東京都港区南青山2-2-15
失敗する!競合店の多い立地
「オーナーのための立地の見方 こんな店舗は失敗する!~第3回 競合店の多い立地編」
あるコンビニ本部関係者によると、コンビニ店の商圏は、徒歩で3分(距離換算で200m)とのこと。広さ(面積)に換算すると12.6万㎡。
左にある地図は、ある地方都市の駅前通り、周辺500m圏(広さは78.5万㎡)を描いています。この中にはセブン5店、ファミリが4店、ampmが3店ほか合計19店のコンビニが出店しています。
この500m圏で商売できるコンビニ店数は冒頭の理屈で言うと6店(78.5万㎡÷12.6万㎡=6)となりますから、この19店は、その3倍ということで完全にオーバーストアの状態です。
とはいえ、こういう状況は特殊なことではなく、すでに全国の主要な都市部は同様のようです。
したがって、こんなオーバーストアの状態の中に出店するというのが、昨今のふつうの出店事情ということになります。こうした中で出店するためにはどうしたら良いでしょうか。
その前にまず、「店舗が過剰」ということは、当然のことですが、「競争が至って激しい」状況です。ですからそういったところへ出店するからには、他店に絶対に負けないという営業努力が不可欠で、心身ともに相当な覚悟をしなければなりません。それが前提での出店ということになります。
さて、勝てる出店戦略はどうなるでしょう。
考えられる戦略は2つあります。一つは、立地のベストに狙いを定め、高い家賃でも出店していく戦略です。こうすれば、同業店に自然と勝てます。駅構内、駅ロータリー内、大型商業施設への隣接または近接の立地です。いわゆるTG(交通発生源)が近くにあるような立地です。
問題は、こういう立地は押しなべて家賃・共益費などが高額ですから、あなたは、コンビニ本部のリクルーターの助けを借りて、「家賃の値下げ交渉」を行わなければなりません。物件オーナーの関係者を見つけ出してでも実現させることが肝心です。
これに対して、もう一つの戦略は、最初から低家賃の物件を狙っていくというやり方です。
いたずらに1等地を狙うより、確実な収益店を作るほうが良い。これは王道に近いやり方です。この戦略をとっているのはここではセブンです。
もう一度、地図を見てみましょう。この中で ひし形で示した店がセブンの立地ですが、1店を除き4店とも駅から相当離れていることがわかります。
さらにそのうちの3店は、住宅街内立地と言っても良いところです。セブンの強さは、単に住宅街にあっても立地をはずしていないことです。店Aと店Bは、住宅街にあって比較的大きな道路(自動車が1台通れるほど道幅)の交差点に面して、しかもその角地にあります。さらに、店Cは、住民が駅に向かうためのショートカット道路(近道)に面しています。
驚くべきは、店Dです。この店はいかなる動線やTGにも隣接していません。その代わり、車道の路側帯から2m以上もセットバックしたビルの一角にあります。このことで、店前を通る自動車での来店を容易にしています。駐車場こそないもののD店は自動車客を見事に獲得できているようです。
では、まとめです。
家賃の値下げ交渉をしてどのコンビニ店よりも優れた1等地が取れるならそこに出店すべきです。
しかし、きちんと狙いを定めていけば2等地、3等地でも出店できます、狙いとは、TG(交通発生源)を見つけることであって、TGに面した角であったり、その動線上であったり、徒歩だけでなく自動車客も期待できるところです。
もう一つ。覚えておいて損はない探し方があります。
それは、繁盛店の隣を探すことです。
もちろん、これにはあなたに「同業店の営業力に負けない」という相当の自信があることが前提です。
同業店は、顧客を奪うばかりでなく、顧客をその近隣に呼び寄せる働きがあります。近隣に来た顧客を同業店のほうに行かせず自店に引っ張るのはあなたの店の営業力次第です。
同業店と互角に戦えるなら自店がオープンする前の同業店の売上げの7割、同業店より格段と高い営業力を発揮できるなら8割、9割、あるいはそれ以上の売上げを確保することができます。
ただし、こういう接近戦ができるのは、相手と自分の立地が“同等”のときだけです。相手が、住民の買い物動線上にあって自分のほうがそうではないとか、相手の店は大きくて自分のほうは小さいとか、そういう大きな違いがあるような場合は、どうにもならなくなるから十分気をつけてください。
24/09/08
23/06/12
22/05/20
