「ここは立地が抜群」と乗せられたあなたが悪い。連載7

(有)ソルブ 林原安徳

03-3538-6603

lv_r

「ここは立地が抜群」と乗せられたあなたが悪い。連載7

店長の立地,店舗開発,飲食店経営

2020/10/24 「ここは立地が抜群」と乗せられたあなたが悪い。連載7

今月の末には、“エコポイント”が終了し、円高の為替状況とともに、

日本経済はまたもや失速するのではないかという話しがしきりです。

 

 

しかし、店舗商売にとって、これからが勝負の季節です。

運動会、文化祭と学生は走り回り、多くの人にとって次々と行事が目白押しになります。

 

こうやって、人々が動き回る時期には、立地の良い店舗ほどその恩恵を受けることでしょう。

衝動来店のお客が増えるからです。

 

頑張って、

「ピークカット(店の販売体制が悪くて来店したお客を帰してしまうこと:立地用語の一つ)」

がないようにしましょう。

 

不動産業者は「立地のプロ」か?

ところで、新規開店するための物件は、どうやって探していますか?
たいていの場合、

いわゆる「不動産業者」(正確には「宅地建物取扱業者」)に頼んでいるのではないでしょうか。

 

 

もちろん、

「店舗開発」あるいは「立地探し」をあなたに代わって、

 

やってくれる人もいるにはいるのですが、まだまだそういった人は少数です。

 
それよりも、

広く物件の情報を持っていて、

頻繁にFAXや電話で不動産情報を知らせてくれる「業者さん」は心強い存在です。

 
しかし、

問題は、その方々の立地眼です。

 

 

ほんとうに、立地の良否を見分ける能力を持っていて適切な物件を紹介してくれているのか、

 

そこです。

 

 

もちろん、

その道のプロですから、

いろいろなことをよく知っています。

 

 

ですから、

こちらから聞かなくても「物件の良い点」を次々と説明してくれるでしょう。

 

 

例えば、

「ここは駅から少し離れてはいますが、人通りも多いですし、スーパーにも近い。

それに間口が広いですから、貴社の出店には打ってつけでしょう。

 

小学校や中学校もあって、けっこうここは通学路にもなっています。

それに何と言っても、これだけ好条件ながら、坪当たり単価が安い。

ここを逃したらもったいないですよ。いかがですか?・・・」

 

などのように。

 

 

 

物件を褒めることにおいては、本当にプロです。

 

 
ほとんど「ネガティブ(否定的)」なことは言いません。

 

よほど、大きなマイナス面があるときでも、

「確かにお店の前にはほとんど人が歩いていませんが、

でも

周辺は住宅が多く、駅にも行けますから駅利用者も狙えます。

あとはあなたの(経営の)腕次第です」

 

のように、

 

とにかく良いほうへ良いほうへ

話しを持って行きながら、あなたの挑戦心もくすぐる。

 
ですから、

初めのうちは、

たいがい敵わないものです。

 

 

どんなに否定したくても、なかなかそう言えない。

 

そのうち、

「今日中に、手付金入れていただければ、明日までは待ちます。

早くなくなってしまいます」

 

と決断を急がせるようになる場合も出てきます。

 

 
業者は、

「不動産業のプロ」=「物件取り引きのプロ」であっても、

 

ほとんどの場合、

 

「立地選びのプロ」ではない。

 

 

ですから、

 

こうした方々の言われるままに、

うっかり物件の契約をしてしまい、

開店させてしまえば、その行き着く先はたいへんです。

 
しかし、

 

こうした方々を責めることはできません。

 

悪いのは、言葉に乗せられた貴方のほうなのです。

 

 
あなたが、

冷静に立地の良否を判断しなかったことが

いけないのです。

 

 

「だって、私も立地については素人だったからしかたがない」

 

 
こんな言い訳はしても意味がありません。

 

素人はお店を出してはいけないのです。
立地の勉強をして、

しっかり、立地を見る眼を養ってから、お店を出す。

 

これが正攻法の一です。

 

 

でも、

どうしても、立地に自信が持てない、

勉強する暇もない、

 

そういうのでしたら、

立地の専門家に代行して調査してもらうことです。

 

これが正攻法の二です。

 

 
ただし、

最近は、いろいろな「立地セミナー」に向学心旺盛な

「不動産業者さん」が頻繁に参加するようになりました。

 

 

そして、

けっこう専門的な立地用語を理解し、

使っているようです。

 

 
すでにこの連載でお馴染みのTG(ティージー:交通発生源)や

PC(ピーシー:需要集合体)についても、

さらに、「動線」や「視界性」という言葉さえも理解しています。

 

 

きちんとこうした立地概念を理解して、

物件紹介をしてくれる業者さんが増えてくれると良いのですが、

なかなかまだこうした人は少数派です。

 

 

 

しかし、

この連載を読んでいるあなたなら、

必ず口に出して言えるはずです。

 

 

