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共同出店はファストフード店が最適
「1週間でできる立地判定」【第7回】共同出店はファストフード店が最適
10年以上前は、マクドナルドハンバーガーやミスタードーナツ、吉野家などのファストフード店の立地とコンビニの立地は全く違うと言われていました。
それは、多分、客層が異なるからだと私は考えていました。ファストフード店の客は、文字通り「早く食べたい」客です。つまり、「早い食事提供」が何より優先されます。これは立地に反映すると、誰もが、すぐに行ける場所ということになります。
すなわち、TG(交通発生源)の近くです。こういう場所であれば、誰にとっても早くその目的を達せられます。ファストフード店は「店を見つけたから来店する」という衝動来店の客が大半でした。
しかし、当時のコンビニにはそれほどの速さは要求されていませんでした。速さより、日常で必要なもの、不可欠なものを手に入れることができることが優先されていたからでしょう。コンビニに揃っている3万以上のアイテムは、それぞれが、お客にとって、「来店目的」になっていたのです。ですから、多少不便な立地に店があったとしても、お客の「目的」を達成することができれば、コンビニの目的は達成され売上も良かった時代でした。
しかし、10年前あたりから、状況は一変し始めました。
それは、自社競合、他社競合の激化です。その頃、もうコンビニは飽和状態と言われました。そして、事実、多くの店の売上が急速に落ちて行きました。そして、いくつかのチェーンは縮小撤退を、あるいは合併統合を余儀なくされていきました。この辺りの事情を本誌の2004年4月号観天望気にて「国内1万店やアジア1万店に沸いた03年度だったが、終わってみれば上位グループでさえ今期の増店予算をクリアしたところがどこにもない」と時の編集長が嘆いています。
そして、もちろんその後、収益力を上げるための施策、改造はもとより、各コンビニ本部は新業態を次々と開発してきたのは多くの人の知る通りです。
では、立地はどうなったでしょう。
もちろん、今までの延長線上に、立地を求めていっただけではありません。あらゆる立地が試されたようです。
そこでわかってきたことは、立地の悪いところは。やっぱりダメだということです。
ただ単に周辺に人口が多いからとか、そうした甘い見方だけで店を開けると痛い目に会うという当然の教訓を得ながら、消えるべき店はどんどん消え、立地上優れた店舗だけが残るという状況になりました。
もちろんリロケーション(店舗移設)を、少しでも余裕があるどのオーナーも考え、実行に移していきました。
その結果、どうなったか。コンビニとしても、ファストフード店にきわめて近い場所が良い立地ということが気づかれ始めたようです。
すなわち、そこはTG(交通発生源)の周辺です。具体的には、一日を通して利用客の多い駅周辺、大型交差点、スーパーマーケットや量販店、ショッピングモールなどの商業施設、大学、公園、病院、諸役所などを指します。こうしたTGまたはTG同士を結ぶ動線上に立地したコンビニが多く残っています。
また、住民や就業者などが集中して住むような高層ビルや新興住宅地の出入口、いわゆるPC(ポテンシャルクラスター)の出入口付近がコンビニにとっても絶好の立地であることが示されました。
なぜ、コンビニの立地としてファストフードの立地が適切になるようになったのでしょう。それは、コンビニが進めているクイックサービスと無縁ではありません。消費者が一刻も早く商品を手に入れたいとスピードを要求するようになったからです。ですからコンビニの立地も、ファストフードの立地と同じでなくてはならなくなったのです。
ただし、こうした立地は、すでに多くのファストフードが出店しており、物件が少ないよいうのも事実です。
で、あったとしても、やはりファストフードも狙うのであるから、駅前であれ、商店街であれ、郊外の駐車場付きの物件であれ、できれば共同出店をしていくことはこれからも不可能ではありません。
むしろ、某大手チェーンがテレビCMで盛んに宣伝しているように、「近いことは便利なこと」なのですから、こうした立地を探さないで、我が道を往く式では消費者から目を背けられてしまいます。
立地を選定するとき、ぜひ考えてください。ここはファストフード店も出そうとする立地だろうか、と。
図1、写真1
東京近郊のロードサイド
交差点角地の約400坪に、ファストフードのすき家とセブンイレブンが共同出店。出入口および駐車場を共有しています。
図2
駅と量販店を結ぶ動線上は、かつてファストフード(写真2-1、2-2、2-3)の独壇場でしたが、その中心にセブンイレブンが出店しました。
