もっと確かな売上予測の方法(その4)範囲限定法 連載30

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もっと確かな売上予測の方法(その4)範囲限定法 連載30

店長の立地,売上予測,飲食店経営

2020/11/16 もっと確かな売上予測の方法(その4)範囲限定法 連載30

 

これまで、平均予測法、回転率法、キャッチ率法、そして市場シェア率法を話してきました。

それもそれぞれ一長一短がありますが、ひと通り身に着けておくといろいろな機会で役に立ちます。

 

データ

 

さて、今回は、「範囲限定法」という方法についてお話ししましょう。

 

この方法は、どちらかというと経験鍛錬法と呼んだ方が良いかもしれません。というのは、この方法が身につくまでには、売上予測をたくさん経験する必要があるからです。

だからといって、決して、非科学的でもなければ、非論理的で低精度ということはありません。むしろ、実践的で精度も高く、世の中には少ないながらこの方法に長けた人を私はたくさん挙げることができます。弊社の調査スタッフはもとより、弊社がお手伝いしてきた企業や個人の多くはこのやり方ができます。

 

範囲限定法の概略

 

この方法は、名前のごとく、次々に売上予測の範囲を限定していくというものです。

つまり、これ以下の売上はあり得ないだろうという最小の値と、反対にこれ以上の売上はあり得ないだろうという最大の値の二つを設定するところから始めます。そして、立地上、あるいは商圏の規模や質についての良好な点があるたびに、最小の値より少し上げて行きます。同様に、問題となる点があるたびに最大の値から少し下げて行くのです。そして、最終的に、これ以上、上げることはできないという低い方の値と、これ以上、下げることはできないという高い方の値が求まります。この二つが一致すると良いのですが、なかなか一致するものではありません。したがって、売上予測値は、○○~○○円というような範囲形式で算出されます。

 

範囲限定法

 

 

範囲限定法のステップ

 

ステップ1 最小の値と最大の値を決める

このためには、まず、業種業態に応じた標準的な売上を知らなければなりません。例えば、一般の飲食店は、坪(33平方メートル)単位面積当たり5万円~30万円/月の売上があるとされています。ですから、20坪の飲食店ならば、最小の値は月商で100万円、最大の値は600万円ということになります。

これが、チェーン店になるとその値は2~3倍高くなるのがふつうです。また、時流に乗った商売、例えば一時期のつけ麺店や立ち呑み屋などは同様に売上げを高く見込むことができました(全盛期のマクドナルドでは坪当たり50万円/月が珍しくありませんでした)。

この業種業態ですが、なるべくその違いがないように絞ります(すでに自身で複数出店しているならば既存店を用います)。例えば、ラーメン店なのか、うどん店なのか、そば店なのか。同じ、そばでも、立ち食いそばなのか、客席があるのか。また、郊外か、街中か、SC内かという分類も必要です。

できれば、内装や外装の違い、あるいは、麺の種類の違い、鍋料理の有無、アルコール提供の有無なども分類していくと良いでしょう。

そうしてから、特定した一つの業種業態についての最小から最大に至る売上データを揃えます。最低限、10店舗以上の実在の店であることが望ましいのです。

ところで、売上はどのように知ることができるでしょうか。少なくともどこにでもあるような情報ではありません。最も信頼がおける方法はオーナーまたは店長と親しくなって教えてもらうことです。

それができなければ、店舗観察を昼または夜のピーク時間帯に行うことです。そうして、客数や客単価をチェックすることです。

 

ステップ2 最小より良い点を見つける。

ここからは、売上予測の作業に入ります。すでに最小の売上の店(最小店)が分かっています。この店に対して予測すべき物件(予測物件)が、立地上どういう点で優っているかを良く観察します。

例えば、最小店より、駅などのTG(交通発生源)に近いところに立地しているならば、売上を少し上げます。ではこの時、どのくらいの範囲で上げたら良いでしょうか。

もちろん、立地の重要性にも関わって来ますが、一つの目安として、最小の売上と最大の売上との差異(レンジ)の10分の1を使うことをお勧めします。例えば、両社が100万円と600万円である場合、そのレンジは500万円ですから、50万円ずつ変化させてみます。

 

ステップ3 最大より問題となる点を見つける。

これは、ステップ2と反対のことを行うステップです。できれば、この二つのステップは、交互に行うことが望ましく、一方を増やしたら、次はもう一方を減らすという具合に進めて行きます。

一番良くないのは、片方だけどんどん上げて行ってしまってから、もう一方をまた次々に下げて行くというようなことです。

 

さて、この二つのステップで、どうして、売上予測ができるのでしょうか?

そのメカニズムはこのようになります。最小の売上より、予測を上げるためには必ず立地上の理由が必要です。当然、この同じ理由は、最大の売上の店にも適用する必要があります。そして、適用した時に矛盾が起きてはいけないのです。

先ほどの例で言えば、最小店は駅(TG)から300メートル離れているが、予測店では150メートルだから、売上は最小店より高いと考えたとします。ところが、もし、最大店は駅(TG)から500メートル離れていたとします。これは、明らかに矛盾です。つまり、この考えは、この業種業態には適用できないと言えるのです。

 

ステップ4 他の店との比較も試みる

もちろん、集めてきたすべての店の立地について考えを深めていくことができれば良いのですが、なかなかできないというのが実情です。そこで、1店でも2店でも良いので、売上予測の範囲が狭まってきた時に、これらの店と比較してみます。もちろん、多少矛盾点が生じるかもしれませんが、それにあまり考えを左右され過ぎないことです。

ポイントは、最小店よりどれだけ高くなりえるか、最大店よりどれだけ低くなる可能性があるかに傾注することが大事です。

 

ステップ5 自分の出した結論に間違いがないかチェックする。

ステップ2~4を繰り返しているうちに、これ以上は無理だと思える範囲まで、売上予測値を縮めてくることができます。これが、結論です。しかし、もう一度、この結論に至った考えの過程をチェックしてみましょう。さきほどのように矛盾が生じていないか?誤った立地の概念を使っていないか?通行量や商圏人口などに過度に期待していないか、などのチェックです。

できれば、自分が考えた過程を、親しい友人や同僚に話してみて、その人達に客観的に聞いてもらうようにします。他の人を説得できるほどじゅうぶんな根拠と考え方が出来ているなら合格です。

 

ところで、こうして予測した売上は、「経験と勘」とどう違うのか。それは、冒頭で書いたように、高い精度で予測できるようになることです。それは、立地上のきちんとした説明の筋道を立てながら行う予測だからです。これは、単に担当者が根拠もなく頭に浮かんだイメージだけで行う「経験と勘」とは全く異なることを意味しています。また、今まで紹介した3つの方法のような、一見合理的・客観的に見えてその内実は「経験と勘」に限りなく近いやり方とも、もちろん違います。

範囲限定法は、もっとも簡単なようでいて、一番苦しみながら予測する精度の高い手法なのです。

この手法ができるようになれば、あなたの立地選別眼はプロ並みになります。

 

 

 

 

(プロフィール)

林原安徳はやしはら やすのり
売上予測のプロ。経営コンサルタント。1956年さいたま市生55才。 東大(農)卒後、日本マクドナルド(株)出店調査部にて、「立地と売上予測」を基礎研究。退社独立後、理論を独自に深耕させSORBICS(ソルビクス)と命名。これに基づき、チェーン展開する多くの企業や個人を指導。主な著作「実践・売上予測と立地判定」(商業界)「最新版 これが繁盛立地だ!」(同文舘出版)。無料メルマガを配信中。http://www.sorb.co.jp

 

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