出店を確かにする立地の道筋と8つの立地ポイント 

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出店を確かにする立地の道筋と8つの立地ポイント 

立地について

2017/12/18 出店を確かにする立地の道筋と8つの立地ポイント 

立地神話を信用するな

店舗開設にあって、個人も企業も、決して軽んじてはならないこと。それは言うまでもなく、店舗の「立地」である。

劣悪な立地を選択してしまっては、予期した収益を挙げるどころか、事業そのものが危うくなる。かと言って、安易な立地理論に頼ってしまえば、傷口を広げるばかりなので要注意である。

そうした安易な立地理論のなかには、まことしやかに流布されている「立地神話」というものがある。

それには、2つある。

一つは「交通量(通行量)が多いほど立地が良い」という交通量を絶対視する“交通量神話”であり、もう一つは、「商圏人口が多いほど、立地が良い」という商圏人口を絶対視する“商圏人口神話”である。

この二つの神話は、まったくの神話であって、科学的検証をまったく欠いている。何の根拠もないウソである。

交通量(通行量)も商圏人口も、立地の良否に関わっているものの、そのほんの一部の説明要因に過ぎない(もし、今でもこの神話を流布している人がいたら、それは、犯罪的行為に近いと筆者は思う)。

 

確かに、店舗前の通行人が多い方が少ないより良いと感じる。それだけ多くの人と店舗の接点があるからだ。

しかし、何千人も通勤通学者が通る朝方より、数十人しか通っていない昼間に店は混雑する。また、一日何万台も通っている国道沿いより、数百台しか通らない地方道での売上が高い。こうした実証を筆者は十分に持っているから言うのである。

商圏人口神話についても同様である。

 

 

  立地の道筋を考えよ

 多くの店舗アンケートで、来店した理由を聞くと、意外な結果が必ず出るものだ。

特筆すべきは、店舗の商品・サービス、知名度といった、いわゆる「店舗の魅力」がもとで来店した人は3割にも満たないという結果がよく出るのだ。

7割以上は、「店が近くにあるから」・「たまたま通りかかったから」という、「店舗の魅力」とはあまり関係のない理由で来ていることがわかる。これが、来店理由の実状であり、それこそ「立地」を問題とするところである。

「立地を知る」とは、「店が近い」と人々が心理的に感じる理由や、「たまたま通りかかる」ことがある人々の行動とその要因を知ることである。

そして、その道筋に従って考え、人々に「店が近い」と感じさせ、「たまたま通りかかる」多くの人々がいると言える場所を探し出して行くことこそ、「好立地を見つける」ことなのである。

例えば、人々が「商品を手にしたり、目にする」という道筋を真剣に考えれば、商品宣伝や陳列方法の研究が進み、さらにマーケティングやマーチャンダイジングが発展する。これと同じである。立地の道筋を真剣に考えれば、自ずと好立地を手に入れることができる。

人々が店舗を選択する前提となる「店を目にしたり、耳にする」ことの道筋を考えていくことで、卓抜した立地を見つけることができる。

 

立地の3つの道筋

では、その立地の道筋を示そう。

まず第一は、店舗の周辺にどのような人がいて、どのような行動をとっているかについて知る道筋である(商圏的事実の把握)。

第二は、人々が、その店舗を選択するまでの事実、特に「人々が見ることができるか」について知る道筋である(知覚突出性)。

第三は、人々が、その店舗を選択してから、店内に到着するまでの事実を知る道筋である(到達容易性)。

 

これらは、人々の移動手段の違いを念頭にいれると具体的に考え易い。そこで今回は、徒歩で移動する人々を対象にする場合を考えることとしよう。この場合、この3つの道筋に沿って、具体的には、8つのポイントで立地の判定ができることがわかっている。

 

第一の道筋《商圏的事実の把握》

まず第一の“どのような人がいるか”を知る道筋(商圏的事実を把握する)に該当するポイントは、「商圏の質」および「TG規模」を明確にすることである。

 

 

  • 商圏の質

どのような人々が通行しているのか

 

