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商圏分析事例 アリオ柏店
アリオ柏店の立地・商圏分析
複合商業施設「セブンパーク アリオ柏店」(以下、アリオ柏)は 首都圏最大の環状線国道16号線に面しており、埼玉・千葉・茨城が互いに接しあう地域の千葉県側に位置している。 首都圏内での大型商業施設の常として「鉄道駅に近い」ことが挙げられ、これを無視すると海浜幕張近くでの外資C社の撤退に象徴されるように、顧客を期待通り確保することが難しいとされている。しかし、アリオ柏はその不文律に挑戦するかのように、最寄りの駅でさえ2・8kmと離れており、もっぱら、自動車での来店を期待した場所に出店している。想定された商圏は半径10km圏とされているので、この範囲でまず見てみよう。
人口(図1)は、10km圏の左側(西側・南側)に偏っており、東側・北側は薄い。それでも、北側5km辺りは我孫子市街地のためやや人口密集が見られる。特徴的なことは2km圏内の人口分布がきわめて薄い。それはそのまま東へ10km近く行っても変わらない。
国道16号線は左上と右下を結ぶようにほぼ直線状に伸びているが、圏内の行動ベクトルは、ほぼどこでも右上から左下に向かっている(図1-2)。
このことは、10km圏の左側に住む多くの人々は、物件の側に日常的には向かって来ない、10km圏内の需要ポテンシャルを引き込みにくいのではないかということを意味している。
一方、同じ圏内には大小さまざまな商業施設(スーパーマーケット・量販店等)が、「どの」人口密集地にもそれなりに出店を完了しており、いずれの地域も激戦状態にある(図2)
とりわけ、アリオ柏と同じ国道16号沿い、北西7kmに複合施設モラージュ柏(駐車場2250台)とイオンタウン松ヶ崎SCが車での来店を期待して出店(図2のA)しており、アリオ柏との競争は避けられない。
また、南約6kmのイオン鎌ヶ谷ショッピングセンター(駐車場1190台、図2のB)や南東10kmのイオンモール千葉ニュータウン(駐車場3515台)なども駅近でありながら、車での来店を強く意識しており決して無視することはできない。
しかし、悪いことばかりではない。
自家用車がどれだけ生活に関わっているかを見ることができる通勤・通学人口に対する自家用車利用の比率を見ると人口密集地の柏、松戸、安孫子市街地などは0.3未満ですが、アリオ柏の東側、南側はほとんど0.3以上であり、住民の多くはその日常生活において自家用車にかなり依存している(図3)。
これを、世帯数に対する乗用車(普通+小型)の保有比率でみると、1.2台/世帯以上の分布がほぼ同じ地域を網羅しているばかりか、利根川を越えた茨城県へと連続している(図4)。
要するに、これらは、鉄道に依存しない車来店のみに絞ったターゲッティングが可能であることを意味している。
ところで、アリオ柏の広報によれば10km圏の人口は約53万人、21.5万世帯と記述されているが、実際は、人口約126万人、51万世帯(国勢調査2010年)である。
また、5km圏では、人口29.7万人、11.7万世帯であるので、実際10km圏全域をカバーしようとしているのではなく、5~10kmの範囲内で設定していることがわかる。
そこで、最小の範囲と考えられる5km圏で状況をさらに詳しく見て行こう。
年齢分布を見る(図6)と、
千葉県平均とほぼ同じ構成になっているが、微妙に9歳以下が多く、80歳以上が少ない。これは若いカップル、家族が比較的多いことを示している。
過去にわたって、人口などの推移を見ると(図7)、
明らかに人口が増加傾向にあることが見て取れる。世帯数の増加は著しい。これに対して、商店数・小売業年間販売額は減少傾向であり、この地域は、供給より需要が大きくなるという絶好のマーケットとなっている。
さらに、人口は2025年まで増加していくことも予測される(図8)。
この増加地域がどこにあたるのかを見るために、2005年に対する2010年の人口増加率をメッシュ別に計算、表示した(図9)。