たとえば、

「店前通行量は多いですよ」と言われたら、

「多いからといって、必ずしも立地が良いとは限らないようですね。

むしろ、通行人からの視界性があまりよくないですから、難しいですよね」

と切り返します。

 

 

(写真1

image1

 

写真2)

image2

写真1は、新宿御苑近くの通行人の多い交差点ですが、この直前の道路を歩いていて、白矢印のところに、写真2の「金物店がある」ことに気づく人は、まずいないはずです。ビルの内側に3m以上セットバックしている上に、柱の影にもなっているからです。こういう物件は、家賃の値下げ交渉を必ずすべきです。

 

 

また、

「間口が広いですから、いい物件ですよ」には、

「いくら間口が広くても、出入口が、道路から大きくセットバック

しているのはちょっと問題ですねえ。

 

これでは道往く通行人をお客さんにできませんよ」

のように、真の問題点を指摘することが大事です

 

写真3)

image3

 

新宿の靖国通りに面した物件ですが、ここの1Fテナントはこのビル建設当初からたいへん多くの店が入れ替わっています。ファストフードもだめであったし、コンビニエンスストアもだめだった。そして、全国的に有名なタコ焼きチェーンも撤退しました。
そのいずれにも共通して、ネックとなったのは、道路から物件出入口まで5m以上ある「セットバック(矢印)」でした。これが、店内(四角い枠)へ向かおうとする人へ大きな心理的制約を与えたからです。現在は、ダイコクドラッグが入っていますが、ここは今までと異なり、ビル自体のすぐ軒下に「大きな看板」を出しているばかりか、セットバックした空間を逆手にとって多くの「目玉商品を陳列」することで、客を中に効率的に誘導しています。
このチェーン企業の店舗開発マンあるいは「不動産業者さん」が、オーナーに一所懸命かけあって成し遂げた優れた成果ですね。

 

 

通行量が多いと言えば、

オフィス街の平日はひじょうに多い。

 

 

そういう場合のチェック項目は、

 

統計

 

です。

 

 

統計 昼間人口

地図の右欄は、新橋駅から500m圏(赤い円)内の商圏情報を調べた結果です。注目すべきは、昼間人口が男女合わせて94000人以上いるのに対して、人口は1900人ときわめて少ない。これは、平日の夜・深夜と土日祭日での商売が想定以上に奮わなくなることを意味します。月の3割以上に相当しますから、賃料交渉でも3割以上の値下げを求めてもおかしくありません。

 

 

 

仮に(図)のように、

 

人口が「昼間人口」より少なかったら、

「平日の昼間はなんとかなるでしょうけれど、夜間や休日はどうでしょう。

難しそうですね」

と交渉します。

 

具体的な数字を挙げることができればなお良しです。

 

ですから、

商圏集計ソフトなどで武装することも大事になってきます

(ネットで探せばいろいろな低価格ソフトが見つかります)。

 

 

ただし、間違ってはいけないことがあります。

 

それは、「不動産業者さん」は、あなたの「敵」ではないということです。

 

むしろ、

あなたにとっては多くの物件を親身になって紹介してくれる心強い味方

になるパートナーです。

 

 

ですから、

そういう方々の意見を頭から否定してはいけません。

 

「確かに○○○なのですが、こうした▲▲も起きていますね」

のように、意見を一度は受け入れた後、

 

自分の危惧している点について、

しっかりと述べ、日頃から立地についてトレーニングすること

が大事です。

 

中には、

「そんなにあれもこれも条件が整っている物件はありませんよ」

と明らかに嫌な表情になる人もいるかもしれません

が、そういう人は少数派です。

 

 

あなた真摯な熱意が伝われば

ほとんどの方は、

あなたの意に沿った良い立地の物件をもっともっと見つけてくれます。

 
立地を多角的にみることができれば、交渉次第で、多くの物件を繁盛物件にすることができるでしょう。

 

2020.10月号 飲食店経営
(プロフィール)
林原安徳はやしはら やすのり
売上予測コンサルタント。昭和31年さいたま市生まれ。 東京大学卒業後、日本マクドナルド(株)に入社。出店調査部にて、1,000店舗単位の成功を決める「立地と売上予測」を基礎研究し実践応用する。
独立後、理論を独自に深耕させSORBICS(ソルビクス)と命名。これに基づき、チェーン展開する多くの企業をコンサルティングしている。主な著作に「実践・売上予測と立地判定」(商業界)「最新版 これが繁盛立地だ!」(同文舘出版)。無料メールマガジン「ソルブ通信」で最新の立地情報を配信中。http://www.store-open.jp

「統計てきめん」の地図使用承認c昭文社第51G083号

 


 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
林原安徳:有)ソルブは、立地と高精度/売上予測で「不振店」を根絶します。

東京都港区南青山2-2-15 ウィン青山942 有限会社ソルブ
電話 03-3538-6603 メール問合せは、こちら
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

TOP