048-711-7195
107-0062 東京都港区南青山2-2-15-942
月~金 9:00~18:00
アルコ越谷店が広域から呼べるか
商圏分析の方法14 アルコ越谷店が広域からお客を呼べるか
商圏分析の方法-A
越谷という商圏
「フードスクエアカスミ アルコ越谷(以下「アルコ」と呼ぶ)」の周辺3km圏(おおむね越谷市の南半分に当たる)に出店している食品スーパーの配置(図1)を見ると、
自社「カスミ」または「フードスクエア カスミ」が4店、その他が29店。アルコと合わせ34店がしのぎを削る「大激戦地である」。
商圏分析の方法-B
一方、その人口分布を見れば(図2)
人口3000人以上の4次メッシュ(約500m四方)が20以上も含まれ、東京都内に匹敵するほどひじょうに人口密度の高い地域であるることがわかる。総計193,980人、79,060世帯(内単身世帯は24,635)になる。1スーパー当たりの人口は、5,705人だ。
仮に、単純計算で1人当たり月間15,000円を使ってくれれば、月8500万円強(年換算10億円強)の売上を確保できることになる。
商圏分析の方法-C
商圏は、南北を貫く東武鉄道、およびその各駅に沿って人々が分布しており、とりわけ南越谷駅は東西に走るJR武蔵野線と交差し乗換ができる交通利便性があるため、その周辺は計画的に宅地化され、きわめて人々の集中度が高い。通勤通学のために鉄道を利用している人の割合は42%にも及び(図3)、
その主な目的方向は“東京”である。
商圏分析の方法-D
年齢を世代分布で見ると(図4)、
団塊ジュニア世代(ここでは、35~39歳)が最も多く、その上の層も含め埼玉県の平均を大きく上回っている。これは、地域(周辺3km圏)への転入が多いことを暗示している。
商圏分析の方法-E
これは、人口の経年推移(図5)で裏付けられる。人口が増える一方、小売商店数は減少し続けており、その年間販売額もやや減少傾向にあることもわかる。
商圏分析の方法-F
人口の将来はどうか。これをコーホート変化率法(注1)を用いて予測してみると(図6)、2025年までは人口は増え続け、それ以降に減少に入ることがわかる。
商圏分析の方法-G
地域の行動ベクトル(注2)はどうか。
ほとんどどこも東京方面を向かっている。これは、地域の実態と照らし正確なシミュレーションであり、有職者・就学者・消費者はほぼ毎日この方向、「東京」を意識している。
立地の難しさ
アルコの出店物件は、ほぼ居抜きである。イトーヨーカ堂が営業していたが2009年に閉店し、その翌年ミスターマックスが建物を受け継いだ。あしかけ7年営業したが閉店。その後、アルコの出店となる。
どうして、ここは次々と入れ替わるのであろうか?
答えは簡単である。立地が悪いからである。
第一に、商圏が狭い。行動ベクトルからすれば、駅より北側の人々が主たる顧客(「北側顧客」と呼ぶ)が来店することを期待したい。しかし、駅から200m以上も南にまで歩かなければならないという不便さから、駅から降りて「帰りに気軽に寄って行く」という動機を失わせる。つまり、北側顧客は商圏外である。では、南側はどうか?これまた、商圏は、越谷駅と南越谷駅の中間線までしか伸びようがない。となると、南側の商圏は500mしかない。鉄道の西側は、鉄道自体が来店障害となり、よほどのことがない限り来店しない。つまりは、商圏外である。最後に、東側はどうか。具体的には、日光街道より東側である。ここもほとんど絶望的である。徒歩、自転車、バスで南越谷方面へ抜けてしまうからである。以上はいずれも徒歩・自転車商圏であるが、車で来店するような場合はどうか?つまり、車商圏である。
残念ながら、南北に通じる日光街道からは、離れすぎていてまったく見えないばかりか、仮に物件に向かって進んだとしても、カーナビなしには簡単に接近できない。道幅はどれも狭く、一方通行矢印があちらこちらにあるからである。
したがって、“広域からの顧客来店は期待できない“。そういう立地にアルコは出店したことになる。
ちなみに、越谷駅の東口再開発でできた「越谷ツインシティ」には、フードスクエア カスミがオープンし、高い売上を獲得したようだが、上記の説明でもわかるように、今まで買物不便で困っていた「北側顧客」の「不便」を「便利」に変えたのだから当然とも言える。
今後のアルコ
○徒歩客は(じゅうぶん)来ない。○広域からも来られない。
これらのネガティブな立地条件をいかにしたら克服できるだろうか?
