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売上予測の出し方は「インストア重回帰モデル」ならこうやる
売上予測の出し方の実例をあげよう。
事例として、1990年に作られたマクドナルドのインストア重回帰モデルを採り上げる。
このモデルは、当時東京都内で出店していた46店舗をサンプルにして作ったものだ。
モデルの説明変数は6個で、立地評価、直前通行量、商圏人口、マーケットの質評価、500m圏の飲食変数、そして、営業期間である。
立地評価では、次の4通りをそれぞれ3点満点で評価して、その合計値の二乗を用いる。
A:動線評価
これは、店舗が一方のと他のTG(大型商業施設)との間で、どのような位置関係にあるかを評価するものである。
もし、店がTGとTGの間の経路に沿っているような場合は、評価「3」を与える。
ただし、大きな道路を挟んで反対側の歩道にある場合は、0.5点減点する。
一方のTGが鉄道駅で、もう一方のTGより奥に位置するため人々の流れが店に来るまでに吸引されてしまうような場合は評価「2」を与える。
ただし、この場合で物件が当該TGから50m以上離れていたり、TGが1つ(駅を含む)しかない場合は、0.5点減点する。さらに後者の場合でそれが駅であって、その駅から50m以上離れている場合は1点減点する。
さらに、駅から50m以内に店があるが、店がある側よりも駅を挟んで反対側にTGがあったり、商業集積が集中しているいるような場合は、評価「1」を与える。また、駅とTGを結ぶ動線からはまったく外れている場合も、評価「1」を与える。
B:視界性評価
駅と駅以外のTGの両方から視界性が良好であるとき、評価「3」を与える。
駅からの視界性は良好であるが、駅以外のTGからの視界性に難があるとき、評価「2.5」を与える。
駅からの視界性には難があるが、駅以外のTGからの視界性が良好であるとき、評価「2.0」を与える。
駅または駅以外のTGが1つしかない場合、そのTGからの視界性が良好であるとき、評価「2.5」、難があるとき、評価「2.0」を与える。
駅および駅以外のTGのいずれからの視界性に難がある場合は、評価「1」を与える。
c:面積評価
ここでの面積には、事務所・倉庫・他のテナントとの共用部を含まない。
p:ワンフロアーの最大面積に応じて、評価を与える。
50坪以上ならば評価「3.0」 、40~49坪ならば評価「2.5」 、30~39坪ならば評価「2.0」 、25~29坪なら評価「1.5」、24坪以下ならば評価「1.0」
Q:客席およびカウンター、厨房として用いている合計面積に応じて、評価を与える。
100坪以上ならば評価「3.0」 、80~99坪ならば評価「2.5」 、60~79坪ならば評価「2.0」 、50~59坪なら評価「1.5」、49坪以下ならば評価「1.0」
R:カウンターのある階に応じて減点評価を与える。
カウンターが1階路面の階にある場合、減点評価「0」、2階ある場合、評価「-1.0」、3階-3または地階にある場合、評価「-2.0」を与える。
面積評価cは、以上のP,Q,Rの3つの評価を次の式に当てはめて求める。
c=0.5×P+0.5×Q+R
d:間口評価
T:実効間口(人々が道路との間で主に出入りする間口)の広さに応じて、評価を与える。
10m以上ならば評価「3.0」、8~9.9mならば評価「2.5」、6~7.9mならば評価「2.0」、5~5.9なら評価「1.5」、4.9m以下ならば評価「1.0」
S:カウンター幅(お客さまと応対するカウンターの幅)に応じて、評価を与える。
6m以上ならば評価「3.0」、5~5.9mならば評価「2.5」、4~4.9mならば評価「2.0」、3~3.5なら評価「1.5」、3.4m以下ならば評価「1.0」
立地評価は、以上の4つの評価を次の式にあてはめて求める。
立地評価=(a+2×b+2×c+d)の2乗
直前通行量は、休日の10:00~18:00の8時間を用いる。単位は百人
商圏人口は、住民浸透度係数5%以上の町丁目の人口の合計、単位は千人
マーケットの質評価は、マーケット(店舗の周囲500m圏)で行き交う人々や女性比率などから総合して3点満点で評価したのち二乗+10して求める。
評価「3」の基準
人々の流入目的 洋服・ファッションを見る・買う
マーケット 広域マーケット、超広域マーケット
流入目的 特定された強い目的はない
人々の状態 時間が限定されていない・両手が空いている・足が遅い・お金を使う(自由に使えるお金を1万円以上持っている)
女性比率 45%以上
通行量 休日が平日よりも多い
通行人層 10代、20代が多い
評価「2」の基準
人々の流入目的 食料品・家庭用品の購入
マーケット 中域マーケット・リトルマーケットに多い
流入目的 -
人々の状態 -
女性比率 45%前後
通行人層 主婦層・高齢者が多い
評価「1」の基準
