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立地について,月刊コンビニ

2017/10/27 24時間スーパーがない商圏

「1週間でできる立地判定」24時間スーパーが500m圏内にない商圏【第6回】

 

スーパーマーケット(以下、スーパー)は、コンビニと競合するでしょうか?これについては、Yesとも言えますし、Noとも言えます。

扱う商品の違いや営業時間、サービス形態などで多くの違いがあるため、消費者にとって同じ「各種商品小売業」であっても使い分けができます。

そのため多くの場所でスーパーとコンビニが共存しており、隣り合って出店していても互いにじゅうぶん成立しているような所もあり、コンビニが大きな売上を確保しているケースが実際にあります(写真1、図①)。

また、一方、スーパーにとっても、その地域に既にコンビニが出店しているかどうか、そしてそのコンビニがじゅうぶん繁盛しているかどうかがその出店判断に大いに影響を与える指標にもなっているようです。

しかし、コンビニが繁盛しているからといって、スーパーもうまくいくとは限りません。というのも、第一にスーパーの店舗規模や土地の規模はコンビニよりはるかに大きいものです。いきおい家賃や人件費等経費をカバーするに足る売上が確保されなければなりません。仮に、コンビニが10階建てのマンションの下で成立できても、スーパーは40階建てのマンション、あるいはそれ以上の「需要」が必要なのです。

これほどスーパーが大きいということは、スーパーはコンビニにとって脅威でしょうか?そして、競合相手と考えるべきでしょうか?

それは早計です。

たとえば、すでにお話ししたTG(ティージー:交通発生源)にスーパーが該当するということです。図1でコンビニが大きな売上を確保しているのは、スーパーと駅がきわめて近く、お互いがTGとなって人を引きつけ、交通を発生させているからです。

また、一方のTG(例えば、駅)が離れた所にあったとしても、スーパーがその広い周辺から人々を吸引すると同時に、そのスーパーに近接した十字路交差点をTG化します。

そのTGに隣接していれば、コンビニの立地としてじゅうぶん成立します(図2)。

もちろん、もう一方のTG(駅など)は近いに越したことはありません(図3)。

 

さて、一昔前まで、スーパーは、10時開店の8時閉店あたりが一番多かったでした。

だから、もっと長時間営業してくれるコンビニはたいへん便利だと多くの消費者に支持されるきっかけになりました。そして、スーパーは今でも価格面、品揃え、生鮮品の扱い量などにおいて、コンビニを凌駕していますが、コンビニにしかできないサービスや販促などもあり、多くのスーパーとコンビニは依然、同一地域での共存が可能な状況にあります。

 

しかし、これからはどうでしょう。スーパーは続々と、コンビニタイプの小型店を展開し始めています。名前はスーパーと同じでも規模はコンビニ並み。低い家賃で都市部、人口密集部へ繰り出してきます。

加えて、大型店でも多くのスーパーが24時間営業を始めるようになり、深夜需要がコンビニの独壇場ではなくなってきています。

つまり、現時点で、最も注意すべきは、500m圏内に出店した24時間営業型のスーパーの存在(写真3)です。もちろん、その規模と品揃え、サービスの多さにも要注意です。

500mというのは、徒歩の時間に換算して、5、6分程度で行ける範囲です。これは都心のような人口密集地域でのスーパーの1次商圏と考えられます。
これだけあれば。コンビニなら平均で5店分、多ければ10店分のポテンシャルに匹敵します。コンビニの売上に影響を及ぼさないはずはありません。
 24時間営業のスーパーが500m前後に出店しているような地域は要注意です。

 

 

 

 

写真1、図1 中浦和 スーパーの西友とコンビニのファミリーマートがほぼ同一の敷地にありますが、コンビニにとってスーパーが一方のTG(交通発生源)、駅がもう一方のTGになることによって、コンビニは強い動線沿いにあることになります。

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2 スーパーが50mほど離れていますが、やはりここでもこのスーパーが一方のTGとなり、周辺から人々が徒歩、自転車、自動車でやってきますので、交差点がTGとなります。

コンビニがこの交差点に面していることで、きわめて効率よく周辺のポテンシャルを吸引できるわけです。

 

写真2 図2での駅側から見た状況です。スーパーが奥の方に、コンビニが手前に写っています。

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3 TG駅から約200m、TGスーパーから100mの交差点TGに面してコンビニが出店しています。

写真3、24時間営業を標榜するスーパーが多くなってきました。

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24時間スーパーが500m圏内にない商圏

 

補足

では、そういった立地、商圏であるかをどうやって調べたら良いでしょうか?

2つ揃えるとそれは可能です。

1つ目、()ゼンリン社製の「電子地図帳Zi」の最新版(現時点ではZi15)を手に入れることです。これはパソコン上で動く地図ソフトウェアで、有名書籍店やパソコンショップで販売していますので値段も手頃です。多くの企業が地図ソフトウェアを出していますが、これに限ります。

というのも、これには全国のタウンページの情報が丸ごと入っているからです。ですから、物件の周囲○○m圏内に何と言うスーパーマーケットが何店あるかなどが立ちどころに分かります(写真4)。

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もう一つは、この専門誌を出している商業界作成の「日本スーパーマーケット年鑑」の最新版(写真5)です。

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これは日本全国のスーパー、ホームセンター、ドラッグストアなどを網羅しています。そして、それらの営業時間、開業日、売り場面積など重要な経営情報が満載です。

マップでスーパーを見つけ、年鑑で情報を得る。これを行えば調査は精緻にできます。

 

 

 

 

 

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