立地を顧みぬ大量出店は失敗する

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立地を顧みぬ大量出店は失敗する

売上予測調査部,立地について,出店戦略,開店・閉店

2018/11/01 立地を顧みぬ大量出店は失敗する

【立地を顧みぬ大量出店は失敗する】

 

数年前、ファストフードチェーンM社が、
1年に400店舗以上もの、大量閉店を決行したことがありました。

そのM社は、 弊社の代表である林原にも縁の深い会社であり、
当時はよく「この大量閉店はなぜなのか」と意見を求められました。

その質問は、ごもっともなことです。

今さら、かもしれませんが、ひとつ逸話として、
その時のお話をまとめてみました。

 

 

私たちは、長年、ことあるごとに、

「M社には出店調査部という部署が特別に設置されており、
すべての出店立地について調査し、その売上予測に基づいて、
出店の可否を決めているため、 出店の精度はきわめて高い」

というお話をさせていただいてまいりました。。

そのM社が、400店以上もの店舗を、一斉に閉店するのです。
これは、中堅より上のクラスの企業の「全店舗数」に匹敵します。


なぜ、 こんなことになってしまったのでしょうか?

実は、一斉に閉店されるこれらの店舗はいずれも、
無謀な立地に出店していたものが大半だったのです。


しっかり調査部があったはずのM社が、なぜこんなことになるのか。
悪立地になんて、 そうそう出店しないはずではなかったのか。

そういった疑問がわくのは、当然のことです。

 

 

かつてM社は、とんでもない出店攻勢をかけた時期がありました。

それは、1990年代の後半です。
「年間400~500店」もの出店をしていったのです。

それまでは、年間少ないときで50店舗、
多いときでも150店舗が普通でした。
ですから、その多さには目を見張るものがあります。


なぜ、 こうした出店攻勢をかけたのかといいますと・・・・
一般的には、「企業全体の売上の低迷」があったと言われています。
すなわち、その売上を補うために、店舗数を増やしたというのです。


しかし、実はそれは「表向き」の話なのです。

 

実際は、M社と、その大本であるアメリカの企業との、
日本での展開における「契約」更新が、
すぐ2001年に迫っていたことが最大の理由でした。


当時、世界中にあるM社の中で、
日本は一番「特別扱い」を受けていました。

どんな扱いかというと、その最たる特徴は、
「ロイヤリティ・フィーの低さ」です。

他の国では、アメリカの本社に「5%」も払っているのに、
日本だけは、実は「1%」だったのです。


それは、日本でM社を立ち上げた初代社長の功績です。

 

「日本ではこの商品は簡単には売れない。
だから、時間をかけなければいけない。
とはいえ、 利益を出せなければ店を増やせないから、
ロイヤリティー・フィーは1%にしてくれ。
そうしたら、どんどん店を増やそう」

簡単に言えば、そのようなやり取りがあったようです。
日本の文化的な背景を鑑みて、アメリカの企業側も、
その申し出を受け入れる形で、展開がスタートしました。


それで、そこから数十年間、
ロリヤリティー・フィー「1%」でやってきたわけです。
それにより、M社は日本で大きな功績を残しました。

しかし、日本国内でどれだけ成功していたとしても、
アメリカが手にする利益は、その「1%」に過ぎません。
同じM社の、諸外国の企業からすれば、日本はアンフェアです。

ですから、最初の契約が切れる時を期して、
「十分に日本に広まったから今後は5%にしよう」
という意見が自然に上がってきたのは言うまでもありません。

その契約の切れる年が、2001年でした。

 

アメリカの本社は考えました。

「そこで5%にすれば、売上げはそのままでも、
これまでの5倍のロイヤリティーを日本から得ることができる」と。

まぁ、当然のことですね。
しかし、日本M社からすれば、それは飲めない条件でした。


当時の経常利益は、 売上げ全体の3%から5%くらいのものだったからです。
それなのに、そこからさらに5%もなくなったら・・・・
利益は、完全に吹っ飛んでしまうのは明らかでした。

そういうことで、一計を講じたのが、
「年間500出店」という戦略だったのです。

 

 

何が何でも500店。

たとえ既存店と競合しても、
売上げが思うように取れなくても、出店する。
そのような大号令が出ました。

なぜならば・・・・

1店あたりの売上が減っても、
店舗数そして全体の売上さえ増やせば、
ロイヤリティー・フィーの率を上げなくても、
アメリカの本社が受け取る額が増えるから
です。


「今のままでもより多くのお金を渡せるようにするから、
ロイヤリティー・フィー自体はこのままにしてくれ」
というのが、日本側の主張だったわけです。
そうすることで、全体の利益の確保もできます。

