ローカル駅での激戦 稲城長沼駅

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ローカル駅での激戦 稲城長沼駅

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2017/10/25 ローカル駅での激戦 稲城長沼駅

ローカル駅での激戦 稲城長沼駅

 

東京日本橋から西へ25キロメートル、南武線に1日の乗降数が13,381人(注1)の稲城長沼駅があります。この乗降数は都内としては少ない部類に属します。

この駅の500メートル圏の人口はわずか6505人に過ぎません。駅前にはバス停もタクシー乗り場もありません。改札口は北側に1か所だけです。

しかし、この周辺はすでに5店舗のコンビニが出店し、しのぎを削っている激戦地です。1店当りの支持人口は1,301人で激戦順位は18位です。

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南側100mに、鉄道線路と平行して「川崎街道(道路A)」が走っています。ローソンとセブンイレブンが2店は、この地方幹線道路沿いにあり、単に地元住民のみならず広域を走る車ドライバーの囲い込みを意識していると推測されます。

線路の北側400mには、両隣の駅までをつなぐ自動車道(道路B)があります。この道路Bは川崎街道にほぼ並行しておりますが、延伸性が3駅分しかないので道路としての利便性が弱く交通量は多くありません。

ただ、道路ABは同一の方向に向かっています。こういう並行道路があるときは要注意です。道路Aより南側の住民は道路Bに出てくる必要がなく、同様に道路Bより北側の住民は道路Aまで出てくる必要がありません。つまり、道路A沿いの店の商圏の北側は道路Bで制約され、道路B沿いの店の商圏は道路Aを超えることはありません。

つまり、どうしても商圏が小さくなってしまうのです。

最も駅に近いコンビニは店舗①(コミュニティストア)です。

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変形な交差点に位置しており道路のどの方向からも視界性が良いばかりか、南側のほうから線路を渡ってくる車は必ずこの店の前を通ります。これらのことが地域住民への認知度を上げています。

ただし、同じ道路沿いにある店舗⑤と競合します。

 

交通量の少ない道路B沿いに店舗②があります。

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が、この道路の両側は街路樹が茂っておりきわめて視界性が悪い状況です。また、徒歩や自転車で駅へ向かう際に横断する交差点から100m離れており、決して良い立地とはいえません。

 

線路南側の道路Aはどうでしょう。

店舗③の裏手には、13階建ての比較的大きなマンションや大きなアパートが控えており、これらの住人が利用できる絶好の交差点角地にあります。加えて、さらに南側の住民が駅に向かう場合に利用しやすい立地にあります。駐車場は備えていないことが難点です。

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これに対して店舗④は専用の駐車場を16台分確保できておりますが、街路樹が茂っており視界性にはきわめて難があります。信号待ちをするドライバーには見えることが救いです。

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店舗⑤の前は普通車なら5台止められるだけのスペースがあります。この店は他と違って、視界性が比較的良好です。それは、店とは道路を挟んで反対側にサインポールを立てているからです。

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店舗②の近隣地図

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一般的に立地は、すべからくTG(交通発生源)を意識するべきです。それは、TGに面していること、そしてTGからの視界性が良いことを意味します。残念ながら、5店舗の中で唯一店舗②だけは交差点というTGに面しておらず、そのTGからの視界性も不十分です。

交差点は2か所あり、いずれも北側住民が駅やその近くの商業施設を利用する際に通る場所です(矢印)。また、本文にも記したように、店前の道路には街路樹が茂っており自動車ドライバーからの視界性にきわめて難があります。

 

店舗⑤の近隣地図

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店舗②と対照的に、店舗⑤はTGとなる交差点に面しており、ここを利用する住民すべてに認知させることができているばかりか、自動車ドライバーに対してもじゅうぶんな視界性がとれるようにしています。特に後者は大事な点で、もし、このサインポール(写真)がなかったならば、カーブした道路の内側に店があるためにその視界性はきわめて悪かったでしょう。この店のような立地で、道路を挟んで向かい側にサインポールを置くというのは効果的な立地改善策です。

 

近未来予測

人口が少なく、かつ流入がほとんどないような小さなマーケットでは、いかにその需要を効率的に吸引できる場所に出すか、また、自動車客をいかにキャッチできる立地に出せるかが立地の優劣を分けます。

現在、稲城長沼駅周辺の線路は高架化工事が進んでおり、駅の南北が容易に往来できるようになるなど、駅前の大きな変化が予想されます。これに伴って新たなコンビニ出店の可能性があります。そうなると、現状のいくつかは大きな負の影響を受け撤退を余儀なくされるでしょう。

 

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