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競合したから売上下がった?競合を恐れない「競争力」を高める方法 連載42
(第6回)連載42 9月号 [店長が知っていると得する立地の応用]
競合相手は誰だ。(動線評価の話し)
競合したから売上下がった?競合を恐れない「競争力」を高める方法
前回、自社と同じ会社、ブランドの店が一番競合すると話しました。しかし、その場合でも同じ会社同士、ブランド同士で互いの強みを活かしながら共存できるということもお話ししました。
さて、今回は、自社ではなく、他社であり、自店と異なるブランド(屋号)が相手の場合です。
自店の売上が、突然下がってしまった。今までと営業状態(従業員の応対や商品、サービスの質など)が落ちたようには感じない。それなのに、下がってしまった。客数が確実に違う。
こういう場合、まず立地上疑ってかかるべきは、同業店のオープンなどの影響です。
同業店の影響を受けやすいのは次のようなケースの時です。
TGとは、鉄道駅、大型小売店、大型交差点など多くの人の行き交う場所であり、このTGに近いほうが立地上優勢となります。
視界性評価とは、店やその看板がTGやその周辺を行き交う人々から自然と知覚されるかどうかを指します。この評価が満点ということは、①ほとんどの人が自然と知覚できることです。野中の一軒家のような状態です。これに対して、視界性評価に難があるというのは、②店を探そうとしないと見つけられない、あるいは、③その店の存在を既に知っている人でないと見えない状態を言います。
もし、自店舗が②や③の評価で、同業店が①であれば、当然、自店舗は大きな影響を受けます。
ここで言う動線とは、複数のTGを結ぶ道路上で人々が行動する軌跡、行動線を指します。一方が、鉄道駅でもう一方が商業施設、あるいは複数の大型商業施設それらを結ぶ動線が一般的です(図1)。
(ただし、以上のケースは、通行人対象立地ですが、ロードサイド車対象立地ではこれほど単純ではありません)。
ケース1や2は分かりやすいのですが、ケース3は分かりにくいものです。
店同士がけっこう離れていたり、見えないようなことが多いからです。ですから、自店舗の近くにあるTGを見つけ、そこから、動線上を歩いてみるなどのチェックをしてみる必要があります。
では、どんな場合なら、同業店の影響を受けにくいでしょうか?
簡単に言うと、以上の3ケースに当てはまらない場合です。
例えば、ケース1なら、その反対は、互いに異なったTGがあるという場合です。具体的には、自店の最寄駅ではなく、その隣りの駅に同業店が出店している場合です。
また、同様に、互いにTGからの視界性評価が高い。あるいは難がある。
さらに、互いに異なった動線上にあるといった状況の時です。
つまり、同業店から影響を受けているかどうかは、TGとその位置関係で判定しなければいけません。
話しは変わりますが、同業店が自店舗の隣に出店したというような場合はどうでしょう。この場合、疑いなく、同業店の影響を受けます。
しかし、だからといって、売上が必ず下がってしまうと思うのは早計です。
仮に同業店がほぼ同じような料理、サービスを、同じような仕組み(ファストフード式、レストラン式、立ち飲み式など)で提供しているとしても、自店を利用しているお客様の半分が同業店に持って行かれるとは限りません。
むしろ、同じような店が増えることによって、2店の周囲に人々がより多く集まってくれるようになります。あるいは、その周囲に来る頻度が高まることが知られています。これを、「市場拡大」と言います。1店の時より2店のほうが人々をより強く惹きつけるということです。
どのくらいかというと、今のところ「1・4」倍になるとされています。
だからと言って、喜んでばかりはいられません。店の周囲に集まった人は、自店と同業店を見比べて、どちらかを選ぶに違いないからです。
もし、2店の「競争力」は同じならば、すなわち、1:1ならば、お客様は半々になるでしょう。しかし、自店が0・8で、同業店が1・2ということもあり得ます。
この場合、売上はどう変化するでしょう。
次の式で求められます。
競合後の売上=元の売上÷2(店)×1・4(市場拡大)×0・8(競争力)
=元の売上×0.56
つまり、元の売上の56%と、半分近くになってしまうのです。
これでは、採算割れになりかねません。
せっかく、市場拡大しても、台無しです。ですから、店長の皆さんは、仮に隣に同業店がオープンしても、そのような目に遭うことがないよう、日頃から、自店の競争力を高めておかなければなりません。