明らかに、アリオ柏の東側、南側が増加傾向にある。しかも、その増加は並ではなく、50%~100%というメッシュもザラにある。
冒頭では、この地域の人口密集は少ないと暗示したが、実際は決して0であることはなく、鉄道が近くにあるという恩恵に浴していないにも関わらず、次第に住宅ができ人口は増え始めていることがわかる。
実際に、「大津ヶ丘」、「手賀の杜」などの宅地造成があり、物件の周辺や白井市内には大きな工業団地もできているがいずれも1km圏内である。
立地の優位点
アリオ柏には、立地上の大きな優位点が3つある。
その第1は、アリオ柏の北700mで交差する県道6号線である。この道は北上して手賀沼を渡り我孫子市街地に至る。さらに北上することができて、国道6号線(水戸街道)に合流する。この辺りの行動ベクトルは物件方向に向いている(図1-2)ので、ここまで商圏が伸びることが容易に推測できる。
第2は、国道16号線は、北約11kmの常磐自動車道「柏IC」から幹線国道6号線と交差し、柏市街地を横切る間に交通量が激増したびたび渋滞状況に陥る。しかし、アリオ柏の辺りは、信号機も少なく見通しの良い直線であることが幸いして、渋滞が発生することはなくスムーズである。これは、周囲からの到達容易性が高いことを意味している。
第3は、アリオ柏の道を挟んで向かい側には、ヤマダ電機、ニトリ、スーパーオートバクス、スポーツデポ、オートウェーブなど大型店が立ち並び、これらがこの場所についての人々の記憶を容易にするランドマークの役割を果たしていることである。
結論
近い周辺における商圏の質が良く、成長が見込める上に、北東、東、南東への商圏の拡がりも望め、他の複合施設などを凌ぐ優良な立地にアリオ柏は出店していると言える。
2358文字
「統計てきめん」の地図使用承認(C)昭文社第55G15号
23/06/12
22/05/20
21/12/30
21/08/04
21/08/03
21/08/01
21/07/31
21/07/10
21/07/09
21/07/08
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アリオ柏店の立地・商圏分析
複合商業施設「セブンパーク アリオ柏店」(以下、アリオ柏)は 首都圏最大の環状線国道16号線に面しており、埼玉・千葉・茨城が互いに接しあう地域の千葉県側に位置している。 首都圏内での大型商業施設の常として「鉄道駅に近い」ことが挙げられ、これを無視すると海浜幕張近くでの外資C社の撤退に象徴されるように、顧客を期待通り確保することが難しいとされている。しかし、アリオ柏はその不文律に挑戦するかのように、最寄りの駅でさえ2・8kmと離れており、もっぱら、自動車での来店を期待した場所に出店している。想定された商圏は半径10km圏とされているので、この範囲でまず見てみよう。
人口(図1)は、10km圏の左側(西側・南側)に偏っており、東側・北側は薄い。それでも、北側5km辺りは我孫子市街地のためやや人口密集が見られる。特徴的なことは2km圏内の人口分布がきわめて薄い。それはそのまま東へ10km近く行っても変わらない。
国道16号線は左上と右下を結ぶようにほぼ直線状に伸びているが、圏内の行動ベクトルは、ほぼどこでも右上から左下に向かっている(図1-2)。
このことは、10km圏の左側に住む多くの人々は、物件の側に日常的には向かって来ない、10km圏内の需要ポテンシャルを引き込みにくいのではないかということを意味している。
一方、同じ圏内には大小さまざまな商業施設(スーパーマーケット・量販店等)が、「どの」人口密集地にもそれなりに出店を完了しており、いずれの地域も激戦状態にある(図2)
とりわけ、アリオ柏と同じ国道16号沿い、北西7kmに複合施設モラージュ柏(駐車場2250台)とイオンタウン松ヶ崎SCが車での来店を期待して出店(図2のA)しており、アリオ柏との競争は避けられない。