これで、日光街道を走るドライバーが店の存在に気付くようになり来店可能性は高まる。
マップコード(注3)とは、特定の地点をコード化したものである。このコードをカーナビの目的地として登録してもらえば、いつでも安心して来店してもらえる。配布チラシには必ず記載しておくことだ。ちなみに、アルコの地点は3500030*22である。
これで、チラシを見た主婦が車で行きやすくなるだろう。
もちろん、すでにお客になってくれているかもしれない。でも、お客の気持ちは変わりやすいもの。しっかりと常々押えておくことが肝要。また、若い世代では新聞離れが進んでいるので、一軒一軒を訪ね歩いて手渡し配布する努力があればなお良し。
商圏の基本は足元に住んでいる人々がどれほど頻繁に来てくれるかだ。
店長が、この難しい立地条件、いかに乗り越えて予算達成をしていくか、見守っていきたい。
2333文字
注1 コーホート変化率法 5歳刻みの年齢で人口を4期分用意して、それぞれの増減率を3つづつ算出し、その4番目の増減率を予測し、5期目の人数を予測する。これらを合計して、順次人口を予測していくやり方。
注2 行動ベクトル そこにいる人々が広域(25km)に購買するとしたらどの方向に向かっているかシミュレーションし矢印にして表示したもの
注3 マップコード 株式会社デンソー http://www.e-mapcode.com/whats.html
23/06/12
22/05/20
21/12/30
21/08/04
21/08/03
21/08/01
21/07/31
21/07/10
21/07/09
21/07/08
TOP
商圏分析の方法14 アルコ越谷店が広域からお客を呼べるか
商圏分析の方法-A
越谷という商圏
「フードスクエアカスミ アルコ越谷(以下「アルコ」と呼ぶ)」の周辺3km圏(おおむね越谷市の南半分に当たる)に出店している食品スーパーの配置(図1)を見ると、
自社「カスミ」または「フードスクエア カスミ」が4店、その他が29店。アルコと合わせ34店がしのぎを削る「大激戦地である」。
商圏分析の方法-B
一方、その人口分布を見れば(図2)
人口3000人以上の4次メッシュ(約500m四方)が20以上も含まれ、東京都内に匹敵するほどひじょうに人口密度の高い地域であるることがわかる。総計193,980人、79,060世帯(内単身世帯は24,635)になる。1スーパー当たりの人口は、5,705人だ。
仮に、単純計算で1人当たり月間15,000円を使ってくれれば、月8500万円強(年換算10億円強)の売上を確保できることになる。
商圏分析の方法-C
商圏は、南北を貫く東武鉄道、およびその各駅に沿って人々が分布しており、とりわけ南越谷駅は東西に走るJR武蔵野線と交差し乗換ができる交通利便性があるため、その周辺は計画的に宅地化され、きわめて人々の集中度が高い。通勤通学のために鉄道を利用している人の割合は42%にも及び(図3)、
その主な目的方向は“東京”である。
商圏分析の方法-D
年齢を世代分布で見ると(図4)、
団塊ジュニア世代(ここでは、35~39歳)が最も多く、その上の層も含め埼玉県の平均を大きく上回っている。これは、地域(周辺3km圏)への転入が多いことを暗示している。
商圏分析の方法-E
これは、人口の経年推移(図5)で裏付けられる。人口が増える一方、小売商店数は減少し続けており、その年間販売額もやや減少傾向にあることもわかる。
商圏分析の方法-F
人口の将来はどうか。これをコーホート変化率法(注1)を用いて予測してみると(図6)、2025年までは人口は増え続け、それ以降に減少に入ることがわかる。
商圏分析の方法-G
地域の行動ベクトル(注2)はどうか。
ほとんどどこも東京方面を向かっている。これは、地域の実態と照らし正確なシミュレーションであり、有職者・就学者・消費者はほぼ毎日この方向、「東京」を意識している。
商圏分析の方法-F
立地の難しさ
アルコの出店物件は、ほぼ居抜きである。イトーヨーカ堂が営業していたが2009年に閉店し、その翌年ミスターマックスが建物を受け継いだ。あしかけ7年営業したが閉店。その後、アルコの出店となる。
どうして、ここは次々と入れ替わるのであろうか?