もし、店前にビジネスマンやOLなど、就業者が通行していることが多いなら、気をつけなければならない。これは、「オフィス性向が高い」と言い、きわめて行動制約の強い人々がいることを示している。その人々は自由になる時間も購買するニーズも制約されるからだ。

逆に、「レジャー性向」といって、のんびりブラブラと心に開放感がある人々が多いところは、どんな商売でも結構うまくいくものだ。観光地やレジャー施設地域がイメージしやすいだろう。

実際こうした性向は、どんな街でも必ず大小の違いがあれ散在しているのだ。

   他に、買い回りのショッピングや飲食などもそうしたレジャー性向に近い。

生活レベルが高く、買い物でも嗜好性が高い人が多く住んでいる地域では、とりわけ商圏の質が異なる。店舗商品・質レベルの高さを要求する性向が普通より強いのだ。

可処分所得は決して高いとは言えないが、大学生や専門学校生は、新規なものファッショナブルなものについての強い関心がある。そのため学生の多く通る場所は、やや嗜好性に偏りがあるので、注意が必要である。

いわゆる家庭の主婦・単身者が多いと、堅実性・日常生活品・価格の安さなどに敏感になりがちである。これも商圏の質である。

店舗の場所が、以上のどれに類似しているかを見極めることが、最初に重要なことである。

 

 

② TG規模

人々が集まり分散していく場所

 

TGとは、交通発生源(TRAFFICGENERATOR)という意味である。具体的には、駅改札口・大型店の出入口・学校の正門・交差点での横断歩道を指す。こうしたTGが店舗の近くにあるかどうか、あるならばどの程度の規模であるかを知らなければならない。

ただ店舗前を歩いている人を見るのではなく、周辺のどこに人々が集中しているのかを見ることである。そこには、集中する「必然性」が必ずある。偶然集中しているわけではない。その必然性を見抜くことで、店舗が、このTGから影響を受ける場所かどうかがわかる。例えば、駅がTGであり、その多くが特定のオフィスビルに向かう人ばかりであるなら、そのビルから離れた店舗立地は、その人達が来店する可能性が少ない。

逆に、あなたの店がフォトショップや惣菜店であり、TGが近くの大型店出入口であり、店舗前を通る人々がそのTGへ行く必然性があったとしよう。あなたは繁盛店を手に入れたことになる。

 

第二の道筋《知覚突出性》

さて、第二の問題、「人々が見ることができるか」を問題としよう。これを、「知覚突出性」という。

知覚突出性とは、決して、「店をキンキラにすること」ではない。店のデザインが良かろうと悪かろうと、店が「自然に人々から見えること」が重要なのだ。

 

 

③ TGと動線

TGに向かう生活行動線にあるか

 

TGからの人々の動線があるかをチェックする。動線とは「日常生活行動線」という意味。TGが、駅であれ、交差点であれ、ここから店の方向に歩いて来る必然性があるとないでは大違い。

さらに、その違いはTGから離れるほど大きくなる。近ければ(具体的には50m以内)、人々は、その日常生活行動を変え易く、自店舗のある方向に変わることもでてくる。そして、店舗を容易に知覚する。

逆に、TGへ向かう日常行動線に店舗がない。また、50m以上離れている。これでは、人々が行動を多少変化させたとしても、偶然に店舗まで近寄ることはほとんどなくなる。人々が自然にその店に気づくことは、きわめて希なことになる。

 

 

④ 行動ベクトル

人々はどこと行き来しているか

 

TGは、点的な場所を指すが、そうしたTGだけを目指して人々は行動するわけではない。地域的な広がりのある行動もある。

例えば、オフィス街(事業所)と行き来している人の知覚の視野、注意力は低い。考え事をしていたり、一つの方向へ歩くことに傾注していたりするからである。

これに似て、自分の棲み家がある住宅街と行き来する場合も、たいていの人はその経路が一定している。毎日同じように見、同じような場所についてのみ関心があり、あまり他のことには感心を示すことは少なく、したがって知覚も固定している。

では、商業施設や商店街の多い地域を往復する場合はどうだろうか。

店を探すことに注意を払ったり、あるいはあちこちを見回ったりして、積極的に知覚しようとしていることが多い。最も知覚能力が高まっている状態といえよう。

 

