“ジャージ”で出歩く主婦がいたら、商圏の質はこうして見抜く 連載22

(有)ソルブ 林原安徳

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“ジャージ”で出歩く主婦がいたら、商圏の質はこうして見抜く 連載22

店長の立地,商圏,飲食店経営

2020/11/08 “ジャージ”で出歩く主婦がいたら、商圏の質はこうして見抜く 連載22

 

 

年末は商売多忙をきわめるシーズンです。ここで、店舗の昨対比を取り戻せるか、予定の出店が果たせるか、大きく業績に影響します。防犯・防災対策や従業員の体調管理も忘れずしっかり行いながら一所懸命稼ぎましょう。

 

さて、今回は「商圏の質」についてのお話しです。難しそうな感じがしますか?でも、とても大切な立地の概念ですからしっかり身に着けてください。

 

まず、「商圏の質」は、二つあります。一つは「住民の質」で、もう一つは「流入の質」です。

 

「住民の質」とは、文字通り、その地域に住んでいる人々の「質」、「特性」を指しているものです。

例えば、年齢別の人口比や男女比、1世帯人員数とかいったものです。

これらは、各市区町村の統計課に行けば教えてもらえますし、今では、国の総務省が運営しているe-Stat(イースタット)というWEB上のサイトでも公開していますので簡単に手に入るようになりました。

 

 

仮に、年齢別の人口で、商圏内における若年層の20-24才の比率が全国や都道府県の平均と比べて突出的に多ければ、その年代の人が住んでいるのですから、購買力は高いとは言えないが、若者向けの商品がよく売れるというようなことが予測できます。

 

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イメージ1 20歳代単身者世帯の分布

吉祥寺の周辺、東は西荻窪駅、西は三鷹駅周辺に若い単身者が多く住んでいることが分かります。

 

 

学生が多い商圏はコンビニの売上げが高いということは以前からよく言われています(実際その通りですが)。

こうしたこと以外に、もっと詳しく「住民の質」を知ることができます。それは、5年に1度実施、公表される「国勢調査」を用いることです。

 

国勢調査でわかる項目の一覧を表1にあげました。

 

一目でたくさんの項目があることがおわかりでしょう。これらをしっかり分析しうまく利用すると既存店の売上げアップを容易にすることさえあります。

例えば、一戸建て住宅よりも集合住宅が多いと、ポスティングの効率が高い地域であることがわかります。また、通勤・通学に、“自動車”や“自転車”などよりも“電車”で利用する住民が多い地域は、駅構内や電車内に広告を出した方が、効果が望まれます。さらに、住民の教育学歴もわかりますので、その学歴に応じた収入やライフスタイルを推定、想定できますから、ニュービジネスが良いのか、伝統的な商売が向いているのかの判断材料にもなります。

 

 

年齢別人口 高円寺

イメージ2 高円寺駅を中心とした2km圏の年齢別人口グラフ

こうしたグラフは、総務省がWEBで公表しているデータを使って容易に作成できます。

 

 

高円寺年収階級別世帯数

イメージ3 同じく高円寺駅2km圏の年収別世帯数グラフ

年収別世帯数の推計は、特別なソフトウェアを用いないとできませんが、高円寺周辺は、高所得層の比率も低所得層の比率も、東京の平均をはるかに上回っており、大きな格差社会であることが見てとれます。

 

 

ところで、国勢調査は、調査から公表まで約3年というタイムラグが必ず生じます。このため公表された時点で、「古い」という感覚を持つ人が多いのですが、「地域の特性」を見るという観点から、よほどの新興住宅地、新興高層マンションでもできない限り、あまり神経質にならないほうが良いと筆者は思っています。

「流入の質」は、「住民の質」以上に、立地上重要なことです。

一般的には、この「流入」は、通勤・通学によってその地域に「昼間」入ってくる人々を指します。これに、その昼間に地域に残っている人々と合計して、「昼間人口」という概念があります。

ですから、「人口はそこで寝に帰ってくる人を数えているに過ぎないから、商圏を見るには、昼間の実質的な人口=昼間人口を用いて考えたほうが良い」と言っている人が多くいます。

しかし、この考え方は、間違っていると筆者は思っています。

なぜなら、通勤は、「働きに来る」のであって、「お金を使いに来る」のではありません。また、通学も同様です。

ですから、昼間人口を、商売が繁盛するかどうかの指標として過度に頼り過ぎてはいけないのです。

 

店舗立地論では、「お金を使うことに寄与する」流入がどれであるかを問題にすべきです。

例えば、若い女性向けファッション衣料品を扱う商売なら、そうした女性が多数流入している街かどうかを調べるべきです。もちろん、統計調査でなくても、これらは、現地を実査すれば容易に把握できるようなことです。

あえて、統計を挙げるなら、商業統計です。これは2、3年に1度、卸業や小売業を営む店を対象に、売り場面積や従業者数、年間販売額などを調査しているものです。

この統計は、その地域で「いくらお金が使われているか」を直接教えてくれるものです。もし、人口が増加しているにもかかわらず、小売業の販売額が伸びていないようなら、じゅうぶんビジネスチャンスがあると考えて良いでしょう。

ところで、既存店調査や新店候補地の調査のために、現場へいくと女性が“ジャージ”のままで歩いていたりや車から降りてくる光景を見かけることがたびたびあります。

こうした地域、商圏は、高級品やセンスの高い売り方を求めていないことがわかります。“ジャージ”は、家の中も家の外も“同じ”で区別がつかない証です。

これ以外にも、他人の視線を気にしない行動をとっている。勝手気ままで高笑いしているなど、周辺のお店の中を覗いてこうした客層が多いことに気づいたら、その商圏は“特別な”庶民性があると見て良いでしょう。ですから、特別、住民の質や流入の質をチェックすることをお勧めします。

 

国勢調査

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(プロフィール)

林原安徳はやしはら やすのり
売上予測コンサルタント。昭和31年さいたま市生まれ。 東京大学卒業後、日本マクドナルド(株)に入社。出店調査部にて、1,000店舗単位の成功を決める「立地と売上予測」を基礎研究し実践応用する。
独立後、理論を独自に深耕させSORBICS(ソルビクス)と命名。これに基づき、チェーン展開する多くの企業や個人をコンサルティングしている。主な著作に「実践・売上予測と立地判定」(商業界)「最新版 これが繁盛立地だ!」(同文舘出版)。無料メルマガを配信中。立地道場を東京、大阪、福岡で開催している。

http://www.sorb.co.jp

 

 

 

「統計てきめん」の地図使用承認(C)昭文社第51G083号)

 

 

 

 


 

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