048-711-7195
107-0062 東京都港区南青山2-2-15-942
月~金 9:00~18:00
「大塚」はセブンが負ける
新連載
「立地診断」クリニック
激戦地「近未来予測」
ソルブ代表 林原安徳
第3回 激戦地「大塚」はセブンが負ける 月刊コンビニ連載2011年4月号
(リード)
なぜ、コンビニ1店当り支持人口から見た場合、大塚駅周辺500m圏が、都内497駅中で上位20位内に入り、なおかつコンビニの数が25店と最も多かったのでしょう。
筆者は、その謎を解き明かそうと、「大塚」という街を徹底的に実査しました。その結果わかったことが2つあります。
第一に、大塚駅周辺に広がる居住人口と昼間人口(その大半は就業者)との微妙な数のバランスがあるようです。昼間は昼間で、流入する就業者が多数存在し、彼らが昼間の売上げを支えています。そして、夕方から夜間、そして土日は500m圏の主に外周部に住んでいる人が多数来店します。事実、統計値を探ってみると、居住人口は男8,873人、女9,086人、合計で17,959人。これに対して、昼間人口は男16,977人、女12,134人で合計29,111人と居住人口を10,000人以上上回ります。居住人口対昼間人口の比率は1.6ですが、この比率が微妙なバランスだと言えます。
例えば、前々回実査した代々木駅周辺は山手線内でも人口は多いほうですが、それでもこの比率は9を超えます。新橋駅や東京駅周辺に至っては50を超えます。それだけ昼間人口が居住人口をはるかに上回っていることになります。反対に、こうした都心から離れていくに従ってこの比率は下がっていき、国分寺あたりで1.1と居住人口と昼間人口はほぼ同数になります。
ただ、こうした人口の微妙なバランスだけでは25店ものコンビニが集まっていることの説明には不足しています。
第二の理由は、実査することで初めて見えてくることでした。それは、大塚駅周辺の特有の土地構造です。すなわち、おおむね大塚駅が底になるような「すり鉢状」の構造をしていることです。平坦ではなく、そこらじゅうに坂が出来ています。上がったり下がったり。これは、人々の行動にいろいろな影響を及ぼします。
人間はなるべく楽な道を行こうとします。そうすると目指す場所が同じなら、楽な通り方は限られてくるから、その人々の行動は同じようになっていきます。これが人々を集中させる働きになります。
ですから同じ500m圏内でもいろいろな集中場所、交差点が生まれます。
事実、実査することで、そういう場所はいくつも見つかりました。
これは、立地論で言うところの交差点TG(交通発生源)です。
ちなみに、この交差点TGに面しているのが、地図の中に書かれたコンビニの中では、2、4、5、6、8、9、10、13、14、17、18、21、22の13店舗です。
するとここから見えてくることがあります。
ampmがファミリーマートに次々と転換していることは知られていますが、ここ大塚でも6店舗中3店舗が転換を完了しています。あと3店舗はどうしたのでしょう。まず考えられるのは、立地が悪く不振店であるため転換しようがないことです。もう一つは、そこをファミリーマートに転換すると他のファミリーマートに大きなマイナス影響を与えてしまう恐れがあるからです。それらはどれでしょうか。筆者は、前者は16、後者は
17でないかと考えます。
16は、どうしてここに店を出したのかと首を傾げたくなる悪立地です。坂道の途中で、道路を挟んで向こう側は絶壁になっておりその先から行き来ができません。これでは商圏の広がりは絶望的です。
17は駅に近いこともあって売上げも高いでしょうが、ここをファミリーマートに変えると同じ動線上にある21と22に大きな打撃を与えてしまいます。
大塚の大きな特徴の三番目は、セブンイレブンの意外なほどの立地の悪さです。これも手伝ってか、ほかのチェーン店が次々と出店できたのかもしれません。
セブンイレブンの4は確かに交差点TGに面したてはいますが、間口が狭く段差もあって決して最良の立地とはいえません。もう一つ7も交差点に面し、間口も十分とれていましたが、なぜか閉店してしまいました。12は、何の動線もないところに出店しています。しかも、車道の向かい側の歩道から直接来店することができません。
19も24もなぜここに出店しているのか、その合理的根拠を見出せません。20も同様ですが、ここは21、22のファミリーマートの風下になっていてかなり苦戦していると見受けられます。
さて、大局から俯瞰してみましょう。大塚駅周辺は、その南側は冒頭に書いたように居住人口と昼間人口とのバランスが保たれており、かつTGに面していることも多いため、今後の撤退は少ないと思われます。
しかし、北側は、実査で見た限り、そのようなバランスはとれておらず、昼間は閑散としています。したがって、今後3ぶんの1、4店舗ほどが撤退を余儀なくされると予想します。
今後についての筆者の予想は、表の通りですが、25店舗中10店舗がこの10年以内にかなり難しい局面を迎えると思われます。中でもやはりセブンイレブンの動向が一番気になります。このままでは王者セブンの一人負けになる可能性が高いからです。
23/06/12
