重回帰分析による売上予測モデルの落とし穴 飲食店経営2013MAR (後半)

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重回帰分析による売上予測モデルの落とし穴 飲食店経営2013MAR (後半)

売上予測,飲食店経営

2018/05/16 重回帰分析による売上予測モデルの落とし穴 飲食店経営2013MAR (後半)

 

分析ポイント(7)サンプル店舗は統計的にうまく絞ること

冒頭にあったように、百~数百店舗を有しているチェーン店の場合は、30~40サンプルくらいに店舗を絞る必要があります。

この場合の絞り方は重要です。単に、行動範囲を短くして効率的に調査できるようにしようと近い店同士を選んだり、面積が似通っている店だけ選んだりというのは避けた方が良いでしょう。

最もお勧めの絞り方は、ランダムに選ぶことです。そして、その上で、全店における売上の平均値と標準偏差という統計値、絞ったサンプルにおけるそれらの統計値がなるべく似通っていることです。

 

分析ポイント(8)サンプル店舗を削ってはいけない

重回帰分析をすすめていくと、必ず1つや2つどうしても、残差が大きいままで、合理的な立地要因が見つからないというサンプルが出てくるものです。そうすると、データの改変はしないものの、そのサンプル自体を削ってしまう人が出てきます。

これも間違っています。すでに書いたように、今見つからないからといって、何らかの要因は必ずあるはずです。だから、残差が出ているわけで、これは、新発見の前段階かもしれないのです。ですから、取り除いてしまってはいけません。

どうしても、こういう大きな残差が残っているのが感覚的に受け入れられないというのであれば、「D店指数(仮称)」という説明変数を作って加えることです。この指数は、残差の大きいD店だけに「1」というデータを入れ、他のサンプルはすべて「0」にしておくものです。こういう変数をダミー変数と言いますが、この変数を入れることで、「大きな残差」は消えます。もちろん、原因が見つかったわけではありませんので、後日、調べなければなりません。

 

分析ポイント(9)相関係数に拘り過ぎてはいけない

重回帰分析では、サンプルに使った既存店の売上実績と予測モデルで算出される売上理論値との相関係数が計算されます。これが1.00に近づけば近づくほど、各サンプル店の残差は小さくなり、見かけの精度は高くなります。

しかし、ここが盲点です。確かに見かけの精度は高くなりますが、そのために説明変数の作り方に相当な無理がかかります。

ひじょうに恣意的なデータになってしまったり、必要以上に多くのデータを使ったものになったり、つまり、意味のない精度アップをしているおそれがあります。

売上予測モデルは実践で活用したときに、高い精度で予測できなければ何の意味もありません。

既存店、しかもサンプル店の精度に拘っているよりも、正しいデータ、正しい説明変数を入れて高い精度の予測ができれば良いのです。筆者は個人的には、売上予測モデルの相関係数は0・85もあれば十分だと考えています。0・95を超えるようなモデルは作らないほうが無難だと思っています。

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分析ポイント(10)コンピュータ(ソフトウェア)に任せきりにしない

重回帰分析に用いるソフトウェアの中には、「自動選択法」という機能がついていて、たくさんの説明変数の中から、統計的に間違っていないと言える説明変数だけを見つけてくる。

やや詳しく言うと、ある説明変数をモデルに加えて、相関係数が高くなるなら採用し、低くなるなら不採用とする機能です。人間は何も考えないで良いので、便利で簡単です。

しかし、こうして出てくる売上予測モデルは、だいたいが、箸にも棒にもかからないシロモノになります。競合指標の係数がプラスだったり、商圏人口がマイナスだったり。

一つ一つの説明変数を見ながら、残差の大きいサンプルを照らしながら人間が一歩一歩分析していく方が必ず良いもの(精度の高いもの)ができるものです。

 

まとめ

以上、10つの分析ポイントを挙げましたが、これらは典型的なものばかりで、実際に分析するとなると次々と注意しなければならないことが出てきます。しかし、それらは分析を多数行っていくうちに自然とクリアーできるでしょうし、もし、そうならなければ、分析のセミナーに行ったり、熟達者を探して聞いたりすることをお勧めします。

 

さて、今回で、昨年4月号から始まった“売上予測ができるようにしよう”という連載は一区切りとさせていただきます。次回からは、また、立地の基礎、原則について改めてお話ししていく連載と致しましょう。

 

 

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