あなたはオーナーのことをどれくらい知っていますか? 連載55

(有)ソルブ 林原安徳

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あなたはオーナーのことをどれくらい知っていますか? 連載55

店長の立地,店舗営業,店舗開発,飲食店経営

2020/12/11 あなたはオーナーのことをどれくらい知っていますか? 連載55

連載55 10月号 [店長が知っていると得する立地の応用] 19回目

 

あなたはオーナーのことをどれくらい知っていますか?

 

ここで言うオーナーとは、「家主」のことです。国内で店を出すというと、商業ビルなどの区画や、広い敷地の一角を借りて、家賃を支払うというのが一般的です。区画・土地を買って商売するというのは稀です。買うより借りて商売した時、もしうまく行かなかったときに撤収しやすいのでリスクが低いからです。

 

 

 

しかし、そうは言っても、店を出すにはそれなりの大きな初期投資を必要とします。とりわけ、飲食業の場合、物販と異なり、厨房と言う少なからずしっかりした機械設備を揃え、お客様が快適に過ごせるような空間演出にも多大なコストがかかります。やはり、出店リスクは生半可ではありません。

もちろん、前回お話ししたように、出店に当たっては、立地をよく見極め、じゅうぶんな調査を行った上で、事業試算をして、儲かることを前提にしているわけです。

そして、これを読んでいる多くの店長、スタッフが日頃から一所懸命働き、お客さま第一に心を配り、清掃・品質・サービスレベル向上に励んでいるのはもちろんのことです。

立地と営業がうまく行けば、それで、お店は“ほぼ”パーフェクトです。“ほぼ”と書いたのは、実は大きな落とし穴があるからです。それが“オーナーとの関係”です。

 

特に、チェーン企業で働いていると、この点が盲点になっていることが多いのです。ですから、今回は、この“オーナーとの関係”について知っておいてください。

 

まず、第一。あなたは、オーナーの名前を知っていますか?どこに住んでいるか知っていますか?会ったことはありますか?この3つの内、一つでもNoがあったら、困りものです。

あなたがこの店を出したならもちろん大丈夫ですね。でも、あなたが、店長やスタッフとして雇用されているなら、Noがあったとしても不思議ではありません。

もちろん、オーナーが「個人」ではなく、「会社」などである場合もあります。そういう場合は、その会社などの長または担当者について当てはめてください。

 

マクドナルド 最盛期

1 あるレストランチェーンの最盛期

 

 

マクドナルド その後

2 現状

新宿で500圏内に14店を展開し、どれも繁盛店を誇っていた。が、家賃上昇に伴い、次々と閉鎖を余儀なくされ、 今や6店になってしまった。

 

ところで、店の区画を借りるということは、オーナーに家賃や共益費などを毎月支払っているということです。そして、最初に多額な保証金や建築協力金などを預けています。時には、商店会費、広告費などいろいろなお金をも収めています。

 

これらの費用、どれくらいあるか知っていますか?

 

一般的に、家賃などは、月間売上の1割、保証金はその10倍とされています。

もし、あなたの店の月間売上が500万円だったとすれば、家賃は50万円、保証金は500万円あるでしょう(「私の店は、家賃がもっと高い。60万円もする」というあなた。あなたは、お店の売上が500万円ではだめです。一刻も早く600万円に持っていかなければ、採算がとれなくなりますよ)。

 

この家賃や保証金などは、店を出すとき、社長や店舗開発担当者が、オーナーまたはその代理人と交渉して、採算がとれるように(利益が出せるように)決めたものです。時には大いに値切ったかもしれません。そのためには、「最初は売れないけれど、どんどん売れるようにしてそのあかつきには家賃をたくさん払います。だから今は負けて下さい」くらいの大芝居を打ったかもしれません。いずれにせよ、この家賃は、お店の損益、しいては会社全体の損益を決める大事な数字です。

 

