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稲毛海岸:ヤオコー等がある地域
稲毛海岸:ヤオコー等がある地域の商圏分析・立地分析
ヤオコー3店(稲毛海岸店・ミノリア稲毛海岸店・検見川浜店)とマリンピアは互いに1km前後ときわめて近接しているので、そのほぼ中心から2km圏を当該地域とし、分析した。
商圏の特徴[人口増加が止まり、高齢化が始まった中高層の住宅ビル街]
■位置関係
当該地域の南にマリンピア、北にヤオコー稲毛海岸店(開店:平成24年2月)、東にヤオコーミノリア稲毛海岸店(同:26年5月)、西にヤオコー検見川浜店(同27年7月)が位置している。
■人口分布
当該地域での人口はで、134千人ときわめて多い(図2)。これは最寄りの大都市駅、千葉駅2km圏の104千人より多く、津田沼駅2km圏の147千人に迫ります。
人口の分布は、マリンピアのある稲毛海岸駅の南側、および検見川浜駅の南北に集中しており、ここを離れると少なくなります。
■年齢別人口と経年推移
年齢別人口の構成比は、千葉県平均とほぼ同じですが、60才以上の高齢者、団塊の世代が男女ともやや高く、反対に10才代後半から20才代にかけてやや少ないことがわかります(図3)。
経年推移を見ると、人口は2005年をピークに減少に転じています。一方で、世帯数は増え続けるという単身化が始まっており(図4)、
1人世帯は県の平均を2ポイント上回っております(図7)。
また、小売商店数はすでにずっと減少し続け、それに伴って販売額も減少してきましたが、2007年になって増加に転じています(図4)。
■人口予測
2010年時点での人口予測は、徐々に減少していくことを示しています(図5)。すでに人口増にブレーキがかかっているということです。
■年収別世帯数
所得面を見ると、千葉県平均とほぼ同じ分布ではあるものの、年収400万円未満の世帯数の比率が千葉県平均と比べやや多い状況が伺われます(図6)。これは既述の単身化に伴う現象と考えることができます。
■住宅
住宅の所有関係別を見ると、「持ち家」の55.5%の次に「公営公社等の借家」が25.1%ときわめて多く、これは「民営の借家」が多い全国平均や千葉県平均との顕著な違いを示しております(図9)。
また、建て方別では、「共同3-5階建て」が最も多く39.8%、次が「共同11-14階建て」の19.6%で、この2つが6割を占めていることはきわめて珍しいことです(図10)。
■通勤通学
交通手段の1位は鉄道48%であり、2位の自転車17%、4位のバス12%を合わせて考えるならば、駅利用者が圧倒的に多いことがわかり、当該地域が東京都心に就業する人々のベッドタウンになっていることを如実に示しております。
□統計が示す問題点
統計と地図から読み取れるリスクは3つがあります。
1)人口は高齢化、単身化が始まっており、減少し始めています。
2)2つの駅前に既に大きな商業施設がありじゅうぶんな供給があります。
3)その結果、住民は駅を中心とした日常行動を行っており、ヤオコー3店はそれらの駅から離れています。
□家計調査が示すポテンシャル
最新の家計調査によると、2人以上の世帯が外食以外に支出する食料費は月58169円です(注)。仮に、スーパーマーケットの目標年商が12億円、その全てを食料品で稼ぐとし、また、各世帯が1つの店だけで購入するものをすると、必要な商圏世帯数はどれくらいになるでしょうか?12億円÷12÷58169円=で、1719世帯となります。つまり、2人以上の世帯が2000戸あれば足りることになります。
調べてみると、当該地域での2人以上の世帯数は、2km圏で31,497あり、1km圏に絞っても、8580世帯あります。つまり、現状4店分以上の需要がじゅうぶんあることになります。
□立地の強み
各店が周辺の需要を取り込むだけの良好な立地にあるかどうかにその収益性がかかっています。
