末年始など、学校が休みの期間においては需要が激減してしまうリスクも抱えています。
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こうしたことも踏まえ、ターゲット客層との一致度が高いことは、必ずしも商圏の質が良いことを意味しないと言えるのです。
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<多様な人が集まる繁華街には、別の強みがある>
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ここで考えたいのが、繁華街の特徴です。
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新宿や池袋のような繁華街には、学生も会社員も、若者も高齢者も、さまざまな人々が集まります。
年齢や職業などで細かく分類すれば、特定の客層が占める割合は、オフィス街や学生街ほど高くないかもしれません。
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しかし、繁華街には、多様な人々を惹きつける理由があります。
そのひとつが、買い物や飲食、娯楽などの消費活動です。
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特定の属性の人が多いかどうかとは別に、お金を使うことを目的に集まる人が多いという強みがあるのです。
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もちろん、繁華街ならどんな店でも繁盛するわけではありません。
業態によっては住宅地やオフィス街の方が適していることもあります。
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ただ、ここで重要なことは、商圏の質を「ターゲット客層の構成比」だけで評価しないことです。
その街に人々が集まる目的まで考えて初めて、商売に適した場所かどうかが見えてきます。
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<同じ「会社員向けの居酒屋」でも適した立地は違う>
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では、もう少し具体的に、「ターゲット客層」の設定を立地選びにどう生かせばよいのでしょうか。
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例えば、会社員向けの居酒屋を考えてみましょう。
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「仕事帰りに上司や同僚と集まって楽しむ大衆居酒屋」なら、オフィス街から駅へ向かう帰宅動線上が有力な候補になります。
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一方、「仕事帰りに一人で気軽に立ち寄り、一杯飲んで帰る立ち飲み屋」なら、会社員が多く住むベッドタウンの駅前などにも出店の可能性があります。
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どちらもターゲットは会社員です。
しかし、利用する場面が異なれば、適した立地も変わります。
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この違いを生むのが、「お店を利用する動機」です。
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立地を検討するときは、ターゲットが何人いるかを調べるだけでなく、次のようなことまで考える必要があります。
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- その人たちは、何をするためにその街にいるのか。
- どんな場面で、自店の商品やサービスを必要とするのか。
- 買いたいと思うタイミングで、自店を利用できる場所にいるのか。
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といったことですね。
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例えば、同じように会社員が多い街においても、その中で「仕事帰りに立ち寄ってもらうお店」と、「休日にゆっくり買い物をしてもらうお店」では、求められる立地条件が異なるはずです。
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ターゲット客層を設定するだけでなく、その人たちの購買動機と店舗の立地条件を結びつけて考えることが大切なのです。
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<商圏の質は「ターゲットがいるか」だけでは決まらない>
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商圏分析では、人口や年齢構成、職業、所得などのデータが重要な判断材料になります。
しかし、それらの数字だけで「自店のターゲットが多いから良い商圏だ」というように結論づけるのは危険です。
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私たちが立地調査や売上予測を行う際にも、まずターゲット客層を確認し、統計データや現地調査でその存在を調べます。
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その上で、さらに考えるのが「その人たちは本当にお客さんになってくれるのか」「この物件で買い物をしたいと思うのか」という点です。
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ターゲットが「いる場所」を探すだけでなく、ターゲットが「買いたくなる場所」を見極めること。
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これが、商圏の質を正しく評価し、出店判断の失敗を減らすための重要な視点です。
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