マクドナルドで売上予測の手法で精度が急に上がってきた理由(ワケ)

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マクドナルドで売上予測の手法で精度が急に上がってきた理由(ワケ)

売上予測調査部,売上予測

2017/12/17 マクドナルドで売上予測の手法で精度が急に上がってきた理由(ワケ)

マクドナルドで売上予測の手法で精度が急に上がってきた理由(ワケ)

 

売上予測は昔から行われてきました。すでに書いたように売上予測の手法はいくつもありました。

たとえば、売上予測、手法の1は、回転率法。これは、お店の客席が1日で何回満席になるかを元に売上予測する手法です。居酒屋やラーメン店など、客席がある店に主に用いられた売上予測の手法です。また、キャッチ率法という売上予測の手法もあります。それは、店前の通行量を計測し、それにキャッチ率(多くの場合3%)をかけて1日の売上予測を行い、それを30倍して1ヶ月の売上を予測するという手法です。さらには、欧米から輸入された方法として、ハフモデル(重力モデル)を中心とした「市場シェア率法」という売上予測の手法があります。理屈を簡単に言えば「売上予測する対象となる店と同じ業種業態がたくさんある地域全体(市場)の需要がどれだけあって(予測して)、その中で、予測の対象となる店がどれだけの占有率(シェア)を取れるかを予測して、その両者を掛け合わせる」というものです。市場全体と個別のシェアの2つを予測して予測値を決めるという手法です。

いずれも、理屈はわかりますし、特に3番目の売上予測の手法はコンピュータなしには計算できない(エクセルなら簡単)こともあって、人気があり、オーソドックスな商圏分析ソフトに標準搭載されていたりします。しかし、共通の問題があります。それは、精度が低いということです。これは致命的な問題です

そこで、売上予測は当たらないというような「常識」がまかり通るようになったのが、1970年代でした。

 

この「売上予測は当たらない」という常識に挑戦したのが、日本マクドナルドでした。

なにせ扱っている商品が「ハンバーガー」という当時の日本人にはほとんど馴染みのないものです。味覚は子供の頃に決まるという科学の常識からすれば、今から大人に「ハンバーガー」なるものを売っても何度も来店してくれる魅力ある「食べ物」とは考えられませんでした。

品質・クイックサービス・衛生状態という飲食店としては絶対条件である運営面は、ほぼ完ぺきに実現できていました。しかし、何にせよ「ハンバーガー」です。

「パンに肉を挟んだもの」という表現では、パン屋か肉屋かという想像しかされない。こういう状態でどうやって口コミで広げることができるでしょう。

 

そこで、日本マクドナルドは、常に1等地に出店するという出店戦略をとったのです。

駅前、商店街、大型小売店・・・

しかし、銀座三越の1Fの中央通り側の壁をくり抜いて48時間で作った1号店(下写真)の大成功

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とは裏腹に、

代々木駅近くの理髪店を改造して出した2号店、大井町駅西口の阪急百貨店の隅に出した3号店、いずれも、銀座店の売上の10分の1にしかならず、大失敗となります。その後も次から次へと、店を出しては赤字、店を出しては赤字、が続き、5年経つころには、とうとう資金も底をつき始めたのです。

 

「駅に近いのになぜ売れない?」「大型百貨店の隣りなのになぜ売れない?」・・・

日本マクドナルドは、当時たいへんな危機に陥りました。撤退するか、まだ挑戦し続けるか?

一度始めたマクドナルドという世界最大のフードサービスチェーン、これまでの手法をもってしては日本ではまったく通用しないのか?

 

もちろん、幸運もありました。

ドライブスルーの店を東京環状8号線と五日市街道との交差点角地に出したとたん、これが大ヒット。銀座店並みの高い売上と収益をはじき出したのです。

ただ、これも次へと続きませんでした。

次に。京葉道路の下り車線、小松川に出したドライブスルーは大外れ。賃料が安かったからこそ閉店せずには済んだものの売上としては想定外の低さです。

 

こういう「勘と経験」による売上予測の手法は、マクドナルドにはまったく通用しません。

そこで、立地条件と売上との関係を精査して、科学的なアプローチ・手法を取り入れて売上予測の精度を上げることに全力を挙げたのです。

 

この時、最大の味方となったのは、「標準が確立されたオペレーションレベル」です。簡単に言えば、どの店も店内の作業もサービスも常に一定以上のレベルがあり、

店長が代わったり、スタッフが入れ替わったりしても、売上に、大きなプラスや大きなマイナスが発生しないという現象です。

もちろん、店長の資質、能力もきわめて高いレベルで標準化が図れていました。

 

これが、どれほど重大かというと、「立地の良否=売上の高低」という関係があると断言できることです。今までのどの飲食店や物販店でも、この関係があるとは言えなかったので、立地の要因を確かに特定することはできなかったのです。

日本マクドナルドは、売上が高ければ、そこには良い立地の要因があり、売上が低ければ、良い立地の要因がないか、または、売上に制約を与える要因があるかのどちらかであるということを、絶対的な前提として、立地調査・立地分析をすることができたのです。

 

重回帰分析をするスタッフは、この前提条件をフルに活用して、ついに、ドライブスルー店舗の売上予測モデルを完成させました。それが1980年代です。

このモデルのもと、マクドナルドによるドライブスルー店舗の全国席巻が開始されました。

なぜなら、この売上予測はきわめて精度が高かったからです。

 

しかし、この頃はまだ、「通行人対象」に関しては売上予測の手法は完成していませんでした。

 

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