私の立地コンサルとしてのメインの仕事のひとつは、企業の店舗開発担当者の方々に対して、「立地の見方」をお教えする研修です。
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これは単発のセミナーではなく、最低でも半年~1年、場合によっては数年かけて、実際の既存店を分析したり、現地調査をしたり、物件を見たりしながら、少しずつ立地分析の技術を身につけてもらう研修です。
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当然ながら、短期ではなく中長期で実施していくものですので、その最初と最後ではかなりの実力の差が出ます。
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最初は「駅から近いから良い立地だと思います」くらいの見方だった人が、商圏規模や商圏の質、TGや動線、視界性、建物条件などを一つひとつ確認しながら、「なぜこの店は売れているのか」「この物件ならどのくらい売れそうか」を考えられるようになっていくのです。
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ただ、長年こうした研修をしていると、同じように時間をかけて研修をしても、担当者(ひいてはその企業のプロジェクトチーム)の成果の出方には、かなり差があることが見えてきました。
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もちろん、オファーされた企業のニーズに対して、私の方でも最大限の成果を出そうと努めるのは当たり前の話です。
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しかしながら実際のところ、常にそう意識していたとしても、ある企業では上手く結果が出て、しかし別のある企業では不完全燃焼で終わってしまうということも、起きてしまうのです。
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その差を生み出しているのは、必ずしも「研修の内容」だけではありません。
私が感じているのは、立地研修の成果には、大きく3つの要素が関係しているということです。
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<①担当者の「素質」>
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1つ目は、研修を受ける担当者本人の素質です。
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これはもちろん、最初から立地に詳しい必要がある、という意味ではありません。
(それをお教えするための研修なのですから)
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ただ、立地分析という仕事には、ある程度の向き不向きはあります。
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例えば、数字を見ることに強い抵抗がある。
複数のデータを比較して、そこから仮説を立てることが苦手。
現地調査へ行っても、目の前の物件だけを見ていて、周囲を歩く人々や建物、道路、駅、商業施設などに注意が向かない。
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担当者がそういった気質を持っていらっしゃると、どうしてもそれらは、研修による技術の習得スピードに影響します。
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そもそも重要なこととして、立地分析は「単に知識を暗記する仕事」ではありません。
なんとなく詰め込みでノウハウだけを覚えればいいということではないのです。
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「なぜこの店は売れているのだろう?」
「同じ駅前なのに、なぜこちら側だけ人が多いのだろう?」
「この物件は駅から近いのに、なぜ入りにくく感じるのだろう?」
といった疑問を持ち、観察し、数字を確認し、仮説を立てて検証していく作業が重要になります。
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ですから、数字を扱う力、論理的に考える力、観察力、そして何より「分かるようになりたい」という本人の意欲は、どうしても成果に影響します。
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もちろん、これらの能力自体も研修によってある程度伸ばすことはできます。
しかし、スタート地点や本人の意欲によって、中長期的な到達点に差が出るのは事実です。
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<②集中して取り組める「環境」>
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立地分析は専門的な技術ですから担当者の素養は重要であるものの、しかしながら、研修がうまくいかなかった時に、すべてを「担当者の能力不足」で片づけるのは間違いです。
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むしろ企業研修では、他の問題の方が大きいこともあります。
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研修成果を左右する2つ目の要素が、「立地分析に集中して取り組める環境があるか」ということです。
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前述のように立地分析は、研修を受けて話を聞くだけで身につくものではありません。
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実際にデータを集める。
既存店を比較する。
現地へ行って調査する。
自分なりに売上げの要因を考える。
それを研修の中で検証し、また次の分析をする・・・・
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この繰り返しによって、少しずつ分析力が身についていきます。
ところが担当者が他の仕事を大量に抱えていると、この時間が十分に取れないということがあります。
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各回の研修終了時に、
「次回までに既存店を分析をここまで進めておいてください」
とお願いしても、日々の店舗開発業務や会議、資料作成、社内調整などに追われ、結局ほとんど分析できないまま次の研修日を迎えてしまう。
あるいは、分析作業を始めても、途中で別の仕事が入り、何度も思考が中断されてしまう。
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こういった業務環境では、なかなか分析力は身につきません。
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もちろん、研修のメンバーはいち会社員ですから、立地分析だけをしていればいいわけではありません。