22/05/20
21/12/30
21/08/04
21/08/03
21/08/01
21/07/31
21/07/10
21/07/09
21/07/08
TOP
新連載
「立地診断」クリニック
激戦地「近未来予測」
ソルブ代表 林原安徳
第3回 激戦地「大塚」はセブンが負ける 月刊コンビニ連載2011年4月号
(リード)
なぜ、コンビニ1店当り支持人口から見た場合、大塚駅周辺500m圏が、都内497駅中で上位20位内に入り、なおかつコンビニの数が25店と最も多かったのでしょう。
筆者は、その謎を解き明かそうと、「大塚」という街を徹底的に実査しました。その結果わかったことが2つあります。
第一に、大塚駅周辺に広がる居住人口と昼間人口(その大半は就業者)との微妙な数のバランスがあるようです。昼間は昼間で、流入する就業者が多数存在し、彼らが昼間の売上げを支えています。そして、夕方から夜間、そして土日は500m圏の主に外周部に住んでいる人が多数来店します。事実、統計値を探ってみると、居住人口は男8,873人、女9,086人、合計で17,959人。これに対して、昼間人口は男16,977人、女12,134人で合計29,111人と居住人口を10,000人以上上回ります。居住人口対昼間人口の比率は1.6ですが、この比率が微妙なバランスだと言えます。
例えば、前々回実査した代々木駅周辺は山手線内でも人口は多いほうですが、それでもこの比率は9を超えます。新橋駅や東京駅周辺に至っては50を超えます。それだけ昼間人口が居住人口をはるかに上回っていることになります。反対に、こうした都心から離れていくに従ってこの比率は下がっていき、国分寺あたりで1.1と居住人口と昼間人口はほぼ同数になります。
ただ、こうした人口の微妙なバランスだけでは25店ものコンビニが集まっていることの説明には不足しています。
第二の理由は、実査することで初めて見えてくることでした。それは、大塚駅周辺の特有の土地構造です。すなわち、おおむね大塚駅が底になるような「すり鉢状」の構造をしていることです。平坦ではなく、そこらじゅうに坂が出来ています。上がったり下がったり。これは、人々の行動にいろいろな影響を及ぼします。
人間はなるべく楽な道を行こうとします。そうすると目指す場所が同じなら、楽な通り方は限られてくるから、その人々の行動は同じようになっていきます。これが人々を集中させる働きになります。
ですから同じ500m圏内でもいろいろな集中場所、交差点が生まれます。
事実、実査することで、そういう場所はいくつも見つかりました。
これは、立地論で言うところの交差点TG(交通発生源)です。
ちなみに、この交差点TGに面しているのが、地図の中に書かれたコンビニの中では、2、4、5、6、8、9、10、13、14、17、18、21、22の13店舗です。
するとここから見えてくることがあります。
ampmがファミリーマートに次々と転換していることは知られていますが、ここ大塚でも6店舗中3店舗が転換を完了しています。あと3店舗はどうしたのでしょう。まず考えられるのは、立地が悪く不振店であるため転換しようがないことです。もう一つは、そこをファミリーマートに転換すると他のファミリーマートに大きなマイナス影響を与えてしまう恐れがあるからです。それらはどれでしょうか。筆者は、前者は16、後者は
17でないかと考えます。
16は、どうしてここに店を出したのかと首を傾げたくなる悪立地です。坂道の途中で、道路を挟んで向こう側は絶壁になっておりその先から行き来ができません。これでは商圏の広がりは絶望的です。
17は駅に近いこともあって売上げも高いでしょうが、ここをファミリーマートに変えると同じ動線上にある21と22に大きな打撃を与えてしまいます。
大塚の大きな特徴の三番目は、セブンイレブンの意外なほどの立地の悪さです。これも手伝ってか、ほかのチェーン店が次々と出店できたのかもしれません。
セブンイレブンの4は確かに交差点TGに面したてはいますが、間口が狭く段差もあって決して最良の立地とはいえません。もう一つ7も交差点に面し、間口も十分とれていましたが、なぜか閉店してしまいました。12は、何の動線もないところに出店しています。しかも、車道の向かい側の歩道から直接来店することができません。
19も24もなぜここに出店しているのか、その合理的根拠を見出せません。20も同様ですが、ここは21、22のファミリーマートの風下になっていてかなり苦戦していると見受けられます。
さて、大局から俯瞰してみましょう。大塚駅周辺は、その南側は冒頭に書いたように居住人口と昼間人口とのバランスが保たれており、かつTGに面していることも多いため、今後の撤退は少ないと思われます。
しかし、北側は、実査で見た限り、そのようなバランスはとれておらず、昼間は閑散としています。したがって、今後3ぶんの1、4店舗ほどが撤退を余儀なくされると予想します。
今後についての筆者の予想は、表の通りですが、25店舗中10店舗がこの10年以内にかなり難しい局面を迎えると思われます。中でもやはりセブンイレブンの動向が一番気になります。このままでは王者セブンの一人負けになる可能性が高いからです。