自社競合、あるいは、同ブランド競合はある程度、本部・本社の方針でコントロールできますが、同業他社はそういうわけにはいきません。いつ何時、同業店が現れるかわからないからです。
それに、競争力は一朝一夕で高まるものではありません。日々の積み重ねが重要です。
毎日定刻ににはオープンする。忙しい時間帯にはいつもじゅうぶんな数の従業員を揃える。QSCの水準を下げないようにする。タイムリーな販促を持続的に行う、などの営業上の努力はもとより、外装・内装・設備のメンテナンスを小まめに行うなどハード面でのフォローは不可欠です。
もちろん、ベストは固定客の心をより多く掴んでおくことです。こうすることで、同業店へのスイッチ(切り換え)を極力減らすことができます。
出店においては、“先行優位の原則”が働くことがよくありますが、これは先行する店ががっちり固定客を掴んで離さないからだと言われています。
また、繰り返しになりますが、自店に影響を与えるとしたら、同業店がどこにオープンしたときか、それを早期に知っておきましょう。 よりTGに近い場所、よりTGからの視界性評価が高い場所、そして自店と同一の動線沿いに手頃な空き物件がないことをチェックしておくのです。これで、万が一、営業力で負けそうな場合でも、同業店の工事期間中にリカバリー(回復)できるものです。
本文2416字
はやしはら やすのり
売上予測コンサルタント。有限会社ソルブ代表。東京大学卒。日本マクドナルドで売上予測調査を担当。退社独立後、独自に深耕させた「立地判定/高精度売上予測」理論をもとに多くのチェーン企業、個人起業家をコンサルティングしている。著書に『実践 売上予測と立地判定』(商業界)、『最新版 これが「繁盛立地」だ!』(同文館出版)など。昭和31年生。http://www.sorb.co.jp
(今回不要です)
「統計てきめん」の地図使用承認(C)昭文社第51G083号
東京都港区南青山2-2-15 ウィン青山942 有限会社ソルブ 電話 03-3538-6603 メール問合せは、こちら ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
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競合相手は誰だ。(動線評価の話し)
競合したから売上下がった?競合を恐れない「競争力」を高める方法
前回、自社と同じ会社、ブランドの店が一番競合すると話しました。しかし、その場合でも同じ会社同士、ブランド同士で互いの強みを活かしながら共存できるということもお話ししました。
さて、今回は、自社ではなく、他社であり、自店と異なるブランド(屋号)が相手の場合です。
自店の売上が、突然下がってしまった。今までと営業状態(従業員の応対や商品、サービスの質など)が落ちたようには感じない。それなのに、下がってしまった。客数が確実に違う。
こういう場合、まず立地上疑ってかかるべきは、同業店のオープンなどの影響です。
同業店の影響を受けやすいのは次のようなケースの時です。
ケース1 同業店の方が、TG(トラフィックジェネレータ:交通発生源)に近いケース。
TGとは、鉄道駅、大型小売店、大型交差点など多くの人の行き交う場所であり、このTGに近いほうが立地上優勢となります。
ケース2 同業店の方が、TGからの視界性評価が高いケース。
視界性評価とは、店やその看板がTGやその周辺を行き交う人々から自然と知覚されるかどうかを指します。この評価が満点ということは、①ほとんどの人が自然と知覚できることです。野中の一軒家のような状態です。これに対して、視界性評価に難があるというのは、②店を探そうとしないと見つけられない、あるいは、③その店の存在を既に知っている人でないと見えない状態を言います。
もし、自店舗が②や③の評価で、同業店が①であれば、当然、自店舗は大きな影響を受けます。
ケース3 同業店が自店舗と同じ動線上にあるケース。
ここで言う動線とは、複数のTGを結ぶ道路上で人々が行動する軌跡、行動線を指します。一方が、鉄道駅でもう一方が商業施設、あるいは複数の大型商業施設それらを結ぶ動線が一般的です(図1)。
(ただし、以上のケースは、通行人対象立地ですが、ロードサイド車対象立地ではこれほど単純ではありません)。
ケース1や2は分かりやすいのですが、ケース3は分かりにくいものです。
店同士がけっこう離れていたり、見えないようなことが多いからです。ですから、自店舗の近くにあるTGを見つけ、そこから、動線上を歩いてみるなどのチェックをしてみる必要があります。
では、どんな場合なら、同業店の影響を受けにくいでしょうか?
