立地指数の出し方(売上予測を重回帰分析で行う手法9)

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立地指数の出し方(売上予測を重回帰分析で行う手法9)

売上予測

2017/11/05 立地指数の出し方(売上予測を重回帰分析で行う手法9)

売上予測の手法 その5 重回帰分析を使った売上予測 9 立地指数

 

立地条件を数値化する時の難しい点は、ある程度の主観性が残ってしまうことです。

例えば、視界性評価。これは売上予測になくてはならない重要な要素です。

「(物件を)探さなくても自然に見えてくる場合」:3

「(物件を)探しているとやっと見えてくる場合」:2

「(物件を)探していても直前になるまで見えない場合」:1

一見すると、この定義で良いような気がします。しかし、「探している・探していない」の違い、「自然に、自然ではなく」の違い、肝心の「見える・見えない」の違い、

そして、どこから見えるのか、どのように見えるのかというような主体の状況もあいまいです。

これを、前者で「TGから見える」としてみても、「TGのどこから見える」のかがはっきりしません。

ロードサイド店舗で、車ドライバーからの視界性評価の場合は、「物件から100m離れた時点で、ドライバーの位置(高さを含む)から、進行方向に目線を向けた時にどのように見えるか」というような定義をしても、「はっきりと自然に視界に入って見える」:「視界に入っているものの部分的にしか見えない」:「視界には何も見えない」で、3段階評価することができそうです。しかし、ここでもまた、「自然と」、「部分的」、「何も」それぞれが曖昧で主観的な表現です。

そのうえ、視界性評価には、「何かに遮られたりして見えなくなる」現象、これを「視界障害」と呼んでいますが、これだけが見えなくする要因ではありません。

つまり、人間の視知覚は、「見えているはずなのに、見えていない」という一見すると不思議な現象も含んでいます。

 

例えば、同系色の色が、看板や店の周辺にあるばあいは、その店の看板や店自体を知覚することがほとんどできなくなります。これを「視界融合」と呼びます。

視界融合は、「対象となる物件とその周りにあるさまざまなものが、同じモードになると、物件のみの知覚ができない」と 意味を拡張しても成り立ちます。

例えば、形。形が四角形ばかりの背景で、1つの台形は知覚できません。○ばかりの背景で楕円は知覚できません。

また、これは動きにも当てはまり、動きがある背景の中で同じような動きをする特定の対象を知覚することができないのです。

 

さらに、人間の視知覚は、強い刺激を放つ背景の中で、弱い刺激のモノは見えなくなります。これはハロー効果とも呼ばれます。立地では「視界退行」と呼びます。

強い刺激とは、大きな看板、動いている看板、彩度の高い看板、有名な看板、道路案内や道路標識などを言います。これらはその周りにある小さな看板、止まっている看板、彩度の低い看板、有名でない看板、道路標識ではない看板などを見えなくさせます。

 

これほど、視界性評価という項目を、説明変数に取り込むことが難しいものはありません。

とはいえ、実際に撮った写真を元にして、どういう風に見えると、「見える」と言って良いかなど、具体例を挙げて比較することで、ある程度満足のいく指標となります。

 

もちろん、視界障害・視界融合ぐらいは、機械を使って、客観的に数値化できると良いのですが・・・・売上予測に役立つ計測器はなかなかありません。

 

立地指数で忘れてはいけないものは、IN/OUT評価ないし間口評価です。これも売上予測になくてはならない重要な要素です。「店または店のある敷地(駐車場)」に入り易いか入りにくいか、という点などを評価します。

店前道路で、店がある側(店側)と中央分離帯より向こう側(反対側)それぞれの車線から、入り易いかどうかを判断するばかりではなく

もし、交差点角地にあるなら、さらに2方向の表かもしなければなりません。

 

以上のように、立地評価をする場合、1個の変数で済むことはありません。最終的に、立地評価が1つの変数となることはあっても、その過程でいくつもの項目をチェックしなければなりません。そういういくつもの評価をどうしたら1つになるかといえば、前回書いたように、「線形変換」をしなければいけません。ウェイトを掛けて合計する作業です。

いずれにせよ、ウェイトをいくつにすべきがどうかは、残差分析に即して考えるべきです。つまり、残差の大きい店ほど立地評価が高く、マイナスで大きいほど低くなるという結果になるようウェイトは調整しても良いでしょう。ただし、この調整は あまり意図的にしてはならず、できるかぎり常識の範囲でとらえなければなりません。

そうでなければ、売上予測モデルの修正済み相関係数が高くても、いざ売上予測をするときにぜんぜん精度が低いというような結果を産むからです。これではせっかくの立地評価も無駄になります。

 

20140802-05

 

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