 

⑤ 視界性

人の視界に自然に入ってくるか

 

人々の動線上にあって、知覚能力が高まっていても、肝心の店が目に入らないでは意味がない。

店舗の間口が広いなど、外観が特徴的な店であり、自然な目線の高さと角度で店舗の看板や中が見えて、何を売っているか、そこでは何が手に入るかがすぐにわかる。

これが、店舗の視界性の満点状態である。

  間口が狭かったり、店舗デザインが周辺ビルなどと融合してしまい、振り向かないと見えなかったり、探してもどこにあるかわからない、他店と見間違ったりするなど、現状の多くの店、特に商店街の商店は、「視界性に問題がある」と言わざるを得ないことが多い。

 

 

⑥ランドマーク

店舗の場所を記憶する目印

 

ところで、店舗を選択する段階で、見えることと同じように重要なのは、「その場所を記憶できるか」ということである。

一度好印象を持った人が、他人にその場所を伝えるにも、もう一度自分で来ようにも、その場所が記憶できなければだめである。

もちろん、日常的に必要な商品・サービスを小規模で提供する店舗ならば「場所の記憶」はとりわけ問題にならない。

しかし、半年に数度、あるいは誕生日や結婚式のようなメモリアルチャンスに利用するなどの商品やサービスを提供する店舗ではこれが重要である。日用品でも大規模に販売する場合も同様である。

「場所の記憶」のし易さは、ランドマークの有無にかかっている。ランドマークとは、「土地の目印」という意味である。駅や名前のついた交差点、あるいは地域で名の通った場所や施設がこれにあたる。

「○○駅の改札を出たら、すぐわかるよ」のように、たった一つのランドマークを言っただけで、誰でも分かることが最良である。逆に、地図を詳細に書かない限りわかってもらえない、あるいは、自分でもどこにあったか忘れてしまうというのは最悪である。

 

 

⑦ 集中度

待合せの場所に利用されているか

 

場所のランドマークとしての働きは、「待合わせ」に利用される。

したがって、どれだけ多くの人が「待合わせ」に使っている場所かを見極めれば、そのランドマークとしての強度がわかる。

例えば、東京で最大のランドマークは、「渋谷ハチ公前」であり、新宿なら「スタジオアルタ前」か「西口地下交番前」である。これらは、「待合わせ」の用をなさないほど集中度が大きい。

これに対して、「△△学校正門前」や、「○○映画館前の本屋さん」は立派なランドマークになり得るが、集中度は小さい。

 

第三の道筋《到達容易性》

第三の、人々が、その店舗を選択してから、店内に到着するまでの事実は、「到達容易性」を問題にすることである。

通行人と対象とする場合、この多くは「間口」に由来する。

 

 

⑧ 間口制約

店舗入店の際の心理的制約

店舗の間口には思わぬ心理的制約がある。例をいくつか挙げてみる。

1階で入口が狭かったり、階段入口部分しかないような(つまり2F以上に店がある)場合、自店舗の間口が道路から大きくセットバックしている(奥まっている)場合、間口部分が段差があったり、中2階のような階段を上るようになっている場合、西日が強く当たったり、暗がりになるような場合、あるいは、他店と間口が共有で自店舗への入口が判別できないような場合などである。

このように店舗内への到達に際してさまざまな心理的制約があると、人々は明らかに入りづらい。

なお、店内の様子を外から分かりづらくしたり、なるべく入りにくくするというコンセプトは、会員制などのクローズドビジネスのみに通用することであって、極力多くの不特定多数に来店してもらいたいと願う商売では、決して売上げに貢献することはない。

場合によっては、エスカレーターを設置するなど追加投資をしてでも、到達容易性を確保することが、店舗立地改善のポイントである。

 

さて、立地について、3つの道筋を示し、8つの評価ポイントを挙げたが、これらはいずれも主要なことであり、必ずチェックしなければならないことである。逆に言えば、こうした立地のポイントを無視して店舗を出せば、失敗する憂き目を見る可能性大である。

 

 

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