八百幸成城店の商圏、現在と未来

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八百幸成城店の商圏、現在と未来

商圏,食品商業

2017/11/30 八百幸成城店の商圏、現在と未来

商圏分析ソフト【統計てきめん2プレミア】が迫る八百幸成城店の商圏、現在と未来

八百幸成城店が、2017年11月8日にオープンした。

 

 

1商圏分析ソフト【統計てきめん2プレミア】で調べた商圏ポテンシャルと将来性。

2アクセス面

3対競合面

4なぜ、ここで実験するのかの推理

5将来的に、応用できるか

 

 

 

1商圏ポテンシャルと将来性

高密度、高収入、増加中ですごい地域

八百幸成城店の周辺2kmは、東京世田谷区と調布市にまたがっている。世田谷区と言えば、都内でも有数の所得水準を誇る。高収入で(注1)良品質、良デザイン、良感覚な商品にはことさら選別眼が働く、いわば一番、一流のものを見抜く消費者が多い。そこで店をオープンするにはオープンする側にも余程の「覚悟」が必要となる。

 

1:世田谷区の平均所得5449736円 市区町村ランキング10位 (ウェブサイト「年収ガイド 全国市区町村 所得(年収)ランキング 2016年」より)平均所得は「市区町村別の課税対象所得の総額を納税者数で除算した額」とある。

 

とまれ、冷静に商圏を見ていこう。

%e5%9b%b31図1

 

1は、物件の回り3km圏にあるスーパーストアをそれぞれ半径500m円で描いたもので、ほぼ隣同士で出店している場合は濃い色にしてある。明確にわかることは、500m半径円でさえ、これほどの重なりになっている。つまり、右半分にあたる世田谷区側も、左半分にあたる調布市側もすでにスーパーストアの激戦状態と言える。ただ、物件から1kmまでは、そういった重複のない空白地帯が存在する。

しかし、その理由は下図を見れば明らかだ。

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商圏分析ソフト【統計てきめん2プレミア】のグリッド画面

 

そこだけ、人口が少ないということに尽きる。足元の商圏人口が少なければ、出店を敬遠することは自然なである。

今は、直近のスーパーストアは、物件の北300mにある西友だけである。

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商圏分析ソフト【統計てきめん2プレミア】のグリッド画面

上図では、2010年に対する2015年の人口がほぼ全体的に、特に世田谷区側が伸びていることがわかる。10%増、20%増も珍しくない。日本全国の平均で、人口が減少に向かっている時代にこの傾向はいかにこの商圏が有望であるかを示している。

 

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上図は商圏分析ソフト【統計てきめん2プレミア】を用いて、2km圏内で人口ピラミッド(年齢別人口)を描いたものであるが、各年齢の人口の割合は、東京都の平均とほぼ一致する。

 

 

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しかし、同様に、商圏分析ソフト【統計てきめん2プレミア】で調べた上図の経年推移をみると、周辺の人口は、増加の一途を辿っていたことがわかる。その割に、商店数や、小売業年間販売額は減少しており、この地域が慢性的な“需要過多・供給不足”の状態に陥っていたことがわかる。

 

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上図には、商圏分析ソフト【統計てきめん2プレミア】で映し出した年収別世帯数の分布はおおよそ東京都平均に近いものの1500万円以上においてはそれを上回っている。

 

一方、下図は商圏分析ソフト【統計てきめん2プレミア】を使って2010年以前の状況から、その後の人口予測をしたものであるが、2015年には、2km人口が164,811になることが予測されていたが、実際は165,010人と殆ど合致する。予測通りの伸長をしている。さらに、この予測では、さらに今後の増加も示唆していることは驚きに値する(通常の商圏では遅くとも20年以降は減少に転じる傾向にある)。

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翻って、物件の1km圏の人口と世帯数は、36711人、15920世帯である。単身世帯を除くと10393世帯、これに先ほどの所得544万円と東京都の平均的エンゲル係数26.6%(注2)を掛け合わせると年間150億円を軽く超える(注3)。

これは、平均的スーパーストア年商のほぼ10倍の需要があることを示している。

まとめると、八百幸成城店が相手にするマーケットは、巨大なマーケットできわめて良質な顧客を含み、しかも刻々と膨張していくというかなり珍しく有望な商圏であると言える。

 

2:ウェブサイト「都道府県とランキングで見る県民性」エンゲル係数より

310,393×5449736×0.2661503908万円

 