簡単に言うと、以上の3ケースに当てはまらない場合です。
例えば、ケース1なら、その反対は、互いに異なったTGがあるという場合です。具体的には、自店の最寄駅ではなく、その隣りの駅に同業店が出店している場合です。
また、同様に、互いにTGからの視界性評価が高い。あるいは難がある。
さらに、互いに異なった動線上にあるといった状況の時です。
つまり、同業店から影響を受けているかどうかは、TGとその位置関係で判定しなければいけません。
市場拡大と競争力
話しは変わりますが、同業店が自店舗の隣に出店したというような場合はどうでしょう。この場合、疑いなく、同業店の影響を受けます。
しかし、だからといって、売上が必ず下がってしまうと思うのは早計です。
仮に同業店がほぼ同じような料理、サービスを、同じような仕組み(ファストフード式、レストラン式、立ち飲み式など)で提供しているとしても、自店を利用しているお客様の半分が同業店に持って行かれるとは限りません。
むしろ、同じような店が増えることによって、2店の周囲に人々がより多く集まってくれるようになります。あるいは、その周囲に来る頻度が高まることが知られています。これを、「市場拡大」と言います。1店の時より2店のほうが人々をより強く惹きつけるということです。
どのくらいかというと、今のところ「1・4」倍になるとされています。
だからと言って、喜んでばかりはいられません。店の周囲に集まった人は、自店と同業店を見比べて、どちらかを選ぶに違いないからです。
もし、2店の「競争力」は同じならば、すなわち、1:1ならば、お客様は半々になるでしょう。しかし、自店が0・8で、同業店が1・2ということもあり得ます。
この場合、売上はどう変化するでしょう。
次の式で求められます。
競合後の売上=元の売上÷2(店)×1・4(市場拡大)×0・8(競争力)
=元の売上×0.56
つまり、元の売上の56%と、半分近くになってしまうのです。
これでは、採算割れになりかねません。
せっかく、市場拡大しても、台無しです。ですから、店長の皆さんは、仮に隣に同業店がオープンしても、そのような目に遭うことがないよう、日頃から、自店の競争力を高めておかなければなりません。
自社競合、あるいは、同ブランド競合はある程度、本部・本社の方針でコントロールできますが、同業他社はそういうわけにはいきません。いつ何時、同業店が現れるかわからないからです。
それに、競争力は一朝一夕で高まるものではありません。日々の積み重ねが重要です。
毎日定刻ににはオープンする。忙しい時間帯にはいつもじゅうぶんな数の従業員を揃える。QSCの水準を下げないようにする。タイムリーな販促を持続的に行う、などの営業上の努力はもとより、外装・内装・設備のメンテナンスを小まめに行うなどハード面でのフォローは不可欠です。
もちろん、ベストは固定客の心をより多く掴んでおくことです。こうすることで、同業店へのスイッチ(切り換え)を極力減らすことができます。
出店においては、“先行優位の原則”が働くことがよくありますが、これは先行する店ががっちり固定客を掴んで離さないからだと言われています。
また、繰り返しになりますが、自店に影響を与えるとしたら、同業店がどこにオープンしたときか、それを早期に知っておきましょう。 よりTGに近い場所、よりTGからの視界性評価が高い場所、そして自店と同一の動線沿いに手頃な空き物件がないことをチェックしておくのです。これで、万が一、営業力で負けそうな場合でも、同業店の工事期間中にリカバリー(回復)できるものです。
本文2416字
はやしはら やすのり
売上予測コンサルタント。有限会社ソルブ代表。東京大学卒。日本マクドナルドで売上予測調査を担当。退社独立後、独自に深耕させた「立地判定/高精度売上予測」理論をもとに多くのチェーン企業、個人起業家をコンサルティングしている。著書に『実践 売上予測と立地判定』(商業界)、『最新版 これが「繁盛立地」だ!』(同文館出版)など。昭和31年生。http://www.sorb.co.jp
(今回不要です)
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