行動ベクトルを理解しないと商圏は描けない。連載4

(有)ソルブ 林原安徳

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行動ベクトルを理解しないと商圏は描けない。連載4

店長の立地,商圏,飲食店経営

2020/10/21 行動ベクトルを理解しないと商圏は描けない。連載4

連載4(7月号)行動ベクトルを理解しないと商圏は描けない。

 

自然の脅威は、突然襲ってきます。

4月のアイスランドの火山爆発、5月には宮崎で口蹄疫の大発生。

こうした予測不能な事態に人々はおろおろするばかりです。

 

 

しかし、出店立地を決めるのに、おろおろしてばかりいてはいけません。

 

今回お話しする「行動ベクトル」は、とりわけ郊外ロードサイドに店を出すときに注意する必要のある立地用語です。

 

 

ただ、聞きなれない人が多いと思いますから、まず簡単に説明しましょう。

 

まず、たいていの人は、毎日似たような行動を取っています。

朝は何時に起きて、何時に出かけるか。どこに向かうか、どうやって向かうか。

そして何時にどうやって帰ってくるか等々・・・。

 

しかも、面白いことに、近くに住んでいる人同士でも、みなが全然別の行動をとるというようなことはありません。

 

何かしらの行動が似てくるものです。例えば、同じような時間に駅に向かう。土日は向かわない。

 

向かうときはある特定の道路なり、交差点を通る、というような事柄です。

 

 

 

こうやって、地域の人達は、似たような「方向」に向かって行動している。

この「方向」のことを「行動ベクトル」と呼ぶのです。

 

行動ベクトルが、なぜ立地にとって大事なことかというと、この方向にないものについては、人々は認知しない、行動しない傾向があるからです。

 

 

例えば、図1のように、地域Aに住んでいる人の多くが、日常的に、左から右へ向かって行動しているとしましょう。

 

 

行動ベクトル図1

 

つまり、行動ベクトルは右向きの「矢」になります。

 

すると、その同じ方向にある店(S店)は認知しやすいですが、その行動ベクトルとは、「直角」の方向にあったり(T店)、「後方」にあったりする(U店)場合は、認知することが難しいのです。

 

 

そればかりではありません。

 

行動ベクトルは、商圏の広がりを決めてしまうのです。

 

 

図2のように、遠いところなら、左から右へ(西から東へ)、近いところなら、北から南へ行動ベクトルがあるような場合、商圏は、行動ベクトルとは反対の方向、すなわち左(西)への方向と北への方向に広がる傾向になります。

 

行動ベクトル図2

 

その反対に、右(東)や南には広がりにくいのです。

 

 

行動ベクトルの描き方

 

では、実際には、どうやって行動ベクトルを描けば良いでしょうか?

 

 

行動ベクトルは、遠いところへ向かう場合と、比較的近いところへ向かう場合とで描き方が異なります。

 

遠いところへ向かう場合は、都市の中心部に向けて描きます。

 

 

たとえば、図3、4、5はいずれも遠いところへ向かう場合の行動ベクトルをGIS(ジス:地理情報システム)でシミュレーションしたものです。

 

行動ベクトル 商圏図3

 

 

図3は、東京都の小金井市あたりです。行動ベクトルがおおむね西から東へと向かっていることがわかります。ここでは、東京の都心に向かっていますね。

 

 

図4は、埼玉県のさいたま市あたりです。行動ベクトルは北から南へと向かっています。ここも東京都心へ向かっています。

 

行動ベクトル 商圏図4

 

 

図5は、どこでしょう。行動ベクトルが南東から北西へ向かっています。ここも図3や図4と同じように東京都心に向かっているのだとしたら、どこでしょう。そうです。ここは千葉市周辺です。

 

行動ベクトル 商圏図5

 

東京を離れて、地方ではどうでしょうか。やはり行動ベクトルは、同じように市街地中心部へ向かっています。

 

図6は仙台市、図7は名古屋市ですが、明らかにそのようになっています。

 

 

行動ベクトル 商圏図6

 

行動ベクトル図7

 

 

 

以上は、「遠いところへ」向かっている場合の行動ベクトルです。こういう場合は、大きな市街地の中心部に向かって描けば良いことがわかりました。

 

 

 

では、近いところへ向かっている場合は、どうでしょうか。首都圏では、その大部分は、「駅」それも近いほうの駅へ向かっています。

 

首都圏以外では、また首都圏内でも、大きなショッピングセンター(SC)があるならば、そのSCへ向かう行動ベクトルを描くことができます。

 

 

 

行動ベクトルを知ると

行動ベクトルを知ると最終的にどのようなことがわかるのでしょうか?

 

さきほどの図2をもう一度ごらんください。

 

 

 

商圏が拡大することがわかりました。

 

では、その拡大した部分が、人がほとんどいない単なる空き地だったらどうでしょう。

 

せっかく拡大しているにも関わらず、その寄与がほとんどないことになります。

 

 

反対に、その広がった地域に、大きな団地群があるなど、人がたくさんいるようだったらどうでしょう。

 

こうした場合、商圏の拡大は取りも直さず、売上げの向上になるのです。

 

 

 

 

ところで、駅と駅の中間地点に店を出そうとする人がいます。

 

それは、とてもリスクの高いことなのです。それは行動ベクトルで説明できます。

 

 

図8を見てください。

 

駅図8

 

 

人々は、少しでも近いほうの駅を利用しようとします。

そうなると中間線よりA駅に近い人はA駅に向けて行動します。

 

反対にB駅に近い人々はB駅に向けて行動します。

 

 

すると、中間線上にある地点Pの前を通る人は誰でしょう。理論的には、誰も通りませんね。

 

仮に、通るとしたら、何か特別な目的を持っている人しか通りません。

 

 

だから、駅と駅の間に店を出すことは危険なのです。商圏がほとんどできません。

 

 

 

 

2010年7月号 月刊 飲食店経営

 

 

 

 

 

 

 


 

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