もっと確かな売上予測の方法(その1)回転率法 連載27

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もっと確かな売上予測の方法(その1)回転率法 連載27

店長の立地,売上予測,飲食店経営

2020/11/13 もっと確かな売上予測の方法(その1)回転率法 連載27

 

前回は、売上予測の一番簡単な方法は「平均予測法」だという話しをしました。過去に出店したことのある店、あるいは同業店の売上を平均して予測しようというものでした。
しかし、このやり方は客観的で誰もができる方法ですが、決して高い精度の予測ができるわけではありません。ただ、他の予測法の精度についてその高さを比較する基準にはなります。

 
では、もっと「正確に」売上予測を行うにはどうしたら良いでしょう。
古くから飲食業で用いられている方法に、「回転率法」があります。今回はこの方法について話してまいります。
この方法は、「客席数」を元に売上を予測するものです。1日に客席がお客様で何回使われるかを求めます。これを、回転率と言います。例えば、客席が25席あって、来客数が50人であれば、回転率は50÷25=2回転となります。予測に際してはこの回転率をいくつにするかがポイントです。

本当にあった回転率法を使った売上予測
これは、20年ほど前に新しい天丼チェーン店を立ち上げるべく作った企画書の中で、実際に用いられた売上予測です(話は企画レベルで消えたので、現在実在する天丼チェーン店とも無関係です)。やや古いですが今でも十分参考になるので取り上げます。
まず、平日1日を昼食時間帯(11:00~17:00)と夕食時間帯(17:00~22:00)に分けます。これは、客層や来店動機が異なるからです。
この店の客席数は40席です。
昼食時間帯は、回転率は「5」で、平均客単価が600円。夕食時では回転率「3」で、客単価はやや上がって650円としています。
すると、昼食時間帯の売上は、40×5×600で=12万円(①)。夕食時は、同様に40×3×650で7万8千円(②)。
また、客席を使わない売上、つまりテイクアウトも予測します。昼食時は100個、客単価が500円で5万円(③)。夕食時は50個、客単価が550円で27,500円(④)になります。
①から④までを合計すると、1日で27万5500円となります。これが、平日の売上です。

次に、曜日別の繁閑比を出します。
ここでは、平日が「1」、土曜日が「0.8」、日・祝日が「0.6」という値になっています。普通ならば、平日より休日の方がどんなお店も売れるものですが、ここの場合、住民が少なく、就業者が多く、いわゆるオフィス性向の強い街でしたので、こうした逆転した繁閑比にしました。
(人口33百人、昼間人口12万人 地図と統計参照)

 

オフィス性向 グラフ 統計てきめん2プレミア
この繁閑比の値を日数分合計します。平日は22日、土曜と日祝日はいずれも4日で、合計30日で計算しています。すなわち、1×22+0.8×4+0.6×4で、=28となります。
これに、先ほどの平日売上を掛け合わせますと、27.55(万円)×28で、771(万円)となります。
つまり、売上予測は、月商770万円です。

さて、この回転率法による売上予測について、次のような疑問が出て来ませんでしたか?
1)回転率はどうやって決めたのか。
2)客単価はどうやったって決めたのか。
3)テイクアウトの数(天丼の個数)はなぜ100と50なのか。
4)繁閑比はどうか。・・・

 
この売上予測の中で、確かな数字は、客席数だけです。大負けに負けて、2)の客単価なら既存店の平均値を計算すれば求められます。また、3)のテイクアウト数も、“努力目標”で、店頭に並べて売ったりすれば呼び込みするだけで達成可能かもしれません。

 

問題は、回転率と繁閑比です。
これらも、既存店のデータを調べて、平均して求めれば良い。そう思っている人はいませんか?
確かにそれでも良いかもしれません。とりわけ、予測物件とよく似たオフィス性向の高い既存店があれば、回転率や繁閑比も類似してくると思えるからです。
では、そうしたやり方をしてしまったら、前回で行った平均予測法と本質的には何も変わらなくなる、そう思いませんか?
大事なのは、この回転率や繁閑比を、立地や商圏に符合するように推定できることです。
なぜ昼食時間帯が5回転で、夕食時が3回転なのか。その根拠を明確にすることです。もし、これができなければ、予測したことにはならず、単なる当てずっぽうです。

 

回転率法

 

しかし、この回転率法を使う人は、今でも多いのは事実です。けっこう大手の居酒屋チェーンさんでも使っています。しかも、よく当たる。
「ここなら、最低3回転はいくよ。うまくすると4回転くらいかな」というような発言を聞くことがあります。
100席あれば、3回転で300人。客単価が2000円で、1日60万円。1ヶ月で1800万円。
計算はきわめて簡単です。

 

この回転率法とよく似た予測法に「面積法」があります。これはもっと簡単です。1坪当たりの売上げ(月商)を決めておき、店の面積(坪数)を掛けるだけです。たいてい20万円あたりを1坪当たりの売上げにします。これで50坪の店を出すなら、20×50で1000万円(月商)ということになります。

 

回転率法は、初心者にとっては、ちょっと難しく、精度を上げるには熟練を要します。
さらに、客席のない商売(たとえば物販)では、予測できません。

予測には無理でも、実際に営業している店の売上を知るには有効です。
たとえば、候補物件の近くで営業している店があればその繁盛度合いを測定することができます。
「客席数が30あって、その8割が埋まっている。20分で入れ替わっているから昼食時間の人数は30×0.8×3=72人。回転率は2.4。1日ではこの2倍の5回転はいくだろう。客単価は千円と見て1日15万円。1か月で450万円。」
というような出し方ができるからです。

 

すぐ近くに立地する類似店や同業店などの売上が高ければ、自店舗の売上も高いことが予測できます。賑わいは賑わいを呼ぶものです。

ちなみに、繁盛度合いがわかる指標はほかにもあります。

たとえば、一時期、ハンバーガー店やコンビニ店の外に積んである運搬用ケースなら、1ケースに付き●万円、ピザデリバリー店なら、専用バイク1台当り●●万円とすることで月商に換算できると言われたものです。

 

こういう指標を見つけておくのも売上予測をする上でたいへん役立ちます。

 

回転率法による売上予測は、簡単で便利ですのでぜひ身に着けてください。
(プロフィール)
林原安徳はやしはら やすのり
売上予測コンサルタント。昭和31年さいたま市生まれ。 東京大学卒業後、日本マクドナルド(株)に入社。出店調査部にて、1,000店舗単位の成功を決める「立地と売上予測」を基礎研究し実践応用する。
独立後、理論を独自に深耕させSORBICS(ソルビクス)と命名。これに基づき、チェーン展開する多くの企業や個人をコンサルティングしている。主な著作に「実践・売上予測と立地判定」(商業界)「最新版 これが繁盛立地だ!」(同文舘出版)。無料メルマガを配信中。立地道場を東京、大阪、福岡で開催している。

 


 

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林原安徳:有)ソルブは、立地と高精度/売上予測で「不振店」を根絶します。

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