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BLOG 人口が多ければ「良い商圏」なのか?

更新日:2026.09.07

出店候補地を検討するとき、まず「人口」を見る人は多いと思います。

「このエリアは人口が多いから商売がしやすそうだ」

「駅の利用者数が多いから、売上も期待できそうだ」

といったことですね。

もちろん、人口が多いこと自体はプラス材料です。

しかし、立地を分析するときには、ここで一つ大事な区別をしなければなりません。

それが、

「商圏規模」と「商圏の質」は別物である

ということです。

人がたくさんいることと、その人たちが自分の店のお客になりやすいことは、同じではありません。

<「何人いるか」だけでは商圏は分からない>

例えば、同じ10万人が生活する商圏が二つあったとします。

一方は、子育て世帯が多い住宅地。

もう一方は、単身の若い社会人が多い街。

人口だけを見れば、どちらも10万人です。

しかし当然ながら、ファミリー向けの商品を扱う店を出すのか、一人客中心の飲食店を出すのかによって、この二つの商圏の価値はまったく違ってきます。

さらに同じ人口10万人でも、高齢者が多いのか若年層が多いのか、所得水準が高いのか低いのか、といった違いもあります。

実際、地域によって住民の所得水準にはかなりの差があります。

過去の立地研究でも、市区町村ごとの所得データを使って地域の違いを把握する方法が取り上げられてきました。

また、男女の構成も無視できません。

オフィスや学校、商業施設など、その地域に存在する施設によって、そこで活動する人々の男女比には違いが生まれます。

そして当然ながら、業態によって男性客を集めやすい店もあれば、女性客を集めやすい店もあります。

つまり、

商圏規模=「どれくらいのマーケットがあるか」

という見方と、

商圏の質=「そのマーケットがどんな中身なのか」

という見方、この二つは分けて考える必要があるのです。

<「住んでいる人」だけを見るのも危険>

もう一つ、商圏の質を考えるうえで重要なのが、

「そこに住んでいる人」と「そこで活動している人」は違う

ということです。

典型的なのがオフィス街です。

住民人口だけを見れば、それほど大きな商圏には見えない場所でも、平日の昼間になると大量の就業者が流入してくることがあります。

逆に、大規模な住宅地では夜間人口は多くても、平日の昼間には働きに出てしまい、人が大きく減ることもあります。

さらには、商業施設や大学、病院、観光施設などがあれば、そこに住んでいない人々も外部からやってきます。

ですから、「人口○万人」という一つの数字だけでは、その街で実際に商売をする相手が誰なのかは分かりません。

これは駅の乗降客数や店前通行量についても同じです。

例えば店の前を1日に1万人が通るとすれば、それだけ聞けば、かなり良い立地に思えるかもしれません。

しかし、本当に知りたいのは(売上げにより大きく影響してくるのは)、

「1万人いるか」だけではなく、「どんな1万人なのか」でしょう。

平日と休日ではどう違うのか。

朝・昼・夜ではどう違うのか。

男性が多いのか、女性が多いのか。

そして、その中に自店のターゲットとなる人がどれくらいいるのか。

実際、通行量調査も単に人数を数えるだけではなく、曜日や時間帯などに分けて観察することで、その地域の「商圏の質」を知る材料になります。

<「絶対的に商圏の質が高い街」は存在しない>

ここまで考えると、さらに重要なことが分かります。

実は、絶対的に「商圏の質が高い街」というものはありません。

正確には、「その業態にとって商圏の質が良いかどうか」なのです。

若い単身者が大量に住んでいる街は、そうした人々をターゲットとしている業態にとっては非常に魅力的な商圏でしょう。

しかし、高齢者向けの商品を扱う店にとっては、必ずしも良い商圏ではありません。

また、(比較的多くの企業がターゲットにしたがる)高所得者が多い街についても同じです。

高単価の商品やサービスには魅力的かもしれませんが、「所得が高い=あらゆる店が売れる」という話ではありません。

逆に、一見すると人口が少なく、それほど魅力的に見えない商圏でも、自店のターゲットとなる人が高い割合で存在していれば、十分に成立する可能性があります。

ここが商圏分析の面白いところです

人口を見ることは大切です。

世帯数を見ることも大切です。

駅の乗降客数を見ることも、通行量を見ることも大切です。

ただし、それらは基本的に「量」の情報です。

その数字を見て、「人が多い。だから良い立地だ」と結論づけてしまってはいけません。

その次に、「では、その人たちは誰なのか?を見る必要があります。

<まとめ:商圏は「大きさ」と「中身」で見る>

立地分析において、商圏規模は非常に重要な要素です。

そもそものマーケットが小さすぎれば、どれほど良い物件を見つけても、売上には限界があります。

しかし、商圏が大きいことと、自店にとって良い商圏であることは別問題です。

10万人いるなら、その10万人はどんな人たちなのか。

そこに住んでいるのか、働きに来ているのか、買い物などを目的に訪れているのか。

年齢はどうなのか。男女構成はどうなのか。所得水準はどうなのか。

そして何より、その中に、自店のお客になり得る人がどれだけいるのか。

商圏を見るときには、

「どれくらい人がいるか」という商圏規模と、
「どんな人がいるか」という商圏の質と、

この二つを混同しないことが重要です。

「人口が多いから良い立地」。

もし出店候補地をそんなふうに評価しているとしたら、その数字の中身をもう一段掘ってみる必要があります。

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