人々の流入目的 就業・営業・役所手続き
マーケット ビジネス街
流入目的 強い目的をもって流入する
人々の状態 時間が限定される(急いでいる)・両手が塞がっている・足が速い・お金を使わない(使えるお金が限られている)
女性比率 40%未満
通行量 休日が平日よりも少ない
通行人層 OL・サラリーマンが多い
500m圏の飲食変数は、商業統計調査より、500m圏の飲食業年間販売額を面積按分して、億円単位で求めた後、対数演算したのち100倍して求める
営業期間は、グランドオープンからの通算営業月数を用いる。ただし、120を上限とする。
写真にある阿佐ヶ谷店は、1990年代も今2020年も同じ立地条件にあるので、この売上予測の出し方で計算してみよう。
立地評価=(動線評価【2.5】+視界性評価【2.5】×2+面積評価【1.75】×2+間口評価【1.50】)の二乗=(12.50)の二乗=156
直前通行量=200(百人)
商圏人口=95(千人)
マーケットの質評価=2の二乗×10=40
500m圏の飲食変数=LOG(30)×100=148
営業期間=120
さて、インストア重回帰モデルの重回帰係数は以下の通りである。
重回帰モデル
立地評価の係数:54.5
直前通行量の係数:8.70
商圏人口の係数:13.3
マーケットの質評価の係数:71.6、
500m圏の飲食変数の係数:31.4、
営業期間の係数:50.0
そこで、上記のデータをモデルの各係数と掛け合わせてみる。
立地評価:54.5×156=8502
直前通行量:8.70×200=1740
商圏人口:13.3×95=1264
マーケットの質評価:71.6×40=2864
500m圏の飲食変数:31.4×148=4647
営業期間:50.0×120=6000
以上の合計を求めると、これが売上予測の理論値である。
売上予測の理論値=8502+1740+1264+2864+4647+6000=25017
当時の阿佐ヶ谷店は、周囲に競合店が多くマイナス30%という大きな影響を受けていたので、
この分を考慮に入れた本来の売上実績値は、23846(千円)とされている。
したがって、売上予測による理論値と実績値の違いは、23486-25017=-1531であり、
比率では、-1531÷25017=6.1%の違いということになる。
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売上予測の出し方の実例をあげよう。
事例として、1990年に作られたマクドナルドのインストア重回帰モデルを採り上げる。
このモデルは、当時東京都内で出店していた46店舗をサンプルにして作ったものだ。
モデルの説明変数は6個で、立地評価、直前通行量、商圏人口、マーケットの質評価、500m圏の飲食変数、そして、営業期間である。
説明変数の定義
立地評価では、次の4通りをそれぞれ3点満点で評価して、その合計値の二乗を用いる。
A:動線評価
これは、店舗が一方のと他のTG(大型商業施設)との間で、どのような位置関係にあるかを評価するものである。
もし、店がTGとTGの間の経路に沿っているような場合は、評価「3」を与える。
ただし、大きな道路を挟んで反対側の歩道にある場合は、0.5点減点する。
一方のTGが鉄道駅で、もう一方のTGより奥に位置するため人々の流れが店に来るまでに吸引されてしまうような場合は評価「2」を与える。
ただし、この場合で物件が当該TGから50m以上離れていたり、TGが1つ(駅を含む)しかない場合は、0.5点減点する。さらに後者の場合でそれが駅であって、その駅から50m以上離れている場合は1点減点する。
さらに、駅から50m以内に店があるが、店がある側よりも駅を挟んで反対側にTGがあったり、商業集積が集中しているいるような場合は、評価「1」を与える。また、駅とTGを結ぶ動線からはまったく外れている場合も、評価「1」を与える。
B:視界性評価
駅と駅以外のTGの両方から視界性が良好であるとき、評価「3」を与える。
駅からの視界性は良好であるが、駅以外のTGからの視界性に難があるとき、評価「2.5」を与える。
駅からの視界性には難があるが、駅以外のTGからの視界性が良好であるとき、評価「2.0」を与える。
駅または駅以外のTGが1つしかない場合、そのTGからの視界性が良好であるとき、評価「2.5」、難があるとき、評価「2.0」を与える。
駅および駅以外のTGのいずれからの視界性に難がある場合は、評価「1」を与える。
c:面積評価
ここでの面積には、事務所・倉庫・他のテナントとの共用部を含まない。
p:ワンフロアーの最大面積に応じて、評価を与える。
50坪以上ならば評価「3.0」 、40~49坪ならば評価「2.5」 、30~39坪ならば評価「2.0」 、25~29坪なら評価「1.5」、24坪以下ならば評価「1.0」