出店に当たって、全555戸のマンションおよび265区画の戸建て住宅が隣接して計画されていました。800戸の新たな需要が開店とほぼ同時に期待できたのですから、このこと自体立地上の大きなプラス点です。実際、統計上も直近までに2626人の住民が増えています(図11)。
ところで、この店は「PC由来のTG」と言える立地にあり、きわめて優れた場所です。
人々が密集していて、その周りが囲まれているような地域をPC(ポテンシャルクラスター)と呼ぶのですが、当該地域は、三方を河川と海によって囲まれており、まさにPCそのものです。そうして、このPCから人々が出る際に最も集中する場所が「PC由来のTG」ですが、店は国道14号線とのほぼ交差点角地にあり、この条件を満たします。
一方、こちらの店は、当該地域PCから総武線の稲毛駅方面へ行き交う際の最大の交差点に面しています。ここも「PC由来のTG」と言える立地です。
道路幅が30m以上の大きな生活道路に面し、反対側車線からも自動車INが可能であり、駐車台数も116台確保できています。
この店の周囲500mおよび検見川浜駅の南側は当該地域内ではきわめて戸建て、集合住宅が密集しているにも関わらず、スーパーマーケットが1店もない状況で、市場は無風状態と言えるでしょう。
稲毛海岸駅は、当該地域内の南半分の住民が利用すると考えられる最大の駅です。店はその直近にあり、徒歩・自転車・バスでの来店はもとより、1750台規模の駐車場を有し自動車来店も期待できる立地です。
□まとめ
ヤオコー3店の一見無謀とも思える集中出店ですが、いずれも自動車・自転車来店を期待した好立地を押えていることは確かです。地域の利便性が高まり、人口の自然減や高齢化を上回る新たな世帯の増加、需要増加が実現できる限り投資効果はじゅうぶん期待できます。
一方、既存のマリンピアは、これら3店に対して立地上の優位性はいささかも揺るぎません。したがって、3店からの影響は理論上きわめて軽微と考えられます。
注 家計調査(総務省統計局2015年7月31日公表、6月調査)
23/06/12
22/05/20
21/12/30
21/08/04
21/08/03
21/08/01
21/07/31
21/07/10
21/07/09
21/07/08
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稲毛海岸:ヤオコー等がある地域の商圏分析・立地分析
ヤオコー3店(稲毛海岸店・ミノリア稲毛海岸店・検見川浜店)とマリンピアは互いに1km前後ときわめて近接しているので、そのほぼ中心から2km圏を当該地域とし、分析した。
商圏の特徴[人口増加が止まり、高齢化が始まった中高層の住宅ビル街]
■位置関係
当該地域の南にマリンピア、北にヤオコー稲毛海岸店(開店:平成24年2月)、東にヤオコーミノリア稲毛海岸店(同:26年5月)、西にヤオコー検見川浜店(同27年7月)が位置している。
■人口分布
当該地域での人口はで、134千人ときわめて多い(図2)。これは最寄りの大都市駅、千葉駅2km圏の104千人より多く、津田沼駅2km圏の147千人に迫ります。
人口の分布は、マリンピアのある稲毛海岸駅の南側、および検見川浜駅の南北に集中しており、ここを離れると少なくなります。
■年齢別人口と経年推移
年齢別人口の構成比は、千葉県平均とほぼ同じですが、60才以上の高齢者、団塊の世代が男女ともやや高く、反対に10才代後半から20才代にかけてやや少ないことがわかります(図3)。
経年推移を見ると、人口は2005年をピークに減少に転じています。一方で、世帯数は増え続けるという単身化が始まっており(図4)、
1人世帯は県の平均を2ポイント上回っております(図7)。
また、小売商店数はすでにずっと減少し続け、それに伴って販売額も減少してきましたが、2007年になって増加に転じています(図4)。
■人口予測
2010年時点での人口予測は、徐々に減少していくことを示しています(図5)。すでに人口増にブレーキがかかっているということです。
■年収別世帯数