 

 

2アクセス面

鉄道と鉄道の間 本当は難しい場所

しかし、立地上問題がないわけではない。物件の北1.5kmには、ほぼ東西に京王線が走っており、しかも、駅近にはスーパーストアが複数出店している。

また、南1.2kmにも小田急線があり同様のていを成している。

したがって、物件の南北への商圏拡大はほぼ望み薄と言えよう。

また、西200mには「NTT東日本などの巨大な敷地(約65000坪)」があり、東200mにも「総合工科高(約17000坪)」があり、東西方向への商圏拡大に制約を与えている。

そもそも、駅と駅の中間地点は、商圏形成が難しい立地である。なぜなら、駅に近いところに住んでいる人はその駅に向かう習慣ができており、その反対方向(物件へ向かう方向)には向かいにくいからである。

通常なら、危険な立地と呼ばざるを得ない。

 

3対競合面

現在、地図で確認できるだけでも、スーパーストアは3km圏内で50店、2km圏内で27店あるが、1km圏内は西友調布入間店だけとなっている。その西友は、八百幸成城店と同じ道路の北200mに位置する。駐車場は27台(八百幸は24台)、売場面積は997㎡(同962㎡)であり、立地上は大きな違いがない(注4)。

したがって、互いに年収別のどのあたりを顧客ターゲットとして考えているかによって、品揃え、価格帯、品質他のサービスを変えていくことが可能であり、競合というよりも市場拡大する関係にあると見られる。

ただし、この地域(商圏)では、多少のデフレ経済の影響を受けつつも 安さが勝負 品質は2の次と言った商売は受け入れられないことは確かだ。

 

4:八百幸成城店は、店の1F部分を駐車場とするピロティ形式で、2Fが売場であるが、エレベータ、エスカレータ(上り・下り)があるので、顧客への利便性に問題はない。

 

 

4なぜ、ここで実験するのかの推理

さて、1の条件を満たす市区はどこにあるだろうか?とりわけ、八百幸成城店が意識しているであろう“平均所得(年収)”の高いところはどこであろうか?

1位:港区、2位:千代田区、3位:渋谷区、6位:中央区、7位:文京区、8位:目黒区、12位:新宿区、13位:武蔵野市、14位:品川区、15位:杉並区、18位:国立市、20位:三鷹市、・・・

20位以内に東京都内が世田谷区(11位)を含め、12市区、実に人口の単純合計だけで348万人である(注5)。

ただし、人口密度においては、ほぼどの市区も10000人から2000人/㎢台にあるものの、千代田区は5000人/㎢ほどしかないので除外しても良いだろう(注6)。

最後に、人口伸び率だが、千代田区を含めこれら東京都内の市区はすべて増加傾向にある(注7)。同じ市区でも部分的には減少がみられても、探せば増加傾向を示す地域が確実にあるということだ。

とはいえ、都心での空間的余裕は少なく小型店でも300坪の物件を探すことは容易ではない。

 

5:平成2811日住民基本台帳人口・世帯数、平成27年(11日から同年1231日まで)人口動態(市区町村別)(日本人住民)

6:ウェブサイト 「全国の市区町村の人口・面積・人口密度ランキング」2017101日現在の自治体構成 (最新)791,23,744,183村)より

7:平成27国勢調査(総務省統計局)都道府県・市区町村別主要統計表

 

 

5将来的に、応用できるか

日本のGDPは97以来20年間停滞したままであり、一般消費者の購買力は著しく下がっている。これは全国的、かつ地方の商業地においては壊滅的ダメージを与えている。

その中で、経済的勝ち組、負け組の選別が進行しており、特に人々が東京へと回帰している事実もうかがわれる。ということは、安さ・コスパが店選択の大きな理由とされたこの20年と違う新たなコンセプト打ち出しに共鳴する消費者が必ずいることを示している。

仮に、日本経済が2020年頃までに本格回復するのであれば、八百幸のような先行者はノウハウの蓄積が速くなるとともに、出店を拡げていく余地がじゅうぶんあると言える。

すでに、分析したように、少なくとも都内には、高密度・高収入・人口増加中の地域が増えており、都内でさえ、世田谷区を含め11市区での展開が見えていると言える(下表)。

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ただし、さらに日本のデフレ経済が悪化すれば、こういった客層の減少がさらに進み、立地の厳しい店から順に難しい舵取りを余儀なくさせるであろう。

 

 

 

 

 

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