答えは簡単である。立地が悪いからである。
第一に、商圏が狭い。行動ベクトルからすれば、駅より北側の人々が主たる顧客(「北側顧客」と呼ぶ)が来店することを期待したい。しかし、駅から200m以上も南にまで歩かなければならないという不便さから、駅から降りて「帰りに気軽に寄って行く」という動機を失わせる。つまり、北側顧客は商圏外である。では、南側はどうか?これまた、商圏は、越谷駅と南越谷駅の中間線までしか伸びようがない。となると、南側の商圏は500mしかない。鉄道の西側は、鉄道自体が来店障害となり、よほどのことがない限り来店しない。つまりは、商圏外である。最後に、東側はどうか。具体的には、日光街道より東側である。ここもほとんど絶望的である。徒歩、自転車、バスで南越谷方面へ抜けてしまうからである。以上はいずれも徒歩・自転車商圏であるが、車で来店するような場合はどうか?つまり、車商圏である。
残念ながら、南北に通じる日光街道からは、離れすぎていてまったく見えないばかりか、仮に物件に向かって進んだとしても、カーナビなしには簡単に接近できない。道幅はどれも狭く、一方通行矢印があちらこちらにあるからである。
したがって、“広域からの顧客来店は期待できない“。そういう立地にアルコは出店したことになる。
ちなみに、越谷駅の東口再開発でできた「越谷ツインシティ」には、フードスクエア カスミがオープンし、高い売上を獲得したようだが、上記の説明でもわかるように、今まで買物不便で困っていた「北側顧客」の「不便」を「便利」に変えたのだから当然とも言える。
今後のアルコ
○徒歩客は(じゅうぶん)来ない。○広域からも来られない。
これらのネガティブな立地条件をいかにしたら克服できるだろうか?
これで、日光街道を走るドライバーが店の存在に気付くようになり来店可能性は高まる。
商圏分析の方法-G
マップコード(注3)とは、特定の地点をコード化したものである。このコードをカーナビの目的地として登録してもらえば、いつでも安心して来店してもらえる。配布チラシには必ず記載しておくことだ。ちなみに、アルコの地点は3500030*22である。
これで、チラシを見た主婦が車で行きやすくなるだろう。
もちろん、すでにお客になってくれているかもしれない。でも、お客の気持ちは変わりやすいもの。しっかりと常々押えておくことが肝要。また、若い世代では新聞離れが進んでいるので、一軒一軒を訪ね歩いて手渡し配布する努力があればなお良し。
商圏の基本は足元に住んでいる人々がどれほど頻繁に来てくれるかだ。
店長が、この難しい立地条件、いかに乗り越えて予算達成をしていくか、見守っていきたい。
2333文字
注1 コーホート変化率法 5歳刻みの年齢で人口を4期分用意して、それぞれの増減率を3つづつ算出し、その4番目の増減率を予測し、5期目の人数を予測する。これらを合計して、順次人口を予測していくやり方。
注2 行動ベクトル そこにいる人々が広域(25km)に購買するとしたらどの方向に向かっているかシミュレーションし矢印にして表示したもの
注3 マップコード 株式会社デンソー http://www.e-mapcode.com/whats.html