所得面を見ると、千葉県平均とほぼ同じ分布ではあるものの、年収400万円未満の世帯数の比率が千葉県平均と比べやや多い状況が伺われます(図6)。これは既述の単身化に伴う現象と考えることができます。
■住宅
住宅の所有関係別を見ると、「持ち家」の55.5%の次に「公営公社等の借家」が25.1%ときわめて多く、これは「民営の借家」が多い全国平均や千葉県平均との顕著な違いを示しております(図9)。
また、建て方別では、「共同3-5階建て」が最も多く39.8%、次が「共同11-14階建て」の19.6%で、この2つが6割を占めていることはきわめて珍しいことです(図10)。
■通勤通学
交通手段の1位は鉄道48%であり、2位の自転車17%、4位のバス12%を合わせて考えるならば、駅利用者が圧倒的に多いことがわかり、当該地域が東京都心に就業する人々のベッドタウンになっていることを如実に示しております。
□統計が示す問題点
統計と地図から読み取れるリスクは3つがあります。
1)人口は高齢化、単身化が始まっており、減少し始めています。
2)2つの駅前に既に大きな商業施設がありじゅうぶんな供給があります。
3)その結果、住民は駅を中心とした日常行動を行っており、ヤオコー3店はそれらの駅から離れています。
□家計調査が示すポテンシャル
最新の家計調査によると、2人以上の世帯が外食以外に支出する食料費は月58169円です(注)。仮に、スーパーマーケットの目標年商が12億円、その全てを食料品で稼ぐとし、また、各世帯が1つの店だけで購入するものをすると、必要な商圏世帯数はどれくらいになるでしょうか?12億円÷12÷58169円=で、1719世帯となります。つまり、2人以上の世帯が2000戸あれば足りることになります。
調べてみると、当該地域での2人以上の世帯数は、2km圏で31,497あり、1km圏に絞っても、8580世帯あります。つまり、現状4店分以上の需要がじゅうぶんあることになります。
□立地の強み
各店が周辺の需要を取り込むだけの良好な立地にあるかどうかにその収益性がかかっています。
出店に当たって、全555戸のマンションおよび265区画の戸建て住宅が隣接して計画されていました。800戸の新たな需要が開店とほぼ同時に期待できたのですから、このこと自体立地上の大きなプラス点です。実際、統計上も直近までに2626人の住民が増えています(図11)。
ところで、この店は「PC由来のTG」と言える立地にあり、きわめて優れた場所です。
人々が密集していて、その周りが囲まれているような地域をPC(ポテンシャルクラスター)と呼ぶのですが、当該地域は、三方を河川と海によって囲まれており、まさにPCそのものです。そうして、このPCから人々が出る際に最も集中する場所が「PC由来のTG」ですが、店は国道14号線とのほぼ交差点角地にあり、この条件を満たします。
一方、こちらの店は、当該地域PCから総武線の稲毛駅方面へ行き交う際の最大の交差点に面しています。ここも「PC由来のTG」と言える立地です。
道路幅が30m以上の大きな生活道路に面し、反対側車線からも自動車INが可能であり、駐車台数も116台確保できています。
この店の周囲500mおよび検見川浜駅の南側は当該地域内ではきわめて戸建て、集合住宅が密集しているにも関わらず、スーパーマーケットが1店もない状況で、市場は無風状態と言えるでしょう。
稲毛海岸駅は、当該地域内の南半分の住民が利用すると考えられる最大の駅です。店はその直近にあり、徒歩・自転車・バスでの来店はもとより、1750台規模の駐車場を有し自動車来店も期待できる立地です。
□まとめ
ヤオコー3店の一見無謀とも思える集中出店ですが、いずれも自動車・自転車来店を期待した好立地を押えていることは確かです。地域の利便性が高まり、人口の自然減や高齢化を上回る新たな世帯の増加、需要増加が実現できる限り投資効果はじゅうぶん期待できます。
一方、既存のマリンピアは、これら3店に対して立地上の優位性はいささかも揺るぎません。したがって、3店からの影響は理論上きわめて軽微と考えられます。
注 家計調査(総務省統計局2015年7月31日公表、6月調査)