Q:客席およびカウンター、厨房として用いている合計面積に応じて、評価を与える。
100坪以上ならば評価「3.0」 、80~99坪ならば評価「2.5」 、60~79坪ならば評価「2.0」 、50~59坪なら評価「1.5」、49坪以下ならば評価「1.0」
R:カウンターのある階に応じて減点評価を与える。
カウンターが1階路面の階にある場合、減点評価「0」、2階ある場合、評価「-1.0」、3階-3または地階にある場合、評価「-2.0」を与える。
面積評価cは、以上のP,Q,Rの3つの評価を次の式に当てはめて求める。
c=0.5×P+0.5×Q+R
d:間口評価
T:実効間口(人々が道路との間で主に出入りする間口)の広さに応じて、評価を与える。
10m以上ならば評価「3.0」、8~9.9mならば評価「2.5」、6~7.9mならば評価「2.0」、5~5.9なら評価「1.5」、4.9m以下ならば評価「1.0」
S:カウンター幅(お客さまと応対するカウンターの幅)に応じて、評価を与える。
6m以上ならば評価「3.0」、5~5.9mならば評価「2.5」、4~4.9mならば評価「2.0」、3~3.5なら評価「1.5」、3.4m以下ならば評価「1.0」
立地評価は、以上の4つの評価を次の式にあてはめて求める。
立地評価=(a+2×b+2×c+d)の2乗
直前通行量は、休日の10:00~18:00の8時間を用いる。単位は百人
商圏人口は、住民浸透度係数5%以上の町丁目の人口の合計、単位は千人
マーケットの質評価は、マーケット(店舗の周囲500m圏)で行き交う人々や女性比率などから総合して3点満点で評価したのち二乗+10して求める。
評価「3」の基準
人々の流入目的 洋服・ファッションを見る・買う
マーケット 広域マーケット、超広域マーケット
流入目的 特定された強い目的はない
人々の状態 時間が限定されていない・両手が空いている・足が遅い・お金を使う(自由に使えるお金を1万円以上持っている)
女性比率 45%以上
通行量 休日が平日よりも多い
通行人層 10代、20代が多い
評価「2」の基準
人々の流入目的 食料品・家庭用品の購入
マーケット 中域マーケット・リトルマーケットに多い
流入目的 -
人々の状態 -
女性比率 45%前後
通行量 休日が平日よりも多い
通行人層 主婦層・高齢者が多い
評価「1」の基準
人々の流入目的 就業・営業・役所手続き
マーケット ビジネス街
流入目的 強い目的をもって流入する
人々の状態 時間が限定される(急いでいる)・両手が塞がっている・足が速い・お金を使わない(使えるお金が限られている)
女性比率 40%未満
通行量 休日が平日よりも少ない
通行人層 OL・サラリーマンが多い
500m圏の飲食変数は、商業統計調査より、500m圏の飲食業年間販売額を面積按分して、億円単位で求めた後、対数演算したのち100倍して求める
営業期間は、グランドオープンからの通算営業月数を用いる。ただし、120を上限とする。
阿佐ヶ谷店のデータ
写真にある阿佐ヶ谷店は、1990年代も今2020年も同じ立地条件にあるので、この売上予測の出し方で計算してみよう。
立地評価=(動線評価【2.5】+視界性評価【2.5】×2+面積評価【1.75】×2+間口評価【1.50】)の二乗=(12.50)の二乗=156
直前通行量=200(百人)
商圏人口=95(千人)
マーケットの質評価=2の二乗×10=40
500m圏の飲食変数=LOG(30)×100=148
営業期間=120
インストア重回帰モデルの重回帰係数
さて、インストア重回帰モデルの重回帰係数は以下の通りである。
重回帰モデル
立地評価の係数:54.5
直前通行量の係数:8.70
商圏人口の係数:13.3
マーケットの質評価の係数:71.6、
500m圏の飲食変数の係数:31.4、
営業期間の係数:50.0
売上予測理論値の出し方
そこで、上記のデータをモデルの各係数と掛け合わせてみる。
立地評価:54.5×156=8502
直前通行量:8.70×200=1740
商圏人口:13.3×95=1264
マーケットの質評価:71.6×40=2864
500m圏の飲食変数:31.4×148=4647
営業期間:50.0×120=6000
以上の合計を求めると、これが売上予測の理論値である。
売上予測の理論値=8502+1740+1264+2864+4647+6000=25017
計算結果
当時の阿佐ヶ谷店は、周囲に競合店が多くマイナス30%という大きな影響を受けていたので、
この分を考慮に入れた本来の売上実績値は、23846(千円)とされている。
したがって、売上予測による理論値と実績値の違いは、23486-25017=-1531であり、
比率では、-1531÷25017=6.1%の違いということになる。
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