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10年以上前は、マクドナルドハンバーガーやミスタードーナツ、吉野家などのファストフード店の立地とコンビニの立地は全く違うと言われていました。
それは、多分、客層が異なるからだと私は考えていました。ファストフード店の客は、文字通り「早く食べたい」客です。つまり、「早い食事提供」が何より優先されます。これは立地に反映すると、誰もが、すぐに行ける場所ということになります。
すなわち、TG(交通発生源)の近くです。こういう場所であれば、誰にとっても早くその目的を達せられます。ファストフード店は「店を見つけたから来店する」という衝動来店の客が大半でした。
しかし、当時のコンビニにはそれほどの速さは要求されていませんでした。速さより、日常で必要なもの、不可欠なものを手に入れることができることが優先されていたからでしょう。コンビニに揃っている3万以上のアイテムは、それぞれが、お客にとって、「来店目的」になっていたのです。ですから、多少不便な立地に店があったとしても、お客の「目的」を達成することができれば、コンビニの目的は達成され売上も良かった時代でした。
しかし、10年前あたりから、状況は一変し始めました。
それは、自社競合、他社競合の激化です。その頃、もうコンビニは飽和状態と言われました。そして、事実、多くの店の売上が急速に落ちて行きました。そして、いくつかのチェーンは縮小撤退を、あるいは合併統合を余儀なくされていきました。この辺りの事情を本誌の2004年4月号観天望気にて「国内1万店やアジア1万店に沸いた03年度だったが、終わってみれば上位グループでさえ今期の増店予算をクリアしたところがどこにもない」と時の編集長が嘆いています。
そして、もちろんその後、収益力を上げるための施策、改造はもとより、各コンビニ本部は新業態を次々と開発してきたのは多くの人の知る通りです。
では、立地はどうなったでしょう。
もちろん、今までの延長線上に、立地を求めていっただけではありません。あらゆる立地が試されたようです。
そこでわかってきたことは、立地の悪いところは。やっぱりダメだということです。
ただ単に周辺に人口が多いからとか、そうした甘い見方だけで店を開けると痛い目に会うという当然の教訓を得ながら、消えるべき店はどんどん消え、立地上優れた店舗だけが残るという状況になりました。
もちろんリロケーション(店舗移設)を、少しでも余裕があるどのオーナーも考え、実行に移していきました。
その結果、どうなったか。コンビニとしても、ファストフード店にきわめて近い場所が良い立地ということが気づかれ始めたようです。
すなわち、そこはTG(交通発生源)の周辺です。具体的には、一日を通して利用客の多い駅周辺、大型交差点、スーパーマーケットや量販店、ショッピングモールなどの商業施設、大学、公園、病院、諸役所などを指します。こうしたTGまたはTG同士を結ぶ動線上に立地したコンビニが多く残っています。
また、住民や就業者などが集中して住むような高層ビルや新興住宅地の出入口、いわゆるPC(ポテンシャルクラスター)の出入口付近がコンビニにとっても絶好の立地であることが示されました。
なぜ、コンビニの立地としてファストフードの立地が適切になるようになったのでしょう。それは、コンビニが進めているクイックサービスと無縁ではありません。消費者が一刻も早く商品を手に入れたいとスピードを要求するようになったからです。ですからコンビニの立地も、ファストフードの立地と同じでなくてはならなくなったのです。
ただし、こうした立地は、すでに多くのファストフードが出店しており、物件が少ないよいうのも事実です。
で、あったとしても、やはりファストフードも狙うのであるから、駅前であれ、商店街であれ、郊外の駐車場付きの物件であれ、できれば共同出店をしていくことはこれからも不可能ではありません。
むしろ、某大手チェーンがテレビCMで盛んに宣伝しているように、「近いことは便利なこと」なのですから、こうした立地を探さないで、我が道を往く式では消費者から目を背けられてしまいます。
立地を選定するとき、ぜひ考えてください。ここはファストフード店も出そうとする立地だろうか、と。
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東京近郊のロードサイド
交差点角地の約400坪に、ファストフードのすき家とセブンイレブンが共同出店。出入口および駐車場を共有しています。
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