また、南約6kmのイオン鎌ヶ谷ショッピングセンター(駐車場1190台、図2のB)や南東10kmのイオンモール千葉ニュータウン(駐車場3515台)なども駅近でありながら、車での来店を強く意識しており決して無視することはできない。
しかし、悪いことばかりではない。
自家用車がどれだけ生活に関わっているかを見ることができる通勤・通学人口に対する自家用車利用の比率を見ると人口密集地の柏、松戸、安孫子市街地などは0.3未満ですが、アリオ柏の東側、南側はほとんど0.3以上であり、住民の多くはその日常生活において自家用車にかなり依存している(図3)。
これを、世帯数に対する乗用車(普通+小型)の保有比率でみると、1.2台/世帯以上の分布がほぼ同じ地域を網羅しているばかりか、利根川を越えた茨城県へと連続している(図4)。
要するに、これらは、鉄道に依存しない車来店のみに絞ったターゲッティングが可能であることを意味している。
ところで、アリオ柏の広報によれば10km圏の人口は約53万人、21.5万世帯と記述されているが、実際は、人口約126万人、51万世帯(国勢調査2010年)である。
また、5km圏では、人口29.7万人、11.7万世帯であるので、実際10km圏全域をカバーしようとしているのではなく、5~10kmの範囲内で設定していることがわかる。
そこで、最小の範囲と考えられる5km圏で状況をさらに詳しく見て行こう。
年齢分布を見る(図6)と、
千葉県平均とほぼ同じ構成になっているが、微妙に9歳以下が多く、80歳以上が少ない。これは若いカップル、家族が比較的多いことを示している。
過去にわたって、人口などの推移を見ると(図7)、
明らかに人口が増加傾向にあることが見て取れる。世帯数の増加は著しい。これに対して、商店数・小売業年間販売額は減少傾向であり、この地域は、供給より需要が大きくなるという絶好のマーケットとなっている。
さらに、人口は2025年まで増加していくことも予測される(図8)。
この増加地域がどこにあたるのかを見るために、2005年に対する2010年の人口増加率をメッシュ別に計算、表示した(図9)。
明らかに、アリオ柏の東側、南側が増加傾向にある。しかも、その増加は並ではなく、50%~100%というメッシュもザラにある。
冒頭では、この地域の人口密集は少ないと暗示したが、実際は決して0であることはなく、鉄道が近くにあるという恩恵に浴していないにも関わらず、次第に住宅ができ人口は増え始めていることがわかる。
実際に、「大津ヶ丘」、「手賀の杜」などの宅地造成があり、物件の周辺や白井市内には大きな工業団地もできているがいずれも1km圏内である。
立地の優位点
アリオ柏には、立地上の大きな優位点が3つある。
その第1は、アリオ柏の北700mで交差する県道6号線である。この道は北上して手賀沼を渡り我孫子市街地に至る。さらに北上することができて、国道6号線(水戸街道)に合流する。この辺りの行動ベクトルは物件方向に向いている(図1-2)ので、ここまで商圏が伸びることが容易に推測できる。
第2は、国道16号線は、北約11kmの常磐自動車道「柏IC」から幹線国道6号線と交差し、柏市街地を横切る間に交通量が激増したびたび渋滞状況に陥る。しかし、アリオ柏の辺りは、信号機も少なく見通しの良い直線であることが幸いして、渋滞が発生することはなくスムーズである。これは、周囲からの到達容易性が高いことを意味している。
第3は、アリオ柏の道を挟んで向かい側には、ヤマダ電機、ニトリ、スーパーオートバクス、スポーツデポ、オートウェーブなど大型店が立ち並び、これらがこの場所についての人々の記憶を容易にするランドマークの役割を果たしていることである。
結論
近い周辺における商圏の質が良く、成長が見込める上に、北東、東、南東への商圏の拡がりも望め、他の複合施設などを凌ぐ優良な立地にアリオ柏は出店していると言える。
2358文字
「統計てきめん」の地図使用承認(C)昭文社第55G15号