ですから、あなたは、お店の営業をしっかりやることと同じくらいの努力を“オーナーとの信頼関係”構築にそそぐ必要があるのです(半分でも良いです)。

そして、その信頼構築の成果は、契約更新のときに大いに出るのです。賃貸借契約の期間はたいてい5年であったり、長くても7年、10年くらいです。あっというまにこの期間は過ぎ去ってしまいます。信頼構築がなされていれば、オーナーもあまり強いことは言ってきません。ですから、契約更新もすんなり行くことが多いのです。賃料が上がるとしてもほんの数パーセントで済んだり、むしろ、営業が厳しいことを理解してくれるオーナーなら進んで、家賃の値下げに応じてくれることさえあります。

ところが、信頼構築がなされていないとどうでしょう。

 

家賃の50パーセントアップとか2倍ということさえ言ってくるオーナーも珍しくありません。

 

そりゃあ、店のスタッフと会っても誰も挨拶一つしない。店長に注意しておいたことも平気で無視する。町内会、商店会に顔も出さない。時には、近所から、オーナーのほうに、店が汚い、深夜に煩いと苦情が届く。

 

そんな状況が5年も続けば、オーナーとて、人の子、ついに堪忍袋の緒が切れてもおかしくはありません。

 

「提示した家賃が嫌だったら、出て行っても良いのだよ」と言われます。

 

 

そこで、なくなく、撤退していく。そういった有名チェーンが、実際存在します(図1、2)。

 

 

せっかく、今まで、新宿や渋谷の一等立地に“とても格安で”借りられたのに、櫛の歯を抜いたように、一店、また一店と撤退していく。このチェーン企業は、従業員の効率的教育と生産性では第一級のレベルでしたが、“オーナーとの信頼構築”だけはまったく手つかず状態だったのです。店長にそうした常識を指導できるエリアマネージャーが健在でいるうちはまだ良かったのですが、何もかもアメリカ式にしようと焦ったのかもしれません。

 

結果的に、大繁盛店、ドル箱店舗を大量に失っています(ちなみに、このチェーン企業は本国では賃貸店舗などほとんどなく、土地を買い取って商売しているので「オーナー(家主)」という概念が理解できなかったのかもしれません)。

 

そこで、オーナーとの信頼構築の第二は、オーナーと頻繁に会うことです。

 

近くに住んでいるなら、数か月に1度は、お土産を持って会いに行くことです。

 

そして、忙しくなければオーナーの許す限り大いにいろいろな話しを「聞く」ことです。もちろん、こちらの状況も話しても良いでしょう。遠くに住んでいるのなら、年に1度は会いに行く。そして、手紙を書くのです。そして、オーナーがLINEやFaceBookをやっているようなら積極的に友達になっておきましょう。

難しく構える必要はほとんどありません。

 

 

ちょっとしたきっかけさえ掴めばすぐできるはずです。入り口扉が開きづらくなったので修理の許可を得たい、近所からちょっとした苦情があったので報告しておきたい等々、きっかけはいくらでもあるはずです。

でも、「大きな改修工事」や「家賃を値下げしてほしい」というような課題をいきなり持っていくのは絶対にやめましょう。それこそ、やぶ蛇です。信頼関係がないうちは、こうした課題を持っていくべきではありません。

 

 

あなたの店がこれからも繁盛していくためには、普段から“オーナーへの気配り”が不可欠であることがわかっていただけたでしょうか?

 

店舗オーナーとの信頼構築チェックリストはこちら

 

本文2714字

 

 

はやしはら やすのり

売上予測コンサルタント。有限会社ソルブ代表。東京大学卒。日本マクドナルドで出店調査を担当。退社独立後、独自に深耕させた「立地判定/高精度売上予測」理論をもとに多くのチェーン企業の経営者、個人起業家をコンサルティングしている。著書に『実践 売上予測と立地判定』(商業界)、『最新版 これが「繁盛立地」だ!』(同文館出版)など。

 

以下今回は不要です。

「統計てきめん」の地図使用承認(C)昭文社第55G15号

 

 

 

 


 

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