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「オーナーのための立地の見方 こんな店舗は失敗する!~第3回 競合店の多い立地編」
あるコンビニ本部関係者によると、コンビニ店の商圏は、徒歩で3分(距離換算で200m)とのこと。広さ(面積)に換算すると12.6万㎡。
左にある地図は、ある地方都市の駅前通り、周辺500m圏(広さは78.5万㎡)を描いています。この中にはセブン5店、ファミリが4店、ampmが3店ほか合計19店のコンビニが出店しています。
この500m圏で商売できるコンビニ店数は冒頭の理屈で言うと6店(78.5万㎡÷12.6万㎡=6)となりますから、この19店は、その3倍ということで完全にオーバーストアの状態です。
とはいえ、こういう状況は特殊なことではなく、すでに全国の主要な都市部は同様のようです。
したがって、こんなオーバーストアの状態の中に出店するというのが、昨今のふつうの出店事情ということになります。こうした中で出店するためにはどうしたら良いでしょうか。
その前にまず、「店舗が過剰」ということは、当然のことですが、「競争が至って激しい」状況です。ですからそういったところへ出店するからには、他店に絶対に負けないという営業努力が不可欠で、心身ともに相当な覚悟をしなければなりません。それが前提での出店ということになります。
さて、勝てる出店戦略はどうなるでしょう。
考えられる戦略は2つあります。一つは、立地のベストに狙いを定め、高い家賃でも出店していく戦略です。こうすれば、同業店に自然と勝てます。駅構内、駅ロータリー内、大型商業施設への隣接または近接の立地です。いわゆるTG(交通発生源)が近くにあるような立地です。
問題は、こういう立地は押しなべて家賃・共益費などが高額ですから、あなたは、コンビニ本部のリクルーターの助けを借りて、「家賃の値下げ交渉」を行わなければなりません。物件オーナーの関係者を見つけ出してでも実現させることが肝心です。
これに対して、もう一つの戦略は、最初から低家賃の物件を狙っていくというやり方です。
いたずらに1等地を狙うより、確実な収益店を作るほうが良い。これは王道に近いやり方です。この戦略をとっているのはここではセブンです。
もう一度、地図を見てみましょう。この中で ひし形で示した店がセブンの立地ですが、1店を除き4店とも駅から相当離れていることがわかります。
さらにそのうちの3店は、住宅街内立地と言っても良いところです。セブンの強さは、単に住宅街にあっても立地をはずしていないことです。店Aと店Bは、住宅街にあって比較的大きな道路(自動車が1台通れるほど道幅)の交差点に面して、しかもその角地にあります。さらに、店Cは、住民が駅に向かうためのショートカット道路(近道)に面しています。
驚くべきは、店Dです。この店はいかなる動線やTGにも隣接していません。その代わり、車道の路側帯から2m以上もセットバックしたビルの一角にあります。このことで、店前を通る自動車での来店を容易にしています。駐車場こそないもののD店は自動車客を見事に獲得できているようです。
では、まとめです。
家賃の値下げ交渉をしてどのコンビニ店よりも優れた1等地が取れるならそこに出店すべきです。
しかし、きちんと狙いを定めていけば2等地、3等地でも出店できます、狙いとは、TG(交通発生源)を見つけることであって、TGに面した角であったり、その動線上であったり、徒歩だけでなく自動車客も期待できるところです。
もう一つ。覚えておいて損はない探し方があります。
それは、繁盛店の隣を探すことです。
もちろん、これにはあなたに「同業店の営業力に負けない」という相当の自信があることが前提です。
同業店は、顧客を奪うばかりでなく、顧客をその近隣に呼び寄せる働きがあります。近隣に来た顧客を同業店のほうに行かせず自店に引っ張るのはあなたの店の営業力次第です。
同業店と互角に戦えるなら自店がオープンする前の同業店の売上げの7割、同業店より格段と高い営業力を発揮できるなら8割、9割、あるいはそれ以上の売上げを確保することができます。
ただし、こういう接近戦ができるのは、相手と自分の立地が“同等”のときだけです。相手が、住民の買い物動線上にあって自分のほうがそうではないとか、相手の店は大きくて自分のほうは小さいとか、そういう大きな違いがあるような場合は、どうにもならなくなるから十分気をつけてください。