他の業務との兼任は当然あります。
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しかし、「半年後~1年後には立地分析ができる人材に育てたい」のであれば、そのための時間も会社側が確保する必要があります。
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研修時間だけ確保すればいいわけではありません。
研修と研修の間に、実際に分析し、考え、調査する時間が必要になります。
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これは本人の努力だけではどうにもならない、会社側の大きな課題のひとつでもあります。
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立地分析は、ショップビジネス企業の行く末を左右するきわめて重要なプロジェクトです。
それを担当していただくメンバーには、なるべくその責任ある仕事に集中できるよう、環境作りを私からもお願いしています。
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<③「目的」の一貫性>
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そして3つ目が、研修プロジェクトの目的を途中で変えないということです。
これも意外と重要です。
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例えば、研修の最初(契約の締結時)に、
「既存店を分析して、繁盛する立地の法則を見つけ、新規出店に活かそう」
という目的でスタートしたとします。
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ところが数ヶ月後、
「やっぱり既存店の見直しを優先したい」
「不振店のリロケーションを考えたい」
「今の業態ではなく、新業態を分析したい」
「東京都内への出店を考えていたけれど、地方展開を強化したい」
と目的が変わっていく・・・・
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こうなってしまうと、研修の成果は出にくくなってしまいます。
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もちろん、時代が時代ですし、企業の経営方針ですから、途中で状況が変わること自体はあるでしょう。
半年~1年という長い期間、1つのことだけをやっていられるようなことは、あまり無いかもしれません。
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ただし、「精度の高い立地分析ができるようになる人材を育てる」という観点から見ると、これはやや問題になります。
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なぜなら、業種業態や立地タイプが変われば、見るべき立地要因や分析方法も変わるからです。
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駅前の通行人対象立地を分析するために既存店データを集め、分析を進めていたところで、「やっぱりロードサイドへ出店しよう」となれば、それまでやってきたことが無駄とは言わないまでも、かなり大部分をやり直す必要が発生します。
ましてや、業態が変わればなおさらです。
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つまり、目的が変わるたびに「何を正解として分析するのか」が変わってしまうわけです。
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これを繰り返すと、担当者自身も、「結局、自分は何を分析できるようになればいいのか?」が分からなくなってしまいます。
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半年から1年という限られた研修期間で分析力を身につけるのであれば、まず1つの目的に対して分析→調査→検証を繰り返し、一定の型を身につけることが重要です。
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例えば、まず最初の半年間は何が何でも都市部の駅前店舗の出店戦略に注力し、それの目途が立ったら今度は郊外ロードサイドへ・・・・というように、ひとつひとつしっかり完了してから切り替えていくべきなのです。
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<まとめ:立地研修は「人×環境×目的」で決まる>
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こうして考えると、立地研修の成果を左右するものは、大きく3つに整理できます。
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①担当者の素養
②集中して取り組める環境
③目的の一貫性
②集中して取り組める環境
③目的の一貫性
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言い換えれば、「人 × 環境 × 目的」です。
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当然ながら、どれかひとつだけ良ければいいわけではありません。
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優秀でやる気のある担当者でも、他業務で毎日パンパンなら、分析経験を積むことができません。
十分な時間を与えられていても、プロジェクトの目的が数ヶ月ごとに変われば、一つの分析方法を深く身につけるところまで進めません。
逆に会社側が素晴らしい環境を用意しても、本人に学ぶ意欲がなければ、やはり成果には限界があります。
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ですから、立地研修を始める時には、「どんな研修をやるのか」を考えるだけではなく、
「誰にやってもらうのか」
「その人にどれだけ時間を与えるのか」
「何ができるようになることをゴールにするのか」
「その人にどれだけ時間を与えるのか」
「何ができるようになることをゴールにするのか」
までセットで設計する必要があります。
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立地分析は、数回話を聞けば身につくような技術ではありません。
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実際の店舗を分析し、現地を歩き、仮説を立て、間違えて、修正する・・・・そういった積み重ねによって、少しずつ「立地を見る目」が育っていきます。
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だからこそ、担当者本人だけではなく、その人を育てる会社側にも、研修を成功させるための準備が必要なのです。
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