商業施設への出店を検討している企業さんと話をしていると、時々感じることがあります。
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それは、「これだけ集客力のある商業施設なんだから、館内にさえ入ればそれなりに売れるだろう」と思い込んでいないだろうかということです。
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確かに、大型のショッピングセンターや駅ビルには、毎日たくさんの人が訪れます。
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そもそも買い物や食事を目的として来館している人も多いので、路面店と比較すれば、最初から「お金を使おう」という状態にある人々を相手に商売ができるというメリットもあります。
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そういう意味では、商業施設そのものが持っている集客力は非常に大きなものです。
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しかし、「施設に人がたくさん来る」ことと、「自分のお店の前に人がたくさん来る」ことは、まったく別の話です。
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むしろ私は、商業施設内への出店だからこそ、路面店以上に細かく立地を見なければならないケースも多いと思っています。
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<施設に10万人来ても、自店の前を10万人が通るわけではない>
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商業施設の立地を見る時、まず切り分けなければならないのが、「施設そのものの集客力」と「館内における自店の立地」です。
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例えば、休日には10万人が訪れる巨大な商業施設があったとします。
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だからといって、その10万人全員が館内のすべての場所を歩くわけではありません。
当然ながら、人々がよく通る場所もあれば、ほとんど通らない場所もあります。
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駅と接続している入口。
大型駐車場から館内へ入る入口。
食品スーパー。
大型専門店。
フードコート。
シネマ。
エスカレーターやエレベーター。
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こうした人々が発生・集中するポイントが館内の各所にあり、それらの位置関係によって人々の動きが生まれます。
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特に重要なのは、「人が多いかどうか」ではなく、「なぜその人たちがそこを通るのか」です。
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例えば、1階の入口から入った人の多くが、そのままエスカレーターに乗って上階へ向かう施設なら、そのエスカレーターへ向かうルートには強い流れができます。
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一方、その流れから一本外れた通路は、同じフロアで、ほんの数十メートルしか離れていなくても、人通りが大きく変わることがあります。
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これは路面店でTGと動線を見るのと基本的には同じです。
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「TGが近くにあるだけ」では十分ではなく、TGから発生した人々が、どのような必然性をもって自店の前を通るのかということまで見なければ、「商業施設に人がいる」という情報だけでは、その物件が良い立地なのかどうかは判断できません。
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<商業施設内では「動線の強弱」が極端に出る>
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商業施設内の立地を見るうえで、特に注意したいのが館内の購買動線です。
商業施設にはたくさんの通路がありますが、人々はそれらを均等に歩いているわけではありません。
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駅から入ってスーパーへ向かう。
駐車場からエスカレーターへ向かう。
買い物を終えてフードコートへ向かう。
シネマを出て駅へ戻る。
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こうした「目的と目的を結ぶ移動」が積み重なって、強い購買動線が形成されます。
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逆に言えば、「わざわざそこへ行く理由がない場所」には、同じ商業施設の中でも人は流れにくいのも当然のことです。
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典型的なのが、通路の奥まった場所や、行き止まりに近い場所、主要な縦動線から外れた場所などでしょう。
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そういった場所はもしかしたら、館内図だけを見れば、「エスカレーターから20mしか離れていない」と思うかもしれません。
しかし、その20mの間に人々が曲がる必然性がなければ、自店の前には来てくれないのです。
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反対に、駐車場から食品スーパーへ向かう途中など、人々が必ず通る場所であれば、施設の中心部から多少離れていても強い立地になることがあります。
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ですから商業施設では、「このフロアは人が多い」ではなく「この人たちは、どこから来て、どこへ向かっているのか」を見る必要があります。
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商業施設全体を一つの立地として見るのではなく、館内にいくつものTGと動線が存在する「小さな街」のように捉えるくらいの感覚で見た方が、実際の売上げとの関係は理解しやすいと思います。
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<人が通っていても「気づかれない店」は売れにくい>
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さらにもう一つ、商業施設内だからこそ特に重要になるのが視界性の問題です。
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路面店でももちろん視界性は重要ですが、商業施設の中はとにかく視覚的な情報量が多いため、なおさら自店がいかに目立つかが重要になるのです。
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施設内を歩けば、左右には大量のテナントが並び、館内サインがあり、催事があり、広告があり、他の買い物客も大勢歩いています。
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つまり、自店の前を人々が通っているからといって、その人たちが必ずしも自店を見てくれているとは限りません。
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例えば・・・・
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エスカレーターを降りた人の進行方向とは逆側に店舗がある。
大きな柱の陰に店舗の間口が隠れている。
通路が曲がった先にあり、近づくまで店舗が見えない。
正面の大型テナントに意識を奪われ、自店側へ視線が向きにくい。
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こうしたちょっとした違いで、買い物客の視界から外れてしまうことがあります。
しかもこうした部分は、館内図を眺めているだけではなかなか分かりません。
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ですからここでも大切なのは、「店舗が見えるか」ではなく、「その店の存在を知らない人の視界に、自然に入ってくるか」ということです。
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そして視界性は、動線とセットで考えなければなりません。
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「どこから人が来るのか」
「どちらを向いて歩いているのか」
「どの地点で店舗が視界に入るのか」
「その時、他に何が見えているのか」
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ここまで見て、ようやく商業施設内のミクロ立地を評価できます。
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<まとめ:「商業施設だから安心」ではなく「商業施設だからこそ厳しく立地を見る」>
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商業施設への出店では、どうしても施設そのものの数字に目が行きがちになります。
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年間来館者数。
売上高。
商圏人口。
施設全体の知名度など・・・・
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もちろん、これらは重要です。
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しかし、どれだけ集客力のある施設でも、館内のすべての区画が同じように売れるわけではありません。
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むしろ商業施設の場合、施設全体としては非常に強いとしても、その中に「売れにくい場所」が普通に存在するわけです。
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ここが怖いところです。
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そして、施設そのものに十分な集客力があるからこそ、「流行りの商業施設に出店したのに、なぜ私の店だけ売れないんだろう?」ということが起こります。
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その時に見るべきなのが、前述のように、
人々がどこから発生しているのか。
その人々がどこへ向かっているのか。
どの動線上に自店があるのか。
そして、その人々の視界に自店がどう入っているのか。
という、極めてミクロな立地の視点です。
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路面店なら「駅から近い」「大通り沿い」「交差点角地」といった比較的大きな立地差が出ることがあります。
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一方、商業施設内では、同じ建物、同じフロア、わずか数十メートルの違いで売上げに差が生まれることがあります。
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ですから私は、「商業施設内だから、立地をあまり気にしなくていい」のではなく、「商業施設内だからこそ、立地をより細かく見なければならない」と考えています。
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商業施設への出店で見るべきなのは、「この施設には何人来るのか」だけではありません。
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「その人たちのうち、誰が、なぜ、自店の前まで来るのか」
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そこまで見て初めて、その区画が本当に「売れる場所」なのかを判断できるのです。
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