エスカレータを勘案した売上予測が的中した驚くべき瞬間

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店舗営業,売上予測

エスカレータは1台取り付けるには１000万円かかるそうです、とそういって、マクドナルドのある店舗開発マンは、２Fでの出店を渋ったことがある。

当時は、店は１Fの路面店でなくてはならない、そういう不文律があったことは確かだ。

しかし、バブル全盛期の1990年代初頭、東京都内の物件はどれも高騰を続けており、その取得は困難をきわめていた。そうして苦肉の策として、２Fの物件も探すことになったのだ。

ただ、心配はあった。本当に２Fに出店してよいものか、それで売上はとれるか？

果たして、当時のマクドナルド出店調査部は、JR中央線「浅草橋駅」に近接した物件の初年度年商を1800万円/月と売上予測していた。

滅多に、高い売上予測をすることはない調査部がこうした高い売上を提示することに、まず社長が驚いた。

「確かに予測の精度が高いわが調査部だが、ほんとうにこんなに売れるのか？」

そこで、社長は、路面から立ったまま直接来店できるようにしようとエスカレータの導入を開発マンにきいた。その答えが冒頭のとおりである。

ただでさえ、厨房機器や客席内装設備などに多額の投資をするマクドナルドである。このうえさらに1000万円ともなれば、BES（損益分岐点）は跳ね上がる。

高い売上が見込めるとはいえ、利益がとれなければ元も子もない。

オーナー負担にするわけにはいかないようだから、しぶしぶながら予算は承認され、グランドオープン初日を迎えた。

営業部も、こんな２階に作ったら売上は難しいだろう。

しかも、周辺はオフィスビルばかりで、マクドナルドのファンは見込めそうもない。

その証拠に、マクドナルド以外どのファストフードもカフェレストランも出店していないじゃないか。

また、これで不振店を１店増やしてしまった。

と思っていて、その日のバンズの在庫はかなり低めにしていた。

しかし、・・・

オープンして2時間もたたない頃、とんでもないことが起きはじめた。

店前のエスカレータが数珠つなぎになるほど、たくさんの来客が始まった。

店長も営業部の幹部も、おおわらわで近隣店舗へバンズなどの資材融通の要請を始めるはめに陥った。

エスカレータの威力を体験した出来事であった。エスカレータは、投資の甲斐があったのだ。

エスカレータ

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