 

そして、それを主張しただけでなく、
実際に年間500店、出店していってしまいます。

 

具体的にどうやったかというと・・・・
いわゆる、「サテライト店」と呼ばれる形態の店舗を、
どんどん作っていきました。

「サテライト」とは「衛星」という意味です。
つまり、本格的な設備の店舗を作らないで、
元々ある店舗の近くに、衛星のように新店を出していったのです。

スーパーや駅、ビルの一角に、
まるで出店(でみせ)のようにして作る・・・・

そしてその人員は、その元々近くにあるお店から調達するのです。
つまり、その元々のお店から、サテライト店へ、
店長やそれ以外の社員、アルバイトなどを送るようなやり方をしました。

これなら確かに、 初期投資が普通より格段に少なくて済みます。

(元々ある店舗を「トラディショナル」と呼びます)

 

 

ただし、ここで問題がありました。

このサテライト店舗の出店に関しては、
出店調査部は、ほとんど関与しなかった
のです。

つまり、事実上、「調査もせずに出店していた」ということです。

 

その結果、、 売上はどうなったかというと・・・

やはり当初は、トラディショナル店舗よりかなり低い売上でした。

しかし、より少ない投資で、
年間の売上を増加させる(既存店の売上げ減少をカバーする)
という位置づけの戦略としては、
その時点では、 「ベスト」と言えるものでした。

ですから、誰も反対しなかったのでしょう。
どんどんそういった方向性での出店は増えていきました。

 


そこからしばらくすると、大きな変化が訪れます。
次第に、こんなことが言われるようになりました。


「サテライトもトラディショナルも関係ない。」


その背景には、大きな投資をして作ったトラディショナルの新店より、
その近くに作った小投資のサテライト店の方が、売上が上回ってしまうという、
逆転現象がいくつも起きたことが挙げられます。


「ならば、トラディショナル店の方も、
調査などしなくでもいいのではないか」

という雰囲気が出てきたとしても、おかしくはありません。

 

そうこうするうち、 「立地調査より、出店数の確保を優先」で、
どんな立地にもM社はどんどん出店していきました。

これは、私たちに言わせれば、
M社の「暗黒時代」と呼ぶべき時期でしたね。

 

しかし、そうやって「出店数」だけを追い求めるあまり、
貧乏立地に出し続けたツケは、すぐに支払わされることになります。

21世紀初頭、日本のM社は、 創立以来の大赤字を計上しました。

アメリカとの契約では、ロイヤリティーを「3%」に抑えることができたものの、
なかなか利益回復はできなくなり、社長も交代になりました。


それでも、その後もなかなか、回復の兆しは見えません。
それどころか、値段を上げたり下げたりで、
消費者の反感を買う始末・・・・


そのような流れになっていってしまったのです。

 

後は、お分かりになるかと思います。

利益確保のため、赤字店舗を閉店させるという道を選んだだけのことです。

 

 


私たちから見れば、この一連のM社の推移から、
ショップビジネス企業の隆盛にはやはり、
最後は立地が決め手だということを強く感じます。

ロクに立地調査もせずに、貧乏立地に手を出してしまえば、
いかに高いブランドを持つチェーンであっても、ダメなものはダメなのです。

一時期、M社は、売上予測さえも外部に頼ったという話が、
業界内では伝わってきていました。

かつて素晴らしい精度の高さを誇っていたM社の出店調査部でさえ、
すでに、 社内でその機能を発揮しなくなっていたのです。

そのような状況では、ダメになって当然だったと言えるかもしれません。

 


このように、「出店数」を稼ぐために、
立地を度外視して、とにかく攻め続け、
後々に重荷となる店舗ばかりを増やしてしまった企業は、
何もM社だけに限った話ではありません。

M社ほどの大規模ではなかったとしても、
同じようなケースは、数多くのチェーン企業で、
哀しいことながら、よく見られることです。

 

企業ごとに様々な事情があり、
それを責められるものではありませんが・・・・

しかし、どうしても、目先の利益を求めて立地を誤れば、
ショップビジネスという業態は、
永く繁栄することが難しい
ものなのです。


これを読んでくださった経営者様方が、こうした話を他山の石として、
自社の店舗展開を今一度見直してくださることを、期待いたします。

 

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私は、立地と高精度/売上予測で「不振